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今、きっとどこかで~
「聖也くん・・・」受話器の向こうからは、パチンコの音ジャラジャラ~「もしも~し詩穗、どうした?」いつもと同じ底抜けに明るい声・・聞いた瞬間、どうっと涙があふれでて、止まらなかった。私は、市川詩穗、16才 高校一年生、電車通学するようになった私は、友達も急に増えた。中学からの仲良しの子に彼が できてからは、その彼の仲間と私も遊ぶようになった。そのなかにいたのが、聖也くん。パチンコやの常連で
稼いでは、みんなをご飯に連れて行ってくれた。聖也くんは、高校には、行かなかったらしい
何年も前から、働いていらしい。受話器の向こうが、急に静かになった。「何かあったのか?今、どこだ」と聞いたことない声で言った。