33/43
再会
あんなに会いたかったのに、言葉が出てこない。聖也君は、そんな私とただ黙ったまま一緒に居てくれた。どのくらい時間が、過ぎただろう。「ここに居てくれて、良かった。会えて嬉しいよ。」聖也君が、優しく笑った。あっ、カチコチに氷ついた心が、溶けていくように、涙がこぼれた。「ずっと、会いたかった。」しぼりだすように、やっとの思いでいった。聖也君は、黙ったまま、うなずいた。そして、静かに話はじめた。「じいちゃん、一度は、回復してたのに、頑張ったけどダメだったんだ。詩穗になにから話せばいいのか、わからなかった。」




