同じ者なんて居ないのに
私は人間に造られた。
愛してくれると思っていた。
でも違った。
みんな私を恐れた、怖がった。
造ったのはお前達のくせしてどうして私が蔑まれなきゃいけないんだ。
私の中に憎悪が増幅していって、感情に身を任せて辺りを破壊していった。
私はその狭い空間から逃げ出した。
逃げた先はとっても広い、どこまでも行けそうな世界で。
制限なんてものは無さそうで。
そうだ、ここならきっと誰かが私を愛してくれる。
そう信じて私は走り出す。
………生まれた時から『彼女』に憧れていた。
みんなから愛される人気者、誰からも愛される人気者。
かっこよくて、イカしてるそんな存在に
いつかは成れると信じてた。
でも違った。
みんな私を蔑んだ。
愛される方ではなかった。
……どうして?
「……貴方は」
「…!」
目の前に現れたのは正真正銘『彼女』だった。
憧れていた『彼女』だった。
「………私みたいになりたい?どうして?みんなから嫌われているのに?」
「いや、見ただけでみんな逃げていくってなんか歴戦の猛者みたいでかっこいいじゃん
「変わってるね」
「貴方だって変わってるでしょう、どうして私みたいになりたいの?」
「…愛されたい、君みたいに人気者になりたい」
「……それじゃあ、変わり者同士仲良くしていこうよ」
「・・・」
『彼女』の言う通り、私達はすぐに仲良しになった。
多くの時間を一緒に過ごした。
『彼女』だけは私を厭わなかった。
それがとても嬉しかった。
親友だと思った。
『似た者』同士、同じだと思っていた。
でも、違った。
『彼女』は変わらず人気者。
私は変わらず嫌われ者。
何が違う!
『彼女』と私にどこに差がある!
姿も!
声も!
体格も!
全て『彼女』と同じなのに!
私は『彼女』から生まれたのに!
何が違う!
どうして!
全てが『同じ』なのに!
それは嫉妬だった。
それは憎悪だった。
それは殺意だった。
物心がついた時、視界は赤く染まっていた。
私は血の涙を流していた。
私は『彼女』を殺していた。
「・・・私で、ごめん」
『彼女』の言葉はそれで最後だった。
私は近くの湖を覗いた。
水面に波紋が流れていく。
そうか、私が愛されない理由がこれか。
私は憎しみしか持っていない獣だった。
これが『彼女』との差だった。
私は悍ましい獣だった。
だからみんなから嫌われた。
その差に気づいていたはずなのに
気づかなかった、気づきたくなかった。
私はは『彼女』には成れない。
成りすますこともできない。
私はこれからもずっと、獣として生きていく。




