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お帰りって、言ってくれる人。
パパとあんなふうに話をしたのは、初めてだった。今日もいつものように電車に乗って、学校に行って来た。ママ、どうしてるかなぁ?「いらっしゃいませ~、あらっ詩穗ちゃんじゃない。お帰り、学校は~どうだった?元気がないねぇ、さては、テストの点が悪かった?先生に呼ばれて、また家に帰りなさいって、お説教されたとか~」凄い想像力、そして実際に起こりそうな事ばかりで、笑ってしまった。駅前の喫茶店のママだ。家を出でてから、毎日のように学校の帰りに行ってたら「いらっしゃい~から、お帰り~」になっいてた。おまけにお客さんが増えると、「詩穗ちゃん、手伝ってくれない?バイト代バッチリあげるから~」だって、まったく上手いんだ。私が、元気ないときは、必ずおかしな事を言って、私を笑わしてくれる。今の私に唯一、毎日「お帰りって」言ってくれる人。私のママとは、大違いだなぁ。ママは、不器用で、まじめで、いつも一生懸命。でも、そんなママが、私は、幼い頃からずっと大好きだった。




