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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第1章 異世界
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第1話 謁見

 あれから僕達は美少女…名前はミーア・フォン・ラース(と言うらしい)さんの、場所を移して話をしようと言う提案に賛成し今、石で作られた螺旋階段を上っている。

 どうやらさっきの薄暗い部屋は地下だったみたい。



 そして驚くことにミーアさんはこの国の王女様らしい。

 そのことを聞いた時、神坂君は「おおお、王女様!?」とテンパり、八城さんはさっきとった態度のことで少し顔を青くしていた。

 かく言う僕も目が飛び出るんじゃないかって言うくらい目をひん剥いて王女様を見た。

 他のフードを被った人たちは王女様の護衛の人らしい。



 そんな感じでこれまでの事を纏めてたら後ろの方が騒がしいことに気付いた。

 主に神坂君絡みで。



 はぁ、またやってるよ…。見なくても何が起きてるかわかる自分に少し嫌気が指す。



「あ、あの!お名前を教えていただいてもいいでしょうか?」



「僕は神坂誠也です!よろしくお願いしますね王女様」



「セイヤ様ですか!私は先ほど申した通りミーアと言います。私のことは気軽にミーアと呼んで下さい!」



 いつかやるだろうなぁ、って思ってたけどまさか階段の途中でイチャつくなんて…。正直やめてほしい。

 あっでも今回はマシな方かも。いつもなら此処から他の女子も加わって、より一層うるさくなるし。今回は相手が王女ってことで、みんな下手に近づけないんだろうね。



 その代わり女子の嫉線と男子の死線が凄いけど。



 早く階段終わらないかなぁ。



 そんな願いが通じたのか、両開きの扉が見えて来た。



 あと10段弱で出られる!

 みんなも扉が見えたことで少し元気を取り戻したみたい。



 僕達は階段を駆け上がり扉から外に出た。



 眩しくて一瞬目を閉じる。それから前を見るとそこには、同じ甲冑を着た人がたくさんいた。

 その中で1人だけ違う装飾の付いた甲冑を着た人が、僕たちの前に出てきた。



「君たちが召喚された者たちだね?私は騎士団長のグラスだ。話は聞いてると思うが、今から国王様と謁見してもらう」



 えっ!?そんなこと聞いてないよ!?



 僕は王女様の方に視線やる。よく見るとみんなも、聞いてないって顔で王女様を見ていた。

 でも、神坂君だけは「はい!」って返事してたし彼だけには話したのかな?



 ちなみに王女様は横を向き視線を逸らしてる。



 これを見ていた騎士団長さんは、わざとらしく咳払いをし話を続ける。



「ゴホンッ!そ、そう言うことだからみんな着いて来てくれ」



 着いて来てくれって言われても…いきなり国王様と謁見なんてそんな。



「さぁ早く行きましょ誠也様!」



 王女様に急かされ、神坂君は引っ張られるようにして騎士団長さんの後を追って行く。

 それを見た僕達も渋々といった感じでついて行く。



 よくよく考えたら国王様に謁見するって事は此処お城の中だよね?



 そう思うと自然と辺りを見回す。



 白を基準とした綺麗なお城だなぁ。というか本当に長い廊下なんて存在するんだ。絵画や美術品なんかもあったけど、正直芸術はわかんない。ただわかるのは全て僕達じゃ、手が出ないほど高価なものって事ぐらい。



 そうこうするうちに謁見の間に着いたみたいで、僕を含むみんなが緊張した面持ちで扉の前に立っている。



 騎士団長さんが扉の前にいる扉番みたいな人と1言2言話すと、謁見の間の扉が開き中へ入って行き、その後の僕達もついて行く。



 中は広く先生と僕達30人が入っても全然余裕がある。



 うわー、レッドカーペットなんてはじめ見た。どこまで続いてるんだろ?



 レッドカーペットを目で追いながら歩いていると、みんなが止まったのに気づかず前の人にぶつかった。

 咄嗟に「ごめん」と謝り2歩ほど退がる。



 てか、この世界に来て僕が初めて発した言葉がごめんかぁ。

 なんか複雑。



「国王陛下、異界のものたちを連れて参りました」



 よく見えないけど今喋ったの騎士団長さんだよね?あれ、騎士団長さん跪いてない?僕達も跪いたほうがいいんじゃ…。



「うむ、ご苦労であったグラスよ。下がってよいぞ」



「ハッ!失礼します」



「さて、お主らが異界の者達か、随分若いな」



 うわぁ本物の国王様がいるよ…。いやこの世界じゃ当たり前かもだけど。絶対あの1番上にいる人だよ、貫禄のある顔、白い髪はオールバックにしてる。王冠みたいなの被ってるし顎髭すごいし間違いないよ。隣にいるのは王妃様かな?綺麗な人、この世界にも黒髪黒目の人っているんだ。ウェーブのかかったロングヘアー。目は穏やかだけど、なんだか退屈そうにも見える。



「はい。そして私がこの子達の担任をしています、南香住ミナミカスミと申します。彼等はみんな16歳です」



 あ、代表で先生が対応してる。



「ほう16か。我の娘と変わらんな、そうかそうか。さて前置きはこのくらいにして本題に入らせてもらう。お主らの力で世界を救ってくれんか」



「お力になりたいのは山々ですが、残念ながら私達にその様な力はありません」



「その事は我も、とある過去の文献で知っておる。そしてその文献に異界の者を呼ぶ方法と、その者達に力を授ける方法も記されておった。だからこの世界で戦うための力と戦う術、そして衣食住はこちらが保証しよう」



「その話本当ですか?」



「うむ、この世界のために戦うのだ。これくらい当然のこと」



 確かに保証してくれるのは有り難いけどやっぱり戦うのは…。



「その話引き受けましょう」



 えっ、引き受けちゃうの!?周りを見るとみんなも驚いてる。

 神坂君だけは相変わらずだけど。



 代表して八城さんが先生の理由を求めた。



「どうして引き受けるんですか先生!幾ら何でも危険だと思います!」



「確かに危険です。ですが、私達はこの世界を知らない。そんな世界で生きて行くのは不可能に近いです。なら今は国王様の案に乗るべきだ、そう私は判断しました」



 みんな何の言えない、先生の言ってることが正しすぎるから。



 黙って見ていた王様がアゴの蓄えた立派なヒゲを撫でながら、一歩前にでる。



「話はまとまった様だな。では早速、お主らに力を授ける。皆の者!始めよ!」



 国王様の合図と同時に、僕達を囲っていたフードを被った人たちが何かを呟きだした。

 それと同時に僕達の足下と頭上に魔法陣が現れる。



 眩しっ!



 やがて僕達は、目が開けられないほどの光に包まれた。

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