表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢分析シリーズ  作者: 堀川士朗
2/10

第二夜 「順番」

今週もやってきました。

夢分析シリーズのお時間です。

あなたを不思議な夢の世界に

いざないます。

お代は一切頂きません。

私が欲しいのは人間の心。

人間の心なのです。

ドィ~ン!

((((*゜▽゜*))))


 第二夜

 「順番」


      堀川士朗



玉城だか玉置だか忘れたけどタマキティナに似ているかわいい女の子が僕ら四人の先頭を歩いている。

彼女は黒いワンピースを着ている。

僕より10歳くらい年下だ。

次に母。母は外行きの服で着飾っている。

次は祖母。和服を着て、ちゃんと美容室で洋髪パーマネントをやってもらっている。

最後に僕。だらしないジャージ姿。

の順番。

四人の今日のお出かけ。

古びた商店街を歩いている。

この街は知らない街だけど服屋が多い。

コ〇キが着るような服がそこかしこに吊されていてどれも100円だったが買わなかった。

人出はあまりない。

あっても何かユラユラと歩いている。

太陽は出てるんだか出てないんだかよく分からなかった。

どこからかミルクセーキの匂いも漂ってきた。


ティナ似のこの子はかわいいな。もっと髪色を明るくしたら似合うだろうな。

思い切ってオレンジピンク色にしてしまうとか。


「ここ亀有とか巣鴨の商店街に似てない?」


と僕はティナ似の女の子に言った。


「ごめん分かんないやそう言われても」

「え。どこ育ちのお嬢さんなの?君は」

「悪いけど山の手だから」


この子は顔はとてもかわいいけど性格は悪そうだ。


商店街を抜けた路地には、青いトタン屋根の屋台の焼肉屋さんが数軒並んでいた。

煙りが立ち昇り良い匂いがする。


「ねえ食べていかない?すごく美味しそうだよ」


と母とティナに向けて言ったが、首を横に振る二人。


「今お腹すいてない。もうお腹すかないかも」


とティナは僕に言った。


ビルの螺旋階段を下りる。

洞窟のような入り組んだ道を行く。

地面はごつごつした岩だ。

うんざりするほど暗い。

どうやらこの先が駅のようだ。

そこから電車に乗り、どこかに出かけるのだろう。

今日のお出かけはこのようなルートを通らなければいけないようだ。


祖母はさっきから悲しい顔を浮かべて無言でいる。ティナと母が先を歩いているのが嫌だったみたいだ。


何でだろう。


しばらく歩く。

狭い隙間が見えてきた。

向こうから光が差し込んでいる。

人が一人かろうじて通れるか通れないかの隙間。

器用にティナは一番乗りでスルスル通り抜けていく。

若さってすごいな。

次に母も少し苦労したけれど通れた。服装の乱れを気にしていた。


「ねえ帰りはタクシーにしようよ。こんな道のりもう嫌だよ」


と僕は向こう側の母に言った。

母は反論した。


「何言ってんの。ティナも通ったのよ、楽をしちゃいけないよ」

「でもババちゃんが」


僕は祖母の事をいつも「ババちゃん」と呼んでいた。

年寄りなのにこんな目に遭わせてかわいそうだと思ったんだ。

僕は祖母のお尻を「ごめんね」と言いながら押して、祖母はこの狭い隙間をやっと通り抜けた。

ふうふう言いながら悪戦苦闘しつつも。


ああ。僕の番だ。


何度か向こうへ行こうとしたが狭すぎる。

ズボンとお腹の所が引っかかって無理みたいだ。

通れない。


「あのさあ、お兄ちゃんは早く来ない方が良いよ」


と向こう側の妹のティナは言った。

「え?」となって、その言葉の意味を確かめる前に、みんなは僕を置いて駅の方に行ってしまった。


この隙間は僕の体は通りそうもない。

しばらくまだ。


何十年か先か。


独り。

残された。



    第三夜に続く



はい。

ご覧頂きましてありがとう

ございます。

まだまだ続く夢分析シリーズを

これからもどうか宜しくお願い致します。

毎週土曜日アップ予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ