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私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ  作者: 柚木 潤
第3章 失われた記憶編

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84話 祭と警戒

 私は街中をブラックに案内してもらいながら、五百年祭について話を聞いたのだ。

 名前の通り、この世界に移り住んで五百年目の記念のお祝いらしい。

 どうやらその祭りの間は城を開放して、歌や踊りを楽しんだり、色々なイベントが行われる様なのだ。

 食事やお酒などはその期間全て無料で提供され、誰もが楽しむ事ができる祭りらしいのだ。

 私は目を輝かせてブラックの話に聞き入っていた。


 そして二人が城に戻ると、昨日までと違ってお祭りの準備でみんなが忙しそうに動いていた。

 ネフライトはいつもに増して働いており、手伝っているのか邪魔しているのかわからないがアクアも一緒に仕事をしているようだった。

 先ほど会ったユークレイスもいたが、軽く会釈しただけで、こちらに来る事はなかったのだ。

 さっきと違い、ある意味いつものユークレイスであった。


 私は落ちていた携帯の事は気がかりではあったが、今はお祭りに参加できる事が楽しみでならなかった。


「舞、来ていたのか?

 三日後には祭りが始まるぞ。

 舞も来るのだろう?」


 アクアはちょうど良かったと思ったらしく、やっていた仕事を投げ出して、こちらに駆け寄って来たのだ。

 

「ええ、ブラックから招待を受けたので参加させてもらうわ。

 何か手伝える事はあるかしら?」


「そうだねーじゃあ・・・」


 そう言って耳元で囁いたのだ。

 どうも、あるイベントに参加してほしいとの事なのだ。

 私はそれを聞いて二つ返事で引き受けたのだ。

 

「何ですか?

 私には内緒の話ですか?」


 ブラックが面白く無い顔をして呟いたのだ。


「ああ、ブラックには内緒だよ。

 その方が面白いからね。

 まあ、祭りの時を楽しみにしていてよ。」

 

 アクアはそう言って笑い出したのだ。

 ブラックは諦めたように私たちを見て、ため息をついて笑ったのだ。


「まあ・・・いいでしょう。

 楽しみにしていますよ。」

 

 アクアが参加するのは今回が初めての事で、私以上にワクワクしているようだった。

 五百年ほどアクアは、昔の魔人の城の地下に眠っていたようなものなのだ。

 誘われたイベントは、祭りの時に魔人の王に見てもらう事になっている為、それまでは内緒で進めるようなのだ。

 毎回そう言うものらしく、ブラックもわかっていたのでそれ以上は詮索しなかったのだ。


      

              ○


              ○


              ○



 私はカクのお屋敷に戻ると、すでにヨクもカクも城から帰って来ていた。

 すると、ヨクがオウギ王より魔人の国の祭りに王の代理として、来賓で参加するようにと話があったようなのだ。

 カクも参加を促されたようだが、どうも魔人達と会う事自体が緊張するらしく今回は辞退したらしい。

 そして警護としてシウン大将も一緒に行く予定のようなのだ。

 私は、二人にブラックから招待を受けた事と、そこで行われるイベントに参加する話もしたのだ。


「ほう、舞も何かに参加するのであれば、行く楽しみが増えるのう。」


 ヨクはそう言って、楽しげに笑ったのだ。

 しかしすぐに真面目な顔になり、話を続けたのだ。


「あの落ちていた舞の世界の物は、何もわからずじまいかい?

 そうであるなら、少し警戒しなければな。」


 確かにヨクの言う通りなのだが、私は何をどう警戒すれば良いかわからなかった。

 せめてあの言葉の意味が分かればと思うのだが、光というのは光の鉱石くらいしか思い当たらなかった。

 しかし私はどこに行くにも、薬を持ち歩いているし光の鉱石の粉末も持っているのだ。

 

 もう一度落ちていた携帯を開いて隅々まで確認したが、あの言葉以外は気になるものは無かったのだ。

 ただ一つわかる事と言えば、この世界にこの携帯を使えるのは私以外いないという事なのだ。

 もちろん異世界転移した者が他にいるのなら話は変わるのだが。

 しかしこの言葉を見て読む事が出来るのは、ロック画面を解除出来る私だけなのだ。

 だから、私へのメッセージである事は確かなのだ。

 


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