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「ねえユーマユーマ。見て、このメッセージ」


「やるなー。で、何か質問か?」


「えーっとね。彼氏をつくるさい、ユーマならどうする?」


「おー、そうだな……。相手には3人彼女を作っていいようにするんだ」


 ソラは普通にたずね、悠真も普通に答える。


 異様に思えるこの風景。これが日常だった。


 そもそも、考えるだけなら自由だし、口に出さなければいいだろう……つまり口に出した俺はアウトということになるような気がするが、人間は弱い生き物だ。だからこそ、事実を無視して、Twitterで他人を批判することが許されている。……許されているかは分からないが、往々にしてある。


 答える際に、君がどれだけあなたのことを好きなのか、胸に手を当てて考えてご覧? なんてことは言わない。


 なんか、はずい。そんなセリフは言えない……それに、そんな誰にでもできる質問は、自分で考え済みなはずだ。ダイエットしたいんだけど、どうしよー? と言いながらアイスを食べている人に、アイス食べるのをやめなよ。という事を言っても効果がないから、アイスを食べているのだろう。


 そもそも、俺に普通な答えを求められていない。


「へー、なんでなんで?」


 ソラは面白そうに目を輝かせ、すこしジャンプをするかのように足を伸ばし、軽く上下にぴょんぴょんする。


「もし、他の女と付き合ってもいいとなったらどうなると思う?」


「浮気される?」


「ちがうんだなー、そもそも、許可していたら浮気にならない」


「あー、そっか」


 ソラは納得したようにうなずき、少し考える。


 その間、悠真は右腕をテーブルの上に置き、右手を顔に添え、ニコニコしながら待つ。


「とりあえず、メリットだけでも考えてみ」


「うん! えーっと、そうだよね。ユーマがそーいうことは、なにかいいことがあるわけじゃん? 沢山の人と付き合うメリットがあるわけでー、えーっと……違うか。沢山の人と相手に付き合ってもらうことのメリットが有るわけで、だからといって、別に性的なことは関係ないだろうし、女子の扱いがうまくなる? もてなしとか、サプライズが上手になったり……あー、束縛されると嫌だって言ってたなー。この前ドラマでも『俺は束縛されるより、するほうが好きだ!』とか恥ずかしいセリフをいってたしなー。近くなってきた?」


「おう」


「束縛されないってことは、めんどくさくなくなるから? たとえ、ソラが変なことをやらかしても、ソラが許している分、相手は自分を許してくれる……ってことは、ソラにとってもめんどくさくなくなる!」


「そうだな。それも一つだ」


「というと?」


「お互いが離れないように努力するようになると思うんだよね」


 ソラは少し考え、ちょっと納得したようなしてないような、とりあえず、わかってなくてもわかりましたと言っているときのような顔をする。


 昨今の小説とかラノベを見ていると、白馬の王子様を待っている人が多い気がする。


 フィクションに楽しいものを求めるだけなら良い。むしろ歓迎だが、現実には求めてはいけない。


 現実で求めていたら、それこそ白魔の王子様になってしまう。期待させるだけ期待させておいて、何もしてくれない、悪魔のような存在になってしまう。


「そもそも、恋愛なんて、どうせ3年も経てば、倦怠期まっしぐらで、なんにも魅力がなくなっていくんだ。人間は汚い。だから浮気をするし、変な欲望も湧いてくる。だけど、本能を否定しても、悲しいだけじゃん。人の本能は幸福に生きようとすること。それにあらがって、不幸に生きてやる。なんてやついないだろ?」


「たしかに。ふつーにバカだね」


「だから、そんな汚いところを認めてあげる。たまには浮気をするときもあると思うけど、口に出さないでされるより、お互いに認めてしまおうぜっていう。それに、なんなら多重結婚認めても今の社会は回りそうだけどな……まあそれには触れないでおいて……」


 悠真はそんな変な事を考えていると、他の例が頭に浮かんできた。


「なんで人は復縁したいと思うと思う?」


「うーん……ふつーにフラれたほうがまた、その人と付き合いたいってことなんじゃないの?」


「俺もそこまで詳しくないからわからんけど、もしかしたらそうなのかもしれない。でも、一番の理由は、過去を忘れていることにあると思う。数ヶ月すると、昔に起こった都合の悪いことを忘れて、都合のいいところだけ覚えている状態になり、昔は楽しかったのになーと思うようになる。でも本当は、意見がぶつかり合って、価値観が違うなってなって、その解決策を探すこともせずに、別れるという決断をしたことに責任はあるのにだ」


「ほうほう」


「だから、そもそも復縁なんてさせずに、普通に他の人と付き合っていれば、いいところも悪いところもその場で、同じ時間、時期で考えることができるし、相手にもその状況を許しているじゃん。だから、本当にいい人には、離れてほしくないし、努力するようになると思うんだよ。ポイントは、結婚してもこのルールをやめないこと。ずっと努力しなきゃいけないプレッシャーを作り出さないといけないからな」


「なるほど! つまり、もし、彼女に男ができて、捨てられて困るのはその男だから、頑張るようになると」


「そんな感じ。結局は浮気を試みても、束縛しないやつのもとに戻ってくると思うぜ。そんな事が本当にできるやつは面白そうなやつだろうし、魅力もあるだろっていう希望的観測も込めて」


 あんまりこういうことに頼っていてはいけない気がするが、まあいいとして。


「やってみる!」


「おうおう、ちなみに、男はエッチするとき、ハーレムのときより、男2人に、女性1人の方が興奮するらしいぜ」


「へー、ならあれだね。フーゾクに一人で二人を相手にするプランを作れば、お互いに儲けられてwinwinってやつだね」


「お、いいなそれ」


 これも、悠真の周りじゃ普通の光景。性に関してオープンな環境。変なジョークも言い合える。だけど、女子が変なジョークを言ったら、少し違和感を感じるこれは、無意識の差別なのだろうか……?


 とにかく、環境というものを大切にする。クローズな環境なら、性に関する知識も身につかずに、事件が置きてしまったら、あとになって大変だ。だから、オープンな環境を作っている。


 性に関して語っているから、罪悪感的なものが出てくるだけで、これを、親子関係が中の良い……心理的に安全な関係を作っておいていると思えば普通だろう。意外と、親子でも言えないところばっかりだろう。むしろ、周りに多すぎて、心配する必要がないレベル。


 そういや、学校のアンケートなんだよな。近くに相談できる大人がいますか? ……いるわけないじゃん。先生でも無理だよな。だって、言ったら何言われるかわからないような人ばっかりだし……そもそも、尊敬できるような先生……大人がいないっていうのは本当に可愛そうだよな。


「それにしても、俺もAmazonの返品無料のを買って返品して、やっぱり購入してを何度となくしたことか……」


 もし俺が、モテる男なら、きっとこれが、捨てた女の残骸なのだろう……。違うな。一度くらいそんな人生を送ってみたいものでした。


「あー、だから、玄関にユーマの捨てたダンボールの残がいが転がっているんだね。せめて、丁寧にまとめておいてよね!」


「すいません」


 誤りながらも、頭の中では変なことを考え続ける。


 考えること自体は楽しいし、誰に咎められることもないし、。


 あとは、さり気なく、相手が浮気しているという証拠をジョークのつもりで聞いてみる。そしたら、男なら、絶対に自慢したくなっちゃうなー、


 ジョークのつもりで聞く際には、お互いの信頼関係が気づけていることが大切だが、ソラなら問題ないな。外交的だし、共感能力高いし、何より、俺の話を聞いても怒らないという許容力もある。


 賢くなってきたというかなんというか。


 大丈夫だ。俺は悪くない。俺は悪くない。むしろいいな。普通の人と違う思考ができている。人はこれをクリティカルシンキング(批判的思考)と呼ぶ。


 疑いながら考える力……ただ、たまに愚痴が入ってしまうから、批判的思考という名前はぴったりだな。


「でもでも、よく考えたら、そんな事してたら、やっぱりホンノー的に、束縛戦略により子どもを残してきた女性の戦略がつかえなくなっちゃうじゃん」


 悪気を思っていっているわけでもなく、純真? なような邪悪な質問を天真爛漫に。


「確かに、一人の男に責任感を持たせて、他の人と子どもをつくらせずに、一緒に子どもを育てるという戦略は使えないな。でも、昔は閉鎖的なコミュニティで、それで良かったかもしれないけど、今はあまりにも多くの人と出会うことができるから、逆に、すぐに相手と自分はあっていなかったんだということがわかる。それもまたいいんじゃないか」


「そっか! 別に、一人の人に固執する必要ないんだ!」


「養育費だけ取れるように証拠を準備しておけば問題はない。まあ、今の話は俺の妄想でしかないのだけど」


 やったことないというか、人と付き合うのが難しいというか。


「おー、ソラでじっけんしろと?」


「まあ、そういうつもりではないけど」


「そもそも、これからの時代、一つのことにしがみつくなんてリスクなんだ」


「なるほど、優香は3人のうちの一人なんだね」


「そうだな」


 適当に答える。というより、この場のノリで答える。


 別にそういうノリにはなっていないのだが。


「なにが?」


 すると、優香がどこからともなく現れ、会話に興味を持つ。

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