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新しい世界へ
聖也君が、なにかを振り切ったように言った。「ずっと考えていた事があったんだ。俺、やってみることにしたよ。兄貴と仕事しながら、建築の勉強して、じいちゃんみたいな仕事人になりたい。今なら、できる気がするんだ。詩穗、ありがとう、」
私は、頷いて「すごい、目標が、あったんだね。お爺さんみたいに、なれるといいね。あきらめないで、頑張ってね。私も絵を描く勉強してみようと思う。私の絵を見た人が、元気になるような、そんな絵を書ける人になりたい。」
私たちは、その後少し黙ったまま下を向いた。
そう、別れの予感。あの頃のようには、もう戻れない。会えなくなる。お互いに決めた夢のために。




