01.国外追放
短編好評につき、連載版スタートです!
短編の続きは5話から!
「セイコ・犀川! おまえを国外追放とする!」
……はぁ? 国外追放、だと……?
私の名前は犀川 聖子。
3■歳。
ひょんなことから、異世界へと、聖女として召喚された。
んで、異世界召喚から数年後。
聖女として働いていた私に突きつけられたのは、【国外追放】。
「は? 何言ってるんすか……【バカデンス】殿下?」
私に国外追放を言い渡した男……バカデンス殿下に向かって、にらみつけながら言う。
「いったいこの私が何をしたと?」
「本物の聖女である、【ブリコ・聖高原】に、嫌がらせをしていたのだろ!?」
聖高原 ブリコ。
私と一緒に、聖女召喚された女だ。
たしか10代だったと思う。
ぶりっこ……もとい、ブリコはこのバカデンス王子の婚約者でもあった。
つまり……。
「婚約者であり聖女でもある、ブリコを、私がいじめていた。だから、私を追い出すと? バカデンス王子?」
「そのとおりだ! ブリコは貴様と違って、本物の聖女! 祈るだけで結界を張り、怪我人を治し、病魔を祓う……! 我が国にとって最重要人物だ! その彼女をいじめた罪は重い!」
はぁ。
何言ってんだこの節穴は……?
ブリコがいつ、結界を張った?
怪我人を治した?
病魔を祓った?
……そもそも、いつ私がブリコをいじめたんだ?
あ? ったく……。
「バカデンス王子、現場を実際に見たのかい? ブリコが聖女らしいことしてるとこ。そんで、私がブリコをいじめてるとこ」
「いや、見てない! 全てブリコから聞いた。セイコが自分をいじめるのだと!」
はぁ、でしょうな。
ほんっとバカな男。
「セイコ。貴様は聖女召喚に巻き込まれただけの一般人。聖なる力を持たぬ貴様を、この国に数年置いておいた恩義も忘れて、聖女をいじめた罪は重い! よって国外追放とする!」
……はぁ。
なんだこいつ。
一方的に私を異世界から呼び出しておいて、今度は追放?
ふざけるなよ。
「悪いが拒否権はない。今日中に出て行かねば、貴様を罪人として扱う!」
どうやら、お気に入りの女をいじめたことで、私に対して、そうとうキレてるようだ。
が、まあ……。
キレてるのは、こっちもだ。
勝手に呼び出しておいて? そのうえ『本物の聖女じゃない』からと放置し、最終的に出て行け、だぁ?
「何か言い残すことはあるか?」
「…………」
あ゛ー……キレそう。
だが、このバカにキレたところで、どうにもならないことは、この数年でよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く、知っている。
こっちがどんだけ提案しても、その提案全て却下してきた。
この国ヤバいよって言っても、聞く耳持たなかった。
あげく、追放だ。
……もー、知らん!
「わかりましたよ、出て行くわ」
私はきびすを返し、バカデンス王子の前から立ち去ろうとする。
「あ、そうそう、バカデンス殿下」
くるっ、と私は振り返り、王子に言ってやる。
「私を追放するのって、【ユーノ】大臣には相談した?」
「? するわけないだろ。これはこのバカデンスが独断と偏見で決めたことだ」
あーはいはい。
そうですか、そうでしょうね。
ユーノが知ったら、全力で止めてただろうし。
うん。
「あともう一個。あのぶりっこ聖女のおつとめ、全部、私がやっていったって言ったんだけど。私がいなくなったら、おつとめできる人いなくなっちゃうけど、大丈夫かい?」
聖女のおつとめ。
聖女に課せられた仕事のことだ。
結界。
治癒。
そして……浄化。これらを行えるのは、聖女の力を持つものだけ。
「はぁ? 何言ってるのだ、セイコ。おつとめはブリコがやっていたのだろう?」
あー、だめだこりゃ。
うん。
「わかった。んじゃ、忠告したからね。ばーい」
私はバカデンス王子の下を去る。
この国……終わったな……。
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