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魔法少女
魔法少女
家の中。
わたしの部屋。
そこでわたし一人、横になって読書に熱中していた。
「はぁーっ、おもしろかったー!!」
そういって、わたしは読み終えた本をそっと机の上に置く。
「あー読み終わっちゃったなぁー」
わたしは、余韻に心を委ねる。
困ってる人や頑張ってる人、…色んな人々の願いを叶え、助けてあげる素敵な魔法少女の話。
…そして、かっこいい王子様と惹かれ合う話。
わたしはその物語が好きだった。
お話を読んでいる時は、可愛くお洒落して、人々の力になって、そして王子様と結ばれて…
そんな少女になれた気がした。
…そんなわたしに、なれた気がした。
「わたしだって……」
別に今の自分が嫌いな訳ではなかった。
それに別段モテない訳でもない。
友達だと思ってた人から、突然告白されたり、
部活の先輩から交際を申し込まれたりもした。
…でも、
心を引かれた人は、一人もいなかった。
…結局交際経験もない、
初恋もまだの14歳だった
「…はぁ」
思わず溜め息を漏らす。
(…わたしにも)
この、魔法少女のように誰かを恋しく思う日が来るのだろうか。
…そんな日々を憂えるわたしだった。