エピローグ
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
バカ王子はキンサイが連れて帰った。
で、その日の夜。
私はアンチと一緒に寝ていた。
「かぁたま……」
ゆさゆさ、とアンチが私を起こす。
……銀髪の、ほんとうにかわいい子。
「おう、どうした?」
「おちっこ!」
「ん、OK。いこうか」
「はいっ」
私はアンチの手を引いて、夜の城を歩く。
「偉いぞアンチ」
「?」
「おねしょする前に、報告できた。偉い」
「! えりゃい!」
ここへ来た当初、アンチはおしっこがしたくても、誰にも声をかけられなかった。
でも今は……違う。変わったんだ、この子は。
「…………うー。おねむ……」
「そうか。うん、偉いぞ。よく言った」
私はアンチを抱っこして歩く。
きゅっ、とアンチが甘えるように抱きしめてきた。
「かぁたま……あったかい……やさしい……好き……です……」
「…………」
寝息を立てだした息子を、起こさぬように、私は心の中で言う。
アンチ……さっきのあれは、私の台詞だよ。
おまえはあったかいし、優しくて……私はそんなおまえが好きだ。
ここへ来た当初、私はこの子を同情から、どうにかしてやらなきゃって思った。
でも……今は違うぞ。
私はおまえが、愛おしいくてたまらない。だから……夜起こされても、私はおまえのために一緒にトイレへ行く。
同情ではなく、はは……これって……愛情ってやつなんだろうか。
そのときだった。
ブンッ! ブンッ……!
「ん? なんだ……庭の方で……誰か……?」
風を切る音がしたので、気になって、庭へと向かう。
よく晴れた夜空の下で、アスベルが剣を振るっていた。
流麗な剣舞に、私は思わず見とれてしまう。
芸術点が高いだけじゃない、その一振りには確かに力が込められていた。
しばらく見とれてると……。
「セイコ?」
アスベルが私に気づいたようだ。
さぁ……と青い顔をしながら、こちらに駆けてくる。
「ご、ごめんなさいセイコ! おこして……ふぎゃっ!」
私はアスベルの頭を強めにチョップする。
アスベルはすぐに、アンチが隣で寝ていることに気づいたようだ。
こくこく、とうなずく。
ややあって。
私たちは庭の橋にある、ベンチに腰を下ろしてた。
アンチは私の膝の上で眠っている。
「おまえ、何してたんだ?」
気になったことを聞いてみる。さっきこいつは、剣を振るっていた。
アスベルが気まずそうに目をそらし、頭をかく。
「なんだ? 言えよ」
「……自主練です」
「自主練?」
「はい……その……セイコのために」
私のため……?
彼の答えが聞きたくて、私は彼の目をじっと見つめる。
アスベルは何度か口ごもった後、まっすぐに私の目を見てきた。
「セイコ、改めて……この国に来てくれて、ありがとうございます」
突然のお礼。
だが私は茶化さない。最後まで、彼の言葉を聞こうと思った。
「あなたが来てくださったおかげで、我が国は、いい方向へと向かっています。すべてが、うまくいっている。これはすべて、あなたが来てくれた、おかげです。本当にありがとうございます」
……全部。
そんな大げさな。と私は思った。
「でも……俺は今のままじゃ、だめだって思いました。今はセイコにおんぶに抱っこ。あなたに……すごい負担をかけてしまっています」
……負担では、ない。
全然ないよ、アスベル。
「だから! 俺は、もっともっと強くなりたい。あなたのために。……俺はバカだから、政治はできない。事務処理もぜんぜんだ。何かすごい発明もできないし、伝説の神獣でもない。俺にできるのは……この剣を、貴方からもらった加護とともに、振るうこと」
アスベルがまっすぐに私を見る。
「俺はこの剣をあなたと、あなたが変えてくれたこの国の未来のために、振るいたい」
……だから、訓練をしてたのか。
私と、この国のために。
……胸の奥に、暖かな感情が流れてくる。
二度目だ。
一度目は、クロヨンの村で。
二度目は……今、ここで。
私は確かに、この男に、確かな愛を感じてる。
「アスベル」
私は彼に顔を近づける。
彼は、私を拒むことは決してない。
私たちは目をつむり、キスをする。
目を開けると、アスベルは顔を真っ赤にしていた。
「うぶだねえ」
「うう……」
「ま、嫌いじゃないよ。おまえのそういうとこ」
「セイコっ!」
アスベルが私の肩を抱いて、寄せてきた。
私たちはぴったりと寄り添う。
「セイコ、す……」
「アスベル」
私はアスベルの唇に、指を乗せる。
目を丸くする彼に、私は笑って言う。
「こないだは、おまえに言わせちまったからな。今度は私が言うよ」
私は指を離して、言う。
「アスベル。好きだ。愛してる」
……この世界に来る前、私は、孤独だった。
仕事から家に帰って、ひとりぼっち。周りはどんどん幸せになっている中、一人取り残されている自分に、強い孤独を感じていた。
でも……異世界に来て、追放された先の隣国で、私は出会った。
私のことを、無条件で愛してくれる、愛おしい存在と。
膝の上で眠る、息子。
隣で寄り添う、旦那。
……誰が、私を、どんな意図があってここへ送り込んだのかはわからない。
そんなやつがいるのか、わからない。でも……。
でも、もしもここへ送ってくれたやつが、いるんだったら、そいつに感謝してやってもいい。
そいつの名前が神なのだとしたら、ま、神に感謝の言葉を言ってやってもいい。
もちろん、向こうからこちらに会いに来たら、の話だけどな。
「セイコ! 俺も……好きだぁあ! 愛してる!!」
月下で、アスベルが吠える。
バカな男だよ、まったく。
「かぁたま……!」
「アンチ!」
やべ、起こしちまったか……。
「ぼくも! すきだぁ……! 愛してりゅう……!」
父をまねて、息子が叫ぶ。
そんな姿が愛おしくて、私は旦那と息子を、抱き寄せる。
「おう! 私も……おまえら大好き!」
「「えへー!」」
満月が私たち家族を照らしてる。
家族……そう、家族だ。
両隣にいるのは、世界一大事な、私の家族。
これからも私は、家族のために……頑張ろう。
……その日私たち家族は川の字になって寝た。
今まで生きてきて、一番……幸せを感じていた。
そんな、温かい夜だった。
【※読者の皆様へ】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
第1部はこれにて完結です!
「第1部面白かった!」
「続きの執筆もよろしく!」
「セイコ無双してるとこもっと見たい!」
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