1政変
国王を乗せた馬車は街の大通りを走っている。
あの金ピカの馬車は実に悪趣味だ。
周りから湧き出る大衆の歓声。
パレードは順調に進んでいる。
我が祖国アレン王国は先の大戦において合衆国と戦い、そして敗れ去った。
そして合衆国はすべての植民地の割譲を要求しそれをアラン王国はさざるおえなかった。
その上私の故郷であるザレーヌ地方まで取られてしまったのだ。
あの馬車に乗ってる国王はその雪辱的な条約に調印したのだ。
敗戦の雪辱はいつまでも忘れない。
少佐である私、コルシカとその友、リガースは屋上から馬車を見下ろしていた。
「あの馬車の上にいる売国奴を見てどう思う。奴はあの条約に調印したのだ。」
「コルシカさん落ち着いてください‥‥誰かに聞かれたらどうするんですか‥‥」
「私には夢がある。リガース、この国の指導者になってこの国を覇権国家にする!そして私は文明の頂点に立つ!」
私は拳を上げて澄んだ空を見上げ叫んだ。
その時風が吹いた。コートがなびく。
私は空に向かって睨んでいた。何かを確信し、何かに怒りをぶつけるように‥
パレードは無事、終了した。
――――――
兵舎が私の家だ。
パレードが終了したのでコルシカは兵舎へと帰った。
兵舎にはコルシカの部下がいる。マックスとロナルド、レイチェル、カレン等々‥
どうやら部下達は兵舎の裏庭にいるようだ。
私は柵から覗き見る。顔を出しすぎると見つかってしまうのでほどほどにしときたい。
「マックス、なにするんだよ!」
「ロナルドくん‥‥離さないよ‥‥」
ロナルドに抱きついてる黒髪ショートの美しい美少女はマックスだ。
マックスはロナルドに抱きついて離さない。その胸をロナルドに押し付ける。
マックスはロナルドに対して偏愛を抱いてるようだ。
ロナルドはマックスに対してある意味で恐怖まで感じているがヘタレなのでガツンと言えないでいる。情けない。
マックスがロナルドに必死に愛を注いでる中割って入るものが出てきた。
「‥‥ロナルド‥‥一緒にアリさんみよ‥‥」
そこの金髪ロングで美しい美貌を持つ女の子はレイチェルだ。顔はおっとりしていていつもなにを考えてるかわからない。ある意味でミステリアスだ。どうやらレイチェルもロナルドに好意を寄せてるようだ。しかしその表情からはなにを考えてるからは読み取れない。
「レイチェル!?私のロナルドくんを取るきなの?」
マックスがレイに対して向けるまなざしは狂気そのものだ。
マックスはレイの胸ぐらをつかむ。そしてナイフを取り出す。
あのナイフは訓練用だ。刺さったら致命傷にもなりうる。
しかしレイチェルはなんともない表情で首をかしげる。
「あ、アンナやめてよ!」
「マイク‥‥マイクは大丈夫!私がいるよ!この女から貴方を守ったあげる!」
「いや違くてアンナ!そうじゃないんだ!」
マックスは手を上げてレイチェルをナイフで刺そうとする。
しかしなんともないようにレイチェルはナイフを受け止める。
レイチェルは対人格闘術の成績は私の部下の中でも一番だったはずだ。
その時喧嘩を止めるものが入った。
「やめてくんろ」
カレンだ。その茶髪のウォーターフォールヘアはとても美しい。
ウォーターフォールヘアの結び方は祖母に教わったらしい。
カレンは常時笑顔でマックスを見つめていた。
彼女は地方出身らしく方言が抜けてない。
この部隊の「お母さん」ともいうべき役割を果たしてる。
「そんなに怒らなくてもええんなん。仲良くしてくれたらうれしいんよ」
「カレン!‥‥レイチェルはロナルドくんを取ろうとしたのよ!」
「マックスが愛する気持ちはよくわかるん。でも暴力はだめよ」
「でも‥‥」
私はふと思い出した。
(あっ)
明日は「あれ」をするはずだ。そう心に誓った。なぜ「あれ」を忘れたのかはわからない。
何日も何年も「あれ」考えてきたことのはずだ。彼らがこんな日々が送れるのも今日が最後になるかもしれない。
私には「失うもの」がない。そう、きっとやり遂げるのだ。
祖父の意志を継いで。
ーーーーーー
次の日、私は部下を広場に集めて整列させた。そして演説を行う。
「ことは急を要する。よって手短に話す。これより緊急作戦が発動された。ジオルド将軍が軍事クーデターを仕掛けたようだ。君たちの部隊は議事堂周辺に集合しろ。」
部下は動揺した。当たり前だ。
こんなことを急に言われてもどうしろというのだ。
「先ほども言ったようにジオルド将軍がクーデターを仕掛けたのだ。我々は重要な防衛拠点である議事堂の護衛を命じられてる。失敗すればこの国は崩壊する。諸君らがこの国の命運を背負ってるのだ!くれぐれも不手際のないように」
コルシカの声は広場の隅々まで響いた。
部下達は動揺している。
「ロナルド、ど、どういうことだ。クーデターって?」
「わからない‥‥そんなことより招集がかかってるから早く行かないと」
命令に従って部下達は急いで準備をしている。
私も議事堂に向かわなければ。
ーーーーーー
一時間ほど移動用車両で向かったら招集地である議事堂前に着いた。
私は議事堂の扉を堂々と開き侵入した。
そして議員達の集まる本会議室まで進んでいった。
ドン!
ドアを勢いよく開いた。
議員達は動揺している。急すぎて対応できてない。
(大丈夫だ‥‥心配ない)
私は自分を落ち着かせた。
そして私は多数の議員がいる中本会議室内で演説した。
「我が国は危機的状況にある!今こそ議会を解散し新政府樹立の宣言をするべきである!そのために今議場にいるのだ!」
私は開口一言から過激な発言をかました。
当然議員は私の話を遮ってヤジをかました。
「貴様はなにをしてるのかわかってるのか!」
「越権行為である!今すぐ逮捕しろ」
罵声が議会の中に飛び交った。
構わず私は続けた。
「先の大戦、前線では勝っていたにもかかわらず国王は敵国と結託し敗北した。そしていまや屈辱的な条約に調印し国民は困窮、植民地は全部奪われた。それが現国王である!貴様らはそれらの手先とでもいうのか」
私の声はよく響いた。
本会議室は一瞬静まり返った。
その時である。
一人の兵士が入ってきた。私の部下だ。
(あいつは‥‥ロナルドか‥‥なぜここにいる)
「貴様、なにをしてる。待機が命令のはずだ。命令違反は厳罰にー」
「しょ、少佐こそなにをしてるんですか」
私はにやけた。
そして口を開いた。
「はっきりと言おう。これはクーデターである!当然法律上招集された部隊全員が共犯となる。貴様もな」
「え‥‥」
ロナルドは言葉が出なかった。
議場にいた議員一同は唖然とした顔で私を見つめていた。
これで状況を理解していない議員連中もわかっただろう。
「私は演説をしてるわけでも議論をしてるわけでもない。要求だ!この新政府樹立という要求に従わないなら議場の軍事制圧という手段に出る。これから始まるクーデター、誰が最後に笑うか見てるがいい!」
【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】
すこしでも
・面白かった
・続きが気になる
と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。
今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。
何卒、お願いします……!