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支えてくれる人

「梨子…梨子!!!」

「ママ!起きた?」

「ママァー。」


私が目を覚ますと、夫と二人の息子達が泣いていた。

相変わらず哲平は泣き虫で、息子達は彼に似たんだろう。

私は手を握りしめる彼と息子達を抱きしめて微笑んだ。


「頭痛くないか?全く、二度も心配をかけて。」

「大丈夫。よかった、死ななくて。」

「縁起もないこと言うなよ。」


私の頭には包帯を巻いており、動かすと少し痛みを感じた。

あれから倒れて意識を失った私は、緊急検査を受けたが幸い異常なく、こうやって目を覚ますことができたようだ。

そして三人の涙が落ち着き、私達家族四人笑い合っていたときゆっくりと個室の扉が開いた。


「梨子、よかった。本当に。大変だったのに手伝ってあげられなくてごめんな。」


それはー父だった。

もう後期高齢者になり随分年を老いたが、元気に生きている。


私はタイムスリップのように、あれから現代に戻ってはこなかった。

パラレルワールドというのか、ここまでまた別の人生を生きていた。


その後の私の高校生活はというと、最後まで部活動に励み、休日には家事手伝いをした。

高校卒業後は近所の大学に進学し、母の介護を手伝い父を支えながら最期を看取った。

母の死後、父は何度か血管や心臓の手術をし、持病をコントロールして生きてきた。

母が生きれられなかった未来を、彼女が迎えが来る日その日まで生きるとー父は生きる希望を失わなかった。


そして哲平に恋に落ち付き合ったのは、やはり大学卒業後だった。

彼との恋愛から結婚は変わらない過程で、やはり哲平との運命は抗えないものだと思った。


「梨子、今まで一人で本当に大変だったよな。気づかなくてごめん。俺、来月からにはなっちゃったけど育児休暇をとることにしたから。それまで退院してからは俺の実家で療養してくれないか?」

「義母さん達に迷惑かけないかな?っていうか哲平の職場にも。」

「心配するな。梨子が笑顔でいることが、俺も息子達も一番の幸せなんだから。」

「…お父さんもサポートするからな!」


私は心が暖かくなり、夫が私のために整えたサポート体制に感謝した。

私には支えてくれる人がいる。幸せ者だ。


二度の人生を送ってしまい記憶が混同するためか、自然と一度目のことは忘れてしまうことが多い。

しかし倫太郎との恋は、一度目も二度目もよく覚えている。きっとこの先も忘れないと思う。


私はまた窓から、高校の校舎を眺めた。

校庭では部活動をしている生徒がいて、楽器の音も聞こえてくる。

辛かったことも楽しかったことも経験した青春を過ごした懐かしい場所だと思った。


きっと私のように人生をやり直した人なんていないと思う。

いたとしても、私もそうだけど絶対に口には出さないだろう。


二度生きて思うけれど、これからは人を傷つけずに後悔しないように生きていけたらと思う。

私の初恋がそうだったように、また二度も同じ人生を繰り返すことのないようにね。



end

妄想だけはお得意で三日坊主の私が、ノリで書いた初小説です。

ここまで読んでくれた方には本当に感謝します。


そもそもエピソードは着色をかなりしてますが、大筋はノンフィクションになります。

最後の展開は私の夢に出てきたもので、ちょうどその日にナラタージュの映画を見ました。

叶わない初恋の苦しさを痛感し、この話を書いてみることにしました。


誰にでも叶わない恋は経験してるのではないでしょうか。

主人公は過去を変えてハッピーエンドにはなったけれど、実際人は二度と変えられない今を後悔しながら生きている。

現実世界の辛さと葛藤を続話で書いていきますので、よろしければそちらもご覧ください。

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