15/43
帰ってきて。
私、本当に一人ぼっちになってしまったんだ。いつかこんな日が、来ると思ってた。聖也くんには、ずっと好きな幼なじみの女の子が、いる。知ってる。知ってるけど、知ってたけど。聖也くんに甘えていた。ずっと不安だった。無理だとわかってる。でも、お願い、お願いだから、聖也くん帰って来て。心の中で、叫んでいた。気が付くとポロポロ、涙がこぼれてきた。小さい頃から、泣き虫だったなぁ、私。「えーん、えーん。」「どうしたの?しぃちゃん、かわいい顔を見―せ―て―」ママは、私が、泣くと必ず一緒に居てくれた。そして笑わせてくれた。「何があってもママは、詩穗ちゃんの味方よ。大丈夫よ。心配ないわよ。」といつも勇気をくれた。ママは、私が、一人になってしまうと、不安で心配で、こうなることをわかってたんだ。急に雨の音が、大きくなったと思ったら、ドアの閉まる音がした。顔を見上げると聖也くんが、立っていた。




