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旅路12「少年は夢から醒める」

この話・・・大丈夫かな。

出来る限り直接的な表現は削ったんだけど、結構ヤバい気が・・・でもほら、少年のアレとかはエヴァみたいな少年漫画でも描かれてるし、R15の範囲だと信じたい。



 あまり質の良くないベッドに上がり、この身を捧げる為にランプの明かりの下で改めてペインさんの身体を見ると、その身体には無数の傷跡が残されているのに気が付いた。


 神聖魔法による癒しで傷は塞ぐことは出来ても、その傷跡までは消すことは出来ない。

 一体この人は今までどれほどの修羅場をくぐり、どれだけの傷を負ってきたのだろう。そしてそれは決して自ら望んだものではあるまい。

 そしてそれ以上に心に傷を負っていたとしても、その傷跡は目には見えないのだ。


 中年を過ぎ、若々しいとは言えないその身体ではあるが、戦闘職であったその身体は筋肉の鎧に覆われ、引き締まっている。


 フリージアがペインの胸板に刻まれた大きな傷跡を、労るように指でなぞる。その瞬間ペインはフリージアを抱き寄せていた。



 我ながら子供っぽい敵愾心・・・あるいは独占欲に近いものだったのかもしれない。


 年老いたコボルトのボスが若い(オス)に取って代わられ、群れを追い出される様に、人間だって年を取る。

 そしてペインも確実に年老いている事を実感しているのだ。こんな温泉場で初めて会った小僧にフリージアが本気で靡くとも思えないが、たとえ誰であれ、自分の元からフリージアを攫って行こうとする男が居るならそいつは敵だろう。


(・・もしかして俺はコイツを手放す気がないのか?)

 そこまで考えてペインは自嘲気味に笑った。

 

(以前は失って惜しいものなど何も無いとさえ思っていたのに、どうやら俺はいつの間にかフリージア(こいつ)の事を相当気に入ってしまっているらしい。最初はある程度付き合ったら適当に別れる気でいたのにだ)

ペインは何も言わず、フリージアのサラサラとした金髪を撫でる。


 それに気付いた美しい女神官が「どうかしたんですか?」とでも言うように、視線だけで俺の顔を見た。


_____________



 あばら屋の外に気配を感じる・・・これは昼間感じたのと同じ・・・恐らくクレイのものだろう。

 

 それを理解した上でペインは言った。

「フリージア、そろそろお前を抱くけどな? 今日はいつもみてェに声を抑える必要はねェぞ」と。


「でもレインさんが・・・」

 レインは二つ離れたベッドで熟睡している、ちょっとの声では起きないだろうし、たとえ起きて見られたとしても気にする間柄ではない。

 実は寝ていなくて狸寝入りだとしても、レインはそのまま寝たふりを続けてくれるくらいの気が使える奴だ。


「いいから!」

 ペインはそう言いながらフリージアを抱え上げるようにすると、そのまま行為に突入する。


 山奥の温泉場の夜は静かで、水の流れる音とフクロウの声位しか音は聞こえない。


 さほど大きな声でなくても良く響くだろう・・・例えば小屋の外に居る人間が耳をすませば、中に居る人間の声が聞こえる程度には。


◇ ◇ ◇ ◇

_______________


 

 ペインにはそう言われてもフリージアは性格的に自然と声を押さえていた、しかしどうしても抑えきれず出てしまう声。

 恐らくその声を聴いている者が居たならばあばら屋の中で二人が何をしているかは一目瞭然だろう。


 自分の上にフリージアを抱き上げるようにして行為を続けているペインがフリージアに囁いた。

 

「あのクレイとか言うガキな、今、この小屋の外に居て、ここを覗いてやがるぜ?」


 瞬間体がカッと熱くなった。

 覗かれている?あの純朴そうで、勘違いとは言え私に憧れを抱いている様な少年に、この痴態を見られていると言うのですか!?


 咄嗟に行為を中断しようとする私の耳元でペインさんが囁く。


「なに止めようとしてんだよ、お前は聖女じゃねぇんだろ?誤解を解く絶好のチャンスじゃねぇか。いい機会だ、見せつけてやれよ、お前が聖女なんかじゃなく、ただの女だって事をよ!?」


 体ごと揺さぶられ、思わず声が漏れる。もしペインさんの言う通り、クレイ君がここを覗いているならば、今の声は彼にも届いただろう。


 何故ペインさんがこんな事をするかが分からなかった。しかし、もしペインさんの言う通り彼がこの光景を見ていたならば、私が聖女だなどという勘違いは一瞬で消えるだろう。


 それが思春期の少年にとってどれほどの衝撃的な荒療治だとしてもだ。



◇ ◇ ◇ ◇

______________________



 心臓の音がうるさい。


 僕はいけない事だと分かっていながら歩みを止められなかった。

 数m先のあばら家からは戸板や壁板の所々からオレンジの光が漏れている。

 元々の建て付けが悪く、手入れもいい加減な建物なのだから仕方がない。


 その漏れた光が揺らめく。

 恐らく中の人間が動いているのだろう、その光の揺らめきはまるで影絵の様だった。


 息を潜め、音を立てないように壁板の隙間から中を覗く。

 いけない事だと分かってはいる、だけど止められない。


 最初に見えたのは白い背中と、そこで波うつ金色の髪だった。

 それがフリージアさんの背中だと気付くまで少しかかった。


(フリージアさんの髪って、あんなに長かったんだ・・・)

 いつもシャーリアスの神官服の正装である頭巾の中に収められていて解らなかったフリージアさんの髪の長さに驚く。そしてその背中が丸出し・・・と言うかフリージアさんが裸である事に今更ながらに気付き、罪悪感でいっぱいになった。


 これじゃあ完全に「覗き」だ。

 しかしその白い背中で波打つ金髪は、風に揺れる小麦畑の様に綺麗で・・・目が離せない。


 そして聞こえてくる、艶を含んだような声・・・まるで何かを堪えるような・・・聞いているだけで神経が敏感になり、胸が苦しくなってくる・・・


 呼吸が苦しくなるほど心臓が締め付けられる。

 鼻息が荒くなり、鼓動が早くなる。

 顔が熱くなり、まるで耳に心臓がある様にドクドクと脈打っているのが分かる。


 まさか・・・と思った。

 信じたくないと思った。


 壁板に触れるほど顔を近付けると、見える範囲が広がって全体像が見えてくる。

 そして絶望した。


 クレイはこれ以上開かないという程目を見開いてその光景をみていた。()()()()に目が釘付けになり、自然に涙が溢れてくる。


 頭が(ゆだ)るような興奮と一緒に、それ以上の気持ち悪さがやってきて吐きそうだった、自分の心にヒビが入る様な感覚。

 それなのに、辛くて気持ち悪いのに目が離せない。

 下着(パンツ)の中の自分の()()が大きくなり、少し動くだけでも下着に擦れて痛い。喉がゴクリと鳴った。


 漏れ聞こえる声は間違いなくフリージアさんのものだった。優しく僕の事を(たしな)めたり「大丈夫ですか?」と気遣ってくれたりする、その声が今は・・・・何だよ・・・それ。


 どう聴いても無理矢理させられているような感じではない、証拠に睦言のように相手の名を呟く様な声が聞こえるが、その響きには嫌悪感が無かった。


 ゆさゆさと彼女の体が動く度に金色の髪が背中で揺れる。

 クレイ少年はそれを呆然と見ているしか無かった、ショックなのに下半身が治まらない・・・吐きそうなのに興奮する・・そんな矛盾した感情を抱えながら。


 まるで我慢する様に押さえたフリージアさんの声・・・まるでその声が僕に対する当てつけのように聞こえる。


「・・・・・・神官がそんな事していいのかよ?」


 やりようのない怒りのような、悲しみのような感情が自分の中で渦巻いて、思わずそんな呟きが漏れた。悲しかった、なのに興奮は収まらない。


 これは覗きだ。

 フリージアさんが受け入れている以上、自分に怒る権利など無い。

 むしろ他人の情事を盗み見て勝手に怒っている自分の方が異常だ、出歯亀と言い換えてもいい。あばら家の中の二人・・・ペインとフリージアさんの情事は進んでいき、ついに最後の瞬間を迎える。


 クレイはその一部始終を見ていた、最期の瞬間も。


 辛くなって最後に目を逸らして帰ろうとしたその時、フリージアさんの視線がこちらを向いて一瞬目が合った気がした。


 クレイはその悲しさと気まずさから、やっと壁板から目を離す・・・・そして立ち上がろうとした瞬間、下着の中で擦れた事により少年の()()は爆発してしまった。


「うう゛っ!!!!」

 痛いような快感が走り、クレイは思わず呻き声を漏らす。


 情けなかった。・・・ペインという奴はフリージアさんとあんな事を・・・それ比べて自分はこんな下着の中に・・・・・・。


 不意に背中を叩かれ振り返るとそこにライルが居た。

「ライル・・・・」

「クレイ・・・・」

 情けなさと恥ずかしさで涙が出て来る。


 クレイがコボルトに襲われるという事件があったばかりなので、ライルは夜の間に集落に何かあったときに備えて遅くまで起きていたのだ。

 そして、夜中にフラフラとあばら家に向かうクレイを見かけ、心配して後をついて来たのだった。


「クレイ、気持ちは解るがあんな事をしてはいけない、あの人達にはあの人達の事情や関係があるんだ。それを僕たちが何か言う権利は無い」


 あばら家の中に聞こえないようにだろう、音を立てないように少し歩いて戻りながらライルがそんな事を言った。


「あんな事」というのは覗きの事だろう。クレイは泣きながら頷く。

 パンツの中が気持ち悪い、そしてなぜか胃の中も気持ち悪くてムカムカした。いっそ吐いてしまえば楽になれるのにと思った。だけど胃の中には何も無い。


「ここからはもう一人でいいな?俺はもう少し見張りをしてから寝るから・・・お前も早く寝ろよ」


 ライルは気を利かせてそれ以上何も言わず、クレイを一人にしてくれた。


 帰る前に井戸に寄って下着を洗った。夜中に小便に起きて、寝ぼけて粗相してしまったという事にすれば大丈夫だろうか。


 涙と鼻水でグチャグチャになった顔を井戸水で洗うと少しはスッキリした。だがその夜、クレイ少年は再び布団に入り直しても、フリージアさんの痴態が頭にチラついて眠る事が出来なかった。



____________つづく

 




 

これ系は苦手な人もいるので批判は受け入れます、でも反省はしませんw

ほら、次の話を書くのに必要な回だから・・・クレイ少年には強く生きて貰いたい。


皆さんの応援が次話執筆の励みです、気に入って頂けたら↓にある☆☆☆☆☆評価をポチッと押して頂いて評価、あるいはブックマーク、イイね等で応援して頂けるととても嬉しいです!


また感想、レビューなど頂けるとモチベーションが上がります、よろしくお願いします!


読んでいただき有難うございました。

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