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ツン騎士シリーズ

使用人達の会議

作者: たかやす

ツン騎士シリーズ

 花が咲く季節となりました。今日は久しぶりに使用人会議が行われます。会議といってもそんな大層なものではございません。井戸端会議みたいなものでございます。 


 あら、失礼いたしました。私、バーバラ様についております使用人の1人、オリアナと申します。お嬢様が生まれた時からお仕えしております。お嬢様は容姿が華やかでございまして、よく誤解を受けることが多く密かに悩んでおられるのです。あのような性格なものでございますから、人から何かと誤解を受けやすくあまりよく噂もなく、使用人一同、ご家族様も胸を痛めているのでございます。一度髪色を太陽のようなオレンジ色から黒檀のような黒色に染めたことがございました。それはそれでとても艶やかな美しさでございましたが、お嬢様は清廉な印象にしたかったようで落ち込まれていたのでございます。ああ、お労しい。


 お嬢様の美しさには何にも変えがたいものでございますが、ここでお嬢様のことを語り尽くそうとすると、お時間を頂戴してしまいますのでやめておきましょう。使用人会議といっても集まれるものが集まり、近況の報告、新人の使用人達について、流行り物などの情報共有を行うのでございます。最近の主な話題と致しましてはバーバラ様の慕われているクリフ様でしょうか。お嬢様の婚約事情は語るも涙、聞くも涙の有り様で多くを語ることは致しません……。特にかのお方のせいでその事には特に神経質になられてしまって……。見ているのも辛かったのでございます。そんなお嬢様に思い人ができたとはどんなに良いことでございましょうか!使用人一同、お嬢様のために何でもする一存でございまして、そのことは前々回の使用人会議で全会一致で決まりました。


 元々クリフ様とは五大侯爵家連名で行われる夜会の打ち合わせや警備の関係で出入りしている内に親しくなったのでございます。五大侯爵家連名で行われる夜会は薔薇の夜会とも言われており、元々は公爵家だった五大侯爵家になる前から行われているのでございます。元公爵家の御令嬢様が人ならざる者に嫁ぐ際に行われた夜会を引継ぎ、薔薇の夜会として現在まで行われているのだとか。今でも妖精や精霊、獣人に竜達が参加したりしているようでございますね。そのため警備や食べ物も気を使うようでして、打ち合わせがいつも以上に、綿密に行わなくてはいけないのでございます。その警備の担当が我らが侯爵家御当主様で、王家の警備担当の方々の中にクリフ様がいらっしゃったようでございます。詳しい馴れ初めはお嬢様が恥ずかしがってお話ししてくださらないのですが、それはそれは素敵な出会いだったのではないかなと思っております。


 また話が逸れてしまいました。申し訳ございません。そうそう、使用人会議ではクリフ様のことが少し前から話題に上がるようになりました。家族構成やお金のこと、政治に関すること、友人関係、恋人や想い人の詳細情報などを家長である旦那様からの命令で諜報活動を担う部署の方々総出で洗い出しをされたようでございます。ご両親は既に他界しておりまして、ご自身が働いて兄弟達を食べさせているようでございますね。他の兄弟達は家のことをやりながら、下の子達の面倒をみているようでございます。私共も将来のバーバラ様の旦那様になるお方でございますので、すぐ下の双子の妹様を下働きとしてまずは雇い入れ、バーバラ様かヨハン様付きのメイドにしようかと考えております。向き不向きがございますので、まずはご本人様達にお会いしてから決めましょう、ということになっております。クリフ様自身は滅法剣の腕が立つようでして、竜殺しの称号をおもちとか?この国の中でも1、2位を争うほどの剣の腕をお持ちのようでございます。ただ、ご本人様は出世に興味はないようでして、近衛への推薦も断ったと聞き及んでおります。ご友人の方々も侯爵家と対立するような立場の方はいらっしゃらないようです。恋人や想い人もいらっしゃらないようで、使用人一同安心しております。


 これで憂いなくバーバラ様の旦那様としてお迎えできるように外堀を埋めていけます。バーバラ様は可愛らしく家事を頑張っておりますが、婿入りさせてしまえば良いのでございます。外の世界はバーバラ様が考えている以上に危険が多く、結婚という契約を結び祝福をもたらされるとはいえ何があるかわかりません。旦那様も侯爵家の外へ出すことを許されておりません。バーバラ様には大変申し訳ないことでございますが、この侯爵家でクリフ様と幸せにお過ごし頂けるよう、このオリアナ心を砕いて誠心誠意努めさせて頂きます。

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