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「そういえば、その悠真を殺した人はどんな雰囲気だったの?」

 優香が問いかける。

「あー、肝心なところだな。暗かった。そしてソラをなぜか恨んでいたな」

「マジで?」

 ソラは驚く。

「でも、暗いってだけじゃ、闇系のすいを使いそう……しかわからないよね」

 雰囲気は意外なほどに重要である。

 すいの世界だけじゃなく、普通に俺たちが暮らしていて感じることでもあるな。

 まじ、見た目社会怖い……あの、youtubeのメイク動画すごいよな。ほんっとうに誰でも、美人になることができて……インスタ信じられんわ。

「髪の色とか目の色はどんなだった?」

「銀髪、茶目だったな」

 髪はその人の経験を、目の色はその人の価値観を表す傾向にある。というか、連を除いて、バッチリこの法則は当てはまっている。

 見た目から、その人の性格やなんかもだいたい予測できる。同じようなかんじだ。だけど、なぜかと言われたら難しい。でも大体、進化心理学的に、人間に取って有利だからという理由にしておけば、解決するな。そうしよう。

 それはなぜかと言われ……(省略)

「完璧な闇じゃなく、銀髪ねー」

「まあな」

「ところで、悠真って誰よりも濃い黒髪黒目してるじゃない?」

「いやいや、電車に同じような髪の人いっぱいいるぜ?」

 目の色は価値観、髪色は経験。

「なのになんで、闇系のすいを使わないのよ?」

「しらんがな。絶対に当てはまるってわけじゃないしな」

 目や髪が価値観や経験を表したとしても、それが完璧にその人の使う術を表すというわけじゃない。

「だいたい、全部に当てはまるわけじゃないしな」

 いや、直感的には当てはまるんだけど。無理やり持っていくことはできる。

 ヤンキーって雨の中、猫を拾うイメージがあるから、優しいのかもしれない。みたいになんでも無理やり持っていくことはできるのだが。

「まあ、悠真が使うのは氷だから、冷たい雰囲気には合ってるけどね」

「そうだな。もし、俺が中途半端に明るくなったら、氷使えなくなりそうだから、友達を作らないんだな」

「つくれない!」

「うんうん」

 ふたりとも同意する。

「本当にそうなんだよな……片手で数えられるくらいだわ……孤独死だな」

「ま、まあいいじゃない。……と言うか、悠真前に孤独死サイコーとか言ってたじゃん。一人になりたい―って」

「対処法!」

 ソラが話を戻す。

「そうだな」

「一応、相手のすい後天スキル先天ギフトのどっちかわかった?」

「全然わからんな。相手のを見てもないし……」

 知ることによるメリットも少しはある。

 術の世界では、ギフトは最初っから強いが、それ自体の能力はほぼ上がらない。逆に言えば、最初からレベルマックスの状態。

 スキルは、努力で力が伸びるが、最初の能力は弱い。別に、これら2つの能力が問題というわけではない。

 これら2つの獲得方法が問題だ。

 ギフトは親の血筋とかの家系で能力が決まる。しかも、大抵が強い能力だ。それに、強いものは強い者同士で群れる。これが、ただのスキルをただ持っているだけの人にとっては見にくく映る。自分より学歴の高い、年収の高い人を見たら妬むのと同じようなものがすいの世界でも起きている。

 ただ、現実世界に影響を及ぼす者ではないが、嫌っている人もいるというのはいる。

 それの逆恨みではないかと優香は心配したのだろう。

「そっか……少しも分からなかったの?」

「いやー、なんか、いきなりだったし、相手も隠していたからな。でも、別にそれは関係ないかな。だってソラは」

「まあそうね」

「とにかく、今できることをやろー……銀ってどんな色なの? そもそも銀と灰色の違いって何?」

「たしかに、区別してなかったな」

 悠真はつぶやく。

「うーん……なんか、若い人は銀ってイメージじゃない?」

「まあ、それもそうだな……ってことは、その色の違いは重要じゃないな」

「そうかも! じゃあ、銀とか灰色のイメージって言ったら、闇に完全に染まってないけど、闇の色に近いとか?」

 ソラがそう言い、

「うーん……そうだな」

「闇って本当に困るのよね」

「ああ、抽象的すぎる……」

「そうね、理由が複雑すぎるのよ」

「髪が赤だったら、なんか熱血で、ヒーローっぽいってわかるのよねー」

「本当にな」

「そうなの?」

 ソラがくびをかしげ、悠真にたずねる。

「そうだよ。 ヒーローは人を助けたい。どうしてだと思う?」

「それが正義だから?」

「そうなんだよ。正義。逆に、これ以外になにか思いつく?」

「うーん……」

「道徳とか、倫理的にとか、同じようなことになっちゃうんじゃない?」

 ソラが悩んでいる間に、優香が答える。

「そうなんだよ。でも、逆に悪になる理由はさまざますぎるんだな。これが。カネがない、誰も俺のことをみてくれない、社会から必要とされていない、こんな辛い気分くらいなら誰かを殺してやりたい、間違ったこと(自分から見て)を行っているやつは正さなければならない、ただ単に、殺人的なことがすきだから、好奇心、嫉妬・妬み、振られた……」

「おー、ユーマが言うと、やりかねない……」

「そうか?」

「ほめてないでしょ」

「それほどでも、恋愛に例えたら、君が好きだ。なぜなら、……(可愛いから? やさしいから? 人間の本能だから?)。とかくらいしか思いつかないだろ? でも、振られる理由はたくさん思いついちゃんだな」

「確かに」

「なら、俺たちは、相手について何も考えないほうがいいのかもな」

「ないよそれ?」

 悠真の言った言葉に優香が疑問を投げかける。

「ソラもりゆーききたい」

「考えても無駄だから、真実だが役に立たない(True but useless)ってやつだな」

「たしかに! じゃあどーする?」

「特に、なにもできなさそうじゃね?」

 整理しよう。

 俺たちが持っている情報は、その人のなんとなくの性格(髪色・目の色)、その人がソラに恨みを買っていることだけだ。

 だけど、ソラが誰かから恨みをかうようには思えない。嫉妬したと言う理由だとしても、その情報は役に立たない。

 というか、情報って集め過ぎると、何からしていいのかわからなかなって、何もできなくなるよな。

「うーん」

 といい、俺たち3人は悩む。

「まあ、ってことで、蓮。アドバイスをくれ。というか、お前が倒してきてくれないか?」

 なぜか俺の家にまでついてきて、今までずっと本を読んでいた蓮に話しかける

「残念。俺はあんまり術に干渉しすぎちゃだめなんだよね」

「もう干渉してるし、毎回思うんだけど、どういう理屈だよ」

「まあ、いづれ話す機会がくるよ」

 わけがわからない。

 蓮はこの世界ではっきり言って最強だ。すべてがうまくいく。今までの話が無駄になるくらい。

 正直この表現はすきじゃない。俺は魔王や勇者がいてはならないと思っている。というか、力だけで勝負するの嫌だよな。もっと頭使えよ脳筋。的な。

 というか、一人で世界を変えるほどの力を持ってはいけないと思っている。

 ただ、そんな力を持っている人はいない。

 スティーブ・ジョブズは、日常の光景を変えた。

 そんな彼でも、病気に抗うことはできなかったのだから。

 そういう意味で言えば、人の命は短いからこそ美しい。という言葉は好きだ。

 もし、すべての人間が生きていたら、今の俺は奴隷として生きていただろう。そんな気がする。

 術は色々配慮されている。意図的に作られたんじゃないかっていうくらい。

 現実世界に影響がない。結構このシステム好きだ。

 蓮という存在がどれだけでたらめか。存在しちゃ駄目なレベル。

「まあ、使いすぎると、俺死んじゃうから」

「そう……なのか?」

 呪いの術なのだろうか?

 それなら納得できる。一人で世界中を征服することはできない。

 いや、わからない。だって、変身するという能力は現時点で使っているわけだし、理屈があってない。

 いや、すべて理屈で考えるのはだめなのかな? だとしても……今は、こんな事考えている場合じゃないのかな?

「優香からも何か言ってやってくれよ」

「別にいいんじゃない? カフェでコーヒー奢ってくれるし」

「何その理由」

 いいな、その人間力。意外と、優香から好かれている。

 ……経済力大切ですよね、ちくしょう。

「まあ、意外と話してて楽しいし」

「なに女子会開いてるの⁉ じゃあ、ソラからは?」

「いぎなし」

「何にだよ……お前のすいくらい教えてくれてもいいんじゃないか?」

 変装に関するすいなのだろうか?

「秘密」

「いちいち可愛いんだよ、そんな格好されて、そんな仕草されたら惚れちゃうでしょう」

 そんな格好とはどんな見た目だろう? 想像力と言うか、妄想力に任せようじゃないか。結婚も、結婚する前が一番楽しいって言うような言わないような。

「ふ、私の女子力は53万ですよ」

「女子力高いやつはそんな事言わねーよ」

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