挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。

ある愛の詩〜口裂け〜

作者:ミカ=エル
『欲』
人間には数多くの『欲』がある。
『食欲』
強ければ強い程多ければ多い程時に更なる食物を得ようと他者に害をなし肥え太り健康に害をなし自分の寿命をも縮める。

『色欲』
性の快楽を求める余り平気で他者に害をなし自分の身体をも傷付け果てには寿命をも縮める。

全ての行いにおいて罪が生じそれに対する罰と言えるものがついてまわる。
さて、ではこれから話すモノ達の持つ欲と罰とはどんなものだろうか。
其れ等は夕暮れ・・・所謂逢魔ヶ時=黄昏時、本来は誰彼(たそかれ)時と言う、辺りの時間から現れ始める。

マスクをした一見すると美男美女である者達であるがそのマスクの下にある口は肉が裂け耳の付け根あたりまでが口となって顔をしているのだ。

その多くの最初はマスクをしたままこう問い掛ける
「わたし/おれ、綺麗?」と。

そして次にマスクを外したその顔で口を釣り上げこう問い掛ける。
「わたし/俺は本当に綺麗?」と。


「いやぁあああ!よらないデェっ!!」
そして今まさに帰宅途中の道で聞かれた派手な(なり)をした女性は逃げ出した。
「ねぇ?わたしきれい?かって聞いているのよぉ〜」
雰囲気からなにから追う方も似たような背格好服装だから見ようによっては夜の仕事の女性が酔って戯れているようにも見えたかもしれない。・・・見ている人が居れば、だが。

「イヤァァア〜来ないでよぉ〜〜!綺麗!きれいだからぁ!きらいよぉ〜!来ないでよぉ〜」叫びながら自身のアパートに辿り着く。
と。
追いかけてきていた女は立ち止まっている。
「・・・・いやぁよ・・・そうじゃないのよぉぉ〜ぉ」
言い残し身体がボヤけ煙のように消えていく『ソレ』

逃げ疲れた女は
「もぉなんなのよぉなんだったのよぉ」
アパートの門に寄りかかりしゃがみこんでいた。

「でさでさ!あたし会っちゃったのよ!口裂け女!!マジマジ!絶対絶対!すごく怖かったんだからぁ!」
部屋に入りしばらくするとそんな感じで電話する程にはすぐに元気を取り戻していたが。




またある繁華街の一角では

「ねぇ?ちょっと俺につき合ってくれないかな?」

「えっ?えっ?私ぃ?私ですかぁ?」
「えっえ?わたしの方ですよね〜?」
残業帰りであろうか少し酔った風の女性2人がお互いに肩を貸して歩いていた所に2人より少し若いくらいの男に声を掛けられていた。
マスクをしているが見た目も格好も爽やかで黒のスーツ姿はどこかのホストだろうか

「いや、お2人共可愛らしい方なんで2人で構わないんだけど」

「きゃっやぁだぁ〜2人共っ〜!」
「か、可愛らしい、ですか」
もう1人よりも少し酔った感じの髪が短めな女性が賑やかに反応しセミロングでどちらかといえばもう1人を支えてる女性は困ったように言う

「ちょっとここだとアレなんですぐそこの公園にまず入りませんか」
男性が少し先の左にある公園を指差す

「きゃっやぁだぁ〜公園でぇ?なにするのぉん?2人も連れ込んでぇ〜?」

「わ、わかりました。ちょっと肩貸して貰っていいですか?」
明らかに酔いが回り良い気分になっている同僚目立っているのに気が付きとりあえず公園のベンチにでも休ませようと決意して男性に声を掛ける
が、
「早く行きましょう」
「えっちょ、ちょっと!まっ、まっ」

肩を貸している反対側の手を引っ張られてしまい半ば引きずられるように、同僚を引きずるように公園の中に入っていってしまう
(もうっなんなのよっ)

「やぁあ〜強引なのもたまにはぁ良いけどぉ良いよねぇ」
「もうっ!ほら、しっかりして」
どこを見て話してるか分からない同僚を引っ張りながら歩く」

「とりあえずこの辺で良いかな」
ベンチが見えた。

「あ、ありがとう?」
なんか違う気がしたが一応礼を言う

「ねえ?俺って格好良いと思うかな?綺麗かな?」
突然男性が聞いてくる

「??」
「かぁっこいいよ〜?スゴくシュッとしてて格好良いと思うなぁスーツ似合ってるし綺麗とも言える、んじゃないぃ?」
「ちょ、ちょっと!ひろこ!」
同僚が抱きついていた

「これでもそう思う?言える?」

「・・・え?」
男が、マスクを外していた。

「キャァァアア!いやあああ!」
「あっ?!ひろこ?!」
いい感じに酔って抱きついていた女性はすごい速さで逃げていた

「あっあ、あ、あ」
足が竦む

「ねぇ?俺。俺って綺麗?」
再び男が問い掛けてくる

「・・・き、きれい、だとおもい、ます」
顔を見て言う
すると
「ほんとうにぃ?」
少し笑い聞いてくる・・・口が大きく裂けて涎のようなものが光る

「ひっ、ほ、ほんとうです。髪型もスーツに合ってるしそ、その、身長も高くて顔も・・・目がキリッとした感じで格好良くて・・・」

「・・・そう・・・そうか・・・」
男は何故か項垂れた。
と、顔を勢い良く上げ
「違うんだよぉ〜!そうじゃ、そうじゃないんだぁ〜!そうじゃないんだ、よぉお!」
顔を両手で覆い・・・その体が薄れ、煙のようになり細くなって行き消え去る

そして後には
「・・・もぅなんなのよぉ」
泣きながらペタン、と腰を落とした女性が1人で残された




そしてここはまた違う地区のそれほど広くない公園。

「はぁ。人が居ない。」
マスクをした髪が長くスーツを着たOLのような女性が1人でベンチに座っていた
軽く落ち込んだ風にブツブツと言っている

そこへ
「フギャア〜オ!!」「ンギャァーォオ!」「フシャーッ!」「フシャーッ!!」「ギャン!!」
ガサッガサガササッ

ガサササッ

猫が飛び出してくる。
尻尾の短い猫が尻尾の長い猫に追いかけられているようだ。身体は追いかけられている方が大きい。

「フギャァ!!」「フシャーッ!」

やがて追われていた方が木に登り追いかけていた方を上から威嚇する形になっていた

「あ〜ああ、ダメね」
女性は立ち上がり猫の近くに歩み寄る
背が高い。

「フギャア〜!」「シャー!!」
「ほら、あっち行きなさい」
「フシャーッ!!」
「こーら」
マスクを外して猫をしかる

「ギニャァーオ」「フシャーッ!」
「あなたもダメ」
木の上に居る猫もしかる
「ニャァーオ」
追いかけていた側の猫が背中を向け去っていく。
「あまりいじめちゃダメよ」
「ンニャァーオォ」
「ふふっ別にいじめてるわけじゃないよ、って言ったみたい」

呟き木の上を見、
「ほら、あなたも降りていらっしゃい」
「ンニャーォ」木の枝にしがみつく

「ほら、降りられないんでしょう」
「ニャーォ」

「もうっ、ほらっ」
ジャンプする。

「ほらほら。怖かったんでしょう?あの猫よりも降りられない事の方が怖かったんじゃない?」笑いながら猫に言う
と、
「お姉ちゃん、きれいだね」

声が、した。

「えっ?」
びっくりして猫を放してしまう
「えっ?」
振り返る

「ふふふっ」
小学生になってるかどうかという歳の女の子が居た。
女性を見て笑っている

「えっ?」
マスクは・・・していない。
女性は・・・
「わたしの、こと?」
女の子を見て問い掛ける
「うんっ!」
元気な答えが返ってきた。
「・・・あぁ」
涙が出てくる

「もう一度・・・聞くわね?」
少し屈んでしっかりと女の子を見ながら言う
「うん」
・・・
「わたし・・・きれい?」

女の子は

「うん!!お姉ちゃん綺麗!綺麗だよ、すごく!」
はたして女性の顔を、目をしっかりと見ながら言った。言ってくれた。

「ああ!!・・・あぁ!!ああああ!!嬉しい!」
涙をポロポロ流しながら泣く。

「お姉ちゃん、光っていてまた綺麗になった。良かったねお姉ちゃん」

「え?」

自分の身体を見ると中から光の粒が溢れ出し自分をのみこんでいく。

「ありがとう。ありがとうね。これでわたし・・・・」

「うん。お姉ちゃんがんばったね。良かったね。さよなら」
女の子が笑顔で手を振ってくれる

「ありがとう。さよなら・・・でもこんな遅い時間に1人で出歩いたら駄目よ」
女性は光になり消えていった

「・・・うん。良かったねお姉ちゃん。」


「・・・・っ!・・・!」

「あ、おばあちゃんが呼んでる」
公園から走って出て行こうとした所で止まる

「ああ、映子〜こんな所まで来てたのかい。今日は地獄の蓋が開いて色々なモノが彷徨ってるから危ないよ。早く帰ろ」

「うん、おばあちゃん」
2人手を繋ぎ帰宅の途につく

「おばあちゃん、さっきね?口が大きなお姉ちゃんが居たの。綺麗な人だったのに迷ってたみたいだから送ってあげたよ!」

「・・・あぁ、そうかいそうかい。そんなことをしてたのかい。・・・あの子達は可哀想な子達だからねぇ」

おばあちゃんは空を見上げながら話をした。




おばあちゃんが映子を探してる最中の事

「ねぇ、お婆さん。私綺麗かしら?綺麗に見えるかしら?」
若い女性に背後から質問された。

「見た目だけは綺麗に見えるねぇ?あんたは何故そう質問をするかわかっているのかぃ?どんな答えを望んでいるのかわかってるのかぃ?」振り返りざまに答えと質問を返す

「・・・なに?なんなのよ?」
その女性は戸惑い疑問を口にするが
「「あぁ綺麗だよ」と答えてもあんたは浮かばれないのさ。それは気が付いてるかね?」
更に質問を畳み掛ける

「・・・なんとなくは分かってるわよ、そんなこと。でも仕方ないじゃない。その言葉を求めるように本能が、魂が言ってるんだからさ」30代くらいだろうか、着飾った女性が拗ねたように言う

「今までの自分がどういう生き様をしてきたかを振り返って『綺麗』という言葉がどういうものか、何を指して言われたいのかをよーくお考え。あたしゃ孫を探してる途中で忙しいから行くよ」
そう言いおばあちゃんはそのまま再び背を向け歩き出す。

「・・・もぅっ!なんなのよ!」
女性もまた煙のように消えていった




「生まれ持った容姿が綺麗・着飾ったものが綺麗、化粧が綺麗。立姿が綺麗。綺麗だ・綺麗だ、と言われて言われ続けた挙句に外身の綺麗さにしか興味が無くなって中身の綺麗なモノ達を蔑ろにして亡くなったモノ達。その罰を受けてる可哀想なモノ達さね。その醜くなった外見を晒して尚「綺麗」と心から言われないと救われないのだからね」

「わたしも大きくなったら気をつけないと」
女の子がおばあちゃんを見ながら言う

「映子は大丈夫じゃないかねぇ元々そんなに綺麗綺麗って言われる程の器量よしじゃないからねぇ」

「あぁっ!ひどぉ〜い!」

「あははは、ごめん、こめんよぉ」




そして今日もどこかで『救いの言葉』を求めるモノ達が問い掛ける

「わたし/おれ、綺麗〜?」


〜終〜


お読みいただきありがとうありがとうございます☆

いかがでしたでしょうか。

読み終えた後、何かしら心に残る物があれば幸いに思います☆



評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ