プロローグ
prologue
…津々と降り積もる雪の中。
…朱に染まりゆく雪の中。
…誰もいない雪道の中。
…そんな場所にわたしはいた。
……わたしひとり倒れてた。
(……あぁ)
身体の上に積もった雪が、重い。
退かそうにも、身体がまるで言う事を聞いてくれない。
(困ったな……寒いんだけどなぁ)
助けてと、たったそれだけの声も出やしない…
人も全然通らない…
(…何で)
――こうなったんだっけ…
記憶もあやふやでまとまりやしない…
なんで、
どうして、、
(…私、もうダメなのかな…)
もぅ……瞼が重い。
強い眠気の中
わたしの意識はもう、失われていく寸前で…
『―――大丈夫かい?』
消えゆく光の向こうで、微かに声が聞こえた気がした。
(………誰かいるの?)
『――今、助けてあげ――らね』
…わたしの方へと近づく確かな気配。
…声はよく聞こえない。
…視界もぼやけてあてにならない。
…けれど
…微かに見えるその人は、
やさしくに微笑んでいるように見えた。
『君、何か――――――とか、お願い―――――?』
……お願い事?
この人が何を言っているのか、よく分からなかったけれど、
ただ其れだけは、何故だか判った。
…この人は叶えてくれるのだろうか。
…わたしの、願いを…