表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/7

6

「レン、変装うまくなってた」

「お、マジ?」

「へー、男をもてあそんでいたんだな」

「だろ?」

「ほめてねーよ」

「すごくね?」

「すごくねーよ」

「どうした悠真。過去から戻ってきたような顔をして」

連は自分の話を止め、たずねる。

どんな顔だよ。自分でも見てみたいわ。比喩だと知りながらも、そんなことを思う。

「なんのことだ?」

俺はとぼける。相変わらず凄い。というか、わけわからない。

「ソラもそんな気がする。はなしてよ!」

そう言ってソラは悠真の腕をはなさない。力強く握りしめる。

「そうね。悠真すぐ、一人で抱え込む所あるから話してほしい」

俺は連をにらむ。

「何が起こるかわかっていたんじゃないのか?」

「さすがに未来予知まではできないよ」

「怪しんだよなー」

「悠真。話して」

優香は真剣な顔をする。

「そうだな。バレるの本当に早いよな」

こうやって浮気はバレていくのだろうか? いや違うなと思いながら、俺は過去を話す。

「そのまえに、場所を変えてもいいか?」

そう言い、走って移動する。

――――――――――

「まず、俺は殺された。そしてここに戻ってきた。ここまではいいな?」

「うん。じゅつの効果でしょ? じゅつで殺されると、その人は生き返っちゃう。しかも、時間が少し戻って」

「ああ」

「あ、悠真俺に1万くらいお金貸さなかったっけ?」

「貸してねーよ。」

「じゃあ、普通に金くれ」

「あげねーよ」

「……悠真をじゅつで殺そうかな?」

連はそんなことをつぶやき始める。

「やめろ。なにそれカツアゲ?」

「ええー、いいじゃん。一回だけ。一回だけだから。俺の運勢を試させて?」

「ばかじゃない? 俺もその際には全力で抵抗するよ?」

「マジ? ってことは俺が勝てば……」

「戦う前提だった。……しないからね」

「ふーん。別に悠真なら大丈夫だと思うんだけどなー」

ニヤニヤしながら連はその言葉を口にする。

触れないようにしよう。この話題に。

なんか、本当にやってきそうでこわい。これって殺人未遂になるのかな? でも、じゅつで殺した人と殺された人とか、関わっていた人にしか、その過去に戻る前の記憶がないんだよな。やっかいなことに。

「本当は、この能力で、過去に戻りまくることでお金とかゲットできたらいいんだけどね」

優香がつぶやき、悠真はその話に乗っかる。

「そうだな。男は結局経済力だな」

「そうね。その時は喜んで悠真に死んでもらおうかな」

「おい。だから、そういう意味じゃないって。死ぬときの感覚はあるんだからな」

「ソラも、それさんせーい!」

「ソラも⁉」

「大丈夫だよ。悲しいときは慰めてあげるから」

「そういう問題じゃなくて」

「なによ。腎臓を売るのはありか? 貧しい子どもが腎臓一つでiPhoneを買うのはありか? そんな事を考えている暇があったら、悠真の過去の記憶でお金を手に入れるかがあってもいいじゃない」

「そうだな。そんな事書いてる本あったな」

「そうよ。本は実行しないと意味がない。って言ってたのは誰だっけ?」

「いやいや、君たち、どれだけ俺を殺したいの? 俺とお金、どっちが大切なの?」

「そりゃ、悠真のほうが大切に決まってるじゃない」

「どうい」

ソラもうなずきながら答える。

「お、おう。照れるな」

「まあ、死なない程度にならお金だけど」

「そりゃそうだな。生命保険入っても、俺に一円も入らないよな」

「まあ、じゅつで殺されたり、殺すと、記憶の一部が消えちゃうからやらないけどね」

優香はそういって、結論に落ち着く。

「それでもやっている人はいるけどね」

「ね」

「あくしつ」

ソラはそう答える。

「ただ、一般の人にバレてないだけいいよな。もしバレていたら、富裕税みたいに、税金かけられそうだよな。生きているだけで」

「そうね」

「逆に、バラそうと思っても信じてくれないんじゃないか?」

連が疑問を投げかける。

「まあ、体験できないからな。実際に。すごい抽象的だし……どのくらい珍しいんだ? じゅつ使いって?」

「そうだな……珍しいとしかいいようがないんじゃないかな? でも、意外と0.1%とかそうだよな。年収3000万超と同じくらいはいてもおかしくなさそうだけどな」

「それを多いと捉えるか、少ないと捉えるか。そういえば、先進国で障害に一度はうつ病を経験する人は10%とかって聞いたな」

「この時代、隠そうと思っても、隠すことはできないけど、公開しようと思って公開できない物は逆に少ないよね。きっと」

優香はつぶやく。

「そもそ、。じゅつが発動すると、今いる世界とは別の次元に飛ばされる。そして、そこで建物が壊れたとしても、元の世界には何も影響がない。物が壊れても、壊れないみたいなことも起きるし」

じゅつを使うのをやめると、元の世界の方に戻る。だから、じゅつの世界で建物を壊したとしても、もとにいた世界の方にもどるだけだから、建物が治っているということになる。

「まあ、本当はもっと複雑だけど、そんなかんじだな」

具体的には、現実世界と、もう一つの世界の人間が一度に存在し、その二人の人間を一度に操るような感じである。

とはいっても、ゲームの主人公操作しているときと同じ感覚で、そんなに難しくなく、ゲームの主人公を操作している自分と、ゲームの中でプレイしている主人公の2人が活動しているイメージだと、比較的わかりやすくなると思う。

「あの感覚はなれないうちは大変だったな」

「何とも言えない感覚よね。止まっているエスカレーターに乗るときと降りるときに経験する変な浮遊感みたいな」

「へー、そんな感覚するの?」

「そうだよ。ソラは、なれてるからな。ずっと昔から使っているから忘れてるのかもな」

「エスカレーターの感覚のことじゃない?」

「そっちそっち」

「お、そうか。今度乗ってみよーな」

「うん!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ