天国への階段
マッチに火が点かなくなった千尋、いったいどうなる?
千尋が目覚めたのは不思議な世界、周りには白い羽衣の無数の天使達。
天使達の背中には真っ白な大きな羽が生えています。下を見ると、千尋のいた廃墟の街並みが、ミニチュアのオモチャのように広がっています。
天使達に導かれながら千尋の体は天高く登って行きます。綿菓子のような雲を突き抜けると、真っ青な空が広がっています。金色に輝く天使達に囲まれた千尋の体は、青い空の彼方に向かって、どこまでもどこまでも上昇して行きました。
しばらく天使達と上昇の旅を続けていた千尋は、水晶の宮殿にやってきました。天使達に導かれた千尋は、宮殿の中に足を踏み入れました。宮殿の中は今まで見てきた世界とは比べ物にならないくらい美しく、全てのモノが宝石でできています。千尋が七色に輝く宮殿の廊下を歩き始めると、金色に輝く部屋にたどり着きました。千尋はその光の中に入っていきました。幼い頃に何度も何度も見た夢、光の先にはいったい何があるのだろう?
洋館で光の中に入った時は、雪景色が広がっていて元の世界に戻りました。また元の世界に戻ったらイヤだなと思った千尋は、躊躇して足を止めました。すると、どこからか「大丈夫よ千尋」という声が頭の中に聞こえてきました。千尋は安心して光の世界の中を進みました。しばらく歩くと、人形やぬいぐるみ、ゲーム等千尋の大好きなオモチャが無数に並んでいる部屋にたどり着きました。その奥に綺麗なドレスを着た女性が座っています。女性は優しい笑顔を千尋に向けました。
「お母さん」と千尋は、その女性の胸に飛び込みました。千尋はしばらくその女性の人の胸に顔を埋めて、力いっぱい抱きしめました。
「もう大丈夫よ千尋」とその女性は、千尋の長い髪を優しく撫でました。
すると千尋のボロ服はたちまち美しいドレスに変わりました。
ここは大地震で廃墟となった街、ほとんど人も寄り付かないゴーストタウン。神に見捨てられた街ともいわれている。その廃墟に雪は容赦なく降り続き、氷の世界に変えている。この雪に埋もれた廃墟の街で、一人の小さな少女が死にました。死に顔はとても穏やかで、楽しそうに笑っているように見えます。雪はますます激しさを増し、少女の死体を埋葬するかのように隠しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
作者の山本若沖です。
ノクターンノベルズで、エロチックサスペンスばかり投稿している私が、ファンタジーに挑戦しようと思って作った作品が不思議なマッチです。
エロチックサスペンスならすらすら書けるのに、ファンタジーは、続きを書こうとする度に何度も手が止まり、完結まで時間がかかりました。ファンタジーは簡単そうに思えて意外に難しいです。
この作品はあの有名な童話、マッチ売りの少女がモチーフになっています。内容は全く違うので、盗作にはならないだろうと思います。
一話目は、主人公の千尋が、お城の王子様と結婚式をする話です。
二話目は、有名なテーマパークを参考に、こんなアトラクションがあったらいいだろうなと思って作った作品です。
三話目は、アイドルになった千尋が、マネージャーに恋をするせつないラブストーリーです。
四話目は、レトロの小学校をモチーフに作った作品です。最後の洋館探検の場面は、私が夢で見た光景を混ぜて作りました。大勢の子供達のゴーストが歌う場面は、あの有名なホラースポット、メリーさんの館での体験談が参考になっています。
五話目は、千尋が天使達と天国に行って、お母さんに逢ったところでハッピーエンドをむかえます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。




