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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第1章 異世界
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第5話 これから

 何もできなかった。

 私は彼に昔、救われたというのに。

 彼が困って、助けを求めてる時に私は、ただ見てるだけしか出来なかった。



「うぅ…うっ…うっく……!」



 今も私は布団に包まり、泣くことしか出来ない。

 情けなくて、悔しくて、こんな自分が大っ嫌いになる。

 思い返す、私が戻る前に背中越しに言われた王妃様の言葉。



『私が憎いのならば強くなりなさい!自分が憎いなら守れるだけの力をつけなさい!』



 私の気持ちを見透かしたように言われた。

 あの時確かに王妃様が憎かった。でもそれ以上に自分自信が憎かった。

 あの人の言ったことは正しい。この世界は私達の知る世界とは違う、文字通り命がけの世界。



「…強く…ならなきゃ…ッ!」



 泣いてちゃダメだ。もう涙は要らない…。求めるのは守れるだけの力。

 私の力は、みんなの怪我を治す治癒属性。

 みんなの前に立って守ることはできないけど、私が強くなればもう、大切な人たちを失わずに済む。



「私…頑張るから。……翔太くん」



 私はこの覚悟を今、心に刻む。



 ーーーーーーーーー



 とある一室


 其処には、大きな机を挟んで座る2人の男女。

 男の方は若く、まだ成人にも満たない。かたや女性の方は、美人で大人の雰囲気を醸し出している。



「今日は1日で色々な事がありましたねぇ」



 女性が頬に手をやり、しみじみと語り出す。



「ホントに、もうこうこんなのうんざりですよ…」



 今日の出来事を思い返し、大きな溜息をつく男性。その顔には疲れが見えていた。

 その時突然、ぐぅぅぅ…と男性の方から聞こえる。



「あらあら、文字通りお腹の虫が鳴いたわね」



 女性がクスクスと笑うと、男性は顔を赤くし俯く。



「仕方ないじゃないですか…今日は昼から何も食べてないんですから」



「そういえば私も食べてなかったわ。今、食事を運ばせるわね」



 そう言うと机の上にある、小さな呼び鈴を2回ほど鳴らす。

 するとドア越しから「失礼します」と挨拶をし、男性が1人入って来た。



「夜食を2人分お願いね」



「かしこまりました、少々お待ち下しい」



 女性の言葉を聞くや否や、入って来た男性は直ぐに踵を返し厨房へと向かった。



 女性は「さて」と仕切直し、向かい側に座る男性へと向き直る。



「じゃあこれからの事についてお話ししましょうか。ねぇ…








 翔太様」



「はい。あと様はやめて下さいって言ってるじゃないですか」



 歯車はまだ、回り出したばかり。

読んで下さっている方々、ありがとうございます。

投稿が遅くて申し訳ございません。できるだけ早く投稿していく予定なので、ゆっくりで良ければ皆様お付き合い下さい。

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