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運命の双子  作者: 雨音 唄乃 -Utano Amane-
第1部 始まりの物語
19/70

第ⅩⅤ章『鍵の目覚め』

「……んっ……っ」


目が覚めると部屋には誰も居なく真っ暗だった。

でも、部屋の窓が開いていて淡く月明かりが射し込みカーテンが風に揺れていた。

私はベッドから降りて窓に近付きテラスに出た。


テラスに出て夜風で漆黒の長い髪を風が靡いた。

靡いた髪を押さえる事もなく私は月を見上げた。

大きな青白い満月、綺麗で神秘的な光を放っていた。


「………櫻」


左の鎖骨下の黒薔薇の模様に触れ、私は櫻の名を呟いた。

私の呟きは夜風と共に消えて行った。



部屋の外では…ーー


「サクラ、目が覚めたのか…」


サクラの部屋の扉を開き声をかけず扉に寄り掛かりサクラの後ろ姿を見ていたのは、夜鳥やちょうだった。


テラスに出ているサクラの後ろ姿を安堵の表情で見詰めていた。


夜鳥やちょう様?

どうかしましたか?」


廊下から歩いて来たのは白い燕尾服を着た白狼はくろうだった。


しーっと言う様に人差し指を立てて、ニッと笑った。


「何ですか?

…嗚呼、姫様が目を覚ましたのですね。」


夜鳥やちょうの隣に白狼はくろうも行きテラスに出ているサクラの後ろ姿を見て安堵の表情を浮かべた。


「良かったですね、夜鳥やちょう様(微笑)」


優しく微笑み隣にいる夜鳥やちょうを見た。


「っ!…煩い////」


「そんなに、照れなくても良いんじゃないですか?」


照れている夜鳥やちょうをクスッと白狼はくろうは笑った。


「笑うな‼︎////」


赤面になり夜鳥やちょうは顔を背けた。


「おやおや、素直じゃないですねぇ」


と言いながら白狼はくろうはクスクスと笑っていた。


「…夜鳥やちょう白狼はくろういるの?」


テラスに出たサクラが夜鳥やちょう白狼はくろうに気付いた。


「はい、姫様。」


隣で夜鳥やちょうが慌てる中、何も無かったかの様に白狼はくろうはサクラに近付いて行った。


「さぁ、姫様。

外は冷えますので中にお入りください。」


テラスに出たサクラに手を差し出した。


「ありがとう。」


白狼はくろうの手を取ると眠りに就く前と変わらない微笑みでサクラは笑った。


サクラをソファーに座らせ白狼はくろうは手を離し、カーディガンを肩に掛けた。


「ありがとう、白狼はくろう

ところで、夜鳥やちょう


「な、なんだ?」


「どうして、そんなに遠くにいるの?」


いつもなら傍に来てくれる夜鳥やちょうがまだ、扉に寄り掛かっているのだ。


「い、いや。

な、何でもない…」


サクラの目の前のソファーに夜鳥やちょうは座った。

それを見た、白狼はくろうは再びクスッと笑った。


白狼はくろう

どうしたの?」


「いえ、何でもないですよ」


夜鳥やちょうをチラッと見ると微笑みながら紅茶をサクラと夜鳥やちょうに淹れテーブルに置いた。


「でも、サクラが目覚めて良かった…」


「心配掛けてごめんなさい…。

でも、もう大丈夫だから…」


「姫様が眠りに就いてから夜鳥やちょう様は姫様が目を覚ますまで、屋敷に毎日来てたんですよ。」


「えっ…?」


白狼はくろう

お前、余計な事を言うな!」


「良いじゃないですか、本当の事なんですから」


ニッコリと微笑む白狼はくろうを赤面になりながらも睨み付ける夜鳥やちょう

それを見たサクラはクスッと笑った。


「どうしましたか?」


「どうした?」


「ううん、何でもないの。

でも、夜鳥やちょう白狼はくろうも心配してくれてありがとう(微笑)」


満面の笑みを浮かべているサクラを夜鳥やちょうは更に赤面になり顔を背け、白狼はくろうはいつもと変わらない笑みで笑いかけていた。


(このまま、幸せな時間が続けば良いのに…)

とサクラは心の中で思った。


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