第Ⅰ章 『禁忌の双子』
僕達が生まれ堕ちたのは、魔界を統べる魔王とその妃のマリアの間だった。
だけど、僕達は双子で双子は禁忌とされていた。
でも、マリアだけは知っていた。
僕達が…ーー。
『運命の双子』
だと…ーー。
『1000年に一度、一族に双子が生まれ。
その双子は始祖の先祖返り』
だと、マリアの一族では言い伝えられていた。
そう…1000年に一度、一族に双子が生まれたのは…紛れもなく、僕達の事だった。
始祖の先祖返りで始祖と同じ容姿。
そして、始祖と同じ呪いがある双子…。
それが、僕達だ。
禁忌の双子。
それは、互いに顔を会わせる事など絶対に許されない僕とサクラの事。
僕の部屋はサクラの部屋の様に豪華ではない。
サクラの部屋にある小さな扉…。
それが、僕の部屋に繋がる扉。
僕達は顔を会わせる事は許されない、だが部屋は隣同士だった。
扉の向こうから聞こえてくるのは楽しそうに話すマリアとサクラの声。
ある時は庭から響くのはサクラと腹違いの弟、夜鳥の声。
僕は外に出られない。
だから、部屋から見える世界が僕の世界だ。
しかし、僕達が生まれ堕ちた事によって音も無く廻り始めた歯車がその牙を向けるその時……ーーー。
ーー僕達の世界は大きく変わった。
そう……ーーー。
ーー『母の死』によって。