第Ⅱ章 『母の死、引き離された双子』
僕達が生まれ堕ちてから、4年の歳月が流れた。
そして、音も無く廻り始めた歯車が牙を向けた……。
ーーその先は……
母だった……ーーー。
僕はいつもの様に従者の闇狼と一緒に部屋にいて窓の外を見ていた。
僕が見てたのはサクラとマリア。
2人は仲良く遊んでいた。
サクラはマリアの愛をたくさん、受けていた。
ーー僕は一度もマリアの愛を受けた事は無い。
勿論、父である魔王の愛も……。
きっと、それは、サクラも同じだろう。
フッと僕の意識が別のモノに捕らわれていた時に、それは、起きた……ーーー。
外から聞こえる、野獣の鳴き声とサクラの悲鳴に気付いた僕は外に出たくても出られない。
ただ、僕は外に広がる深紅の血を見る事しか出来なかった。
それから、どれぐらいの時間が経ったのだろう……。
外にサクラの姿も無く、僕の周りには魔王の家臣が居た。
僕は自分の周りで何が起こっているのかが分からなかった。
一緒に居た闇狼は押さえ付けられ、闇狼が
「お嬢、逃げろ‼︎」
と言う声が何度も聞こえた。
でも、その時の僕に逃げる手段はなかった。
周りの状況が把握出来ず対処出来なかったからだ。
すると、家臣の一人が僕の手を掴んだ。
僕は必死に抵抗したが所詮は、大人と子供。
力では大人が強い。
僕は振り返り闇狼に手を伸ばした。
ーー助けて…。
その一心に闇狼に手を伸ばしたが届く事はなく、僕は部屋の外に出された。
城の廊下は広く、僕が進む反対側から聞き覚えのある声が聞こえた。
ーーサクラ…?
そう…反対側からサクラが家臣に連れられて来た。
ーーサクラも抵抗したけど、ダメだったんだ…。
僕は半ば諦めてたが近付いて来る、サクラの為に抵抗したが虚しく押さえ付けられた。
僕とサクラが擦れ違う時、初めて出会う僕達は本能的に互いに小さな手を必死に伸ばし、
知らない筈の互いの名を呼び合った。
《さくらー‼︎》
それでも、伸ばした手が届かず離れ離れになった。
この時、僕は誓った。
僕達を引き離した奴らに復讐し、届かなかった手をもう一度、掴もうと…ーーー。