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プロローグ
※この物語は歴史上実在した人物を基にしたフィクションです。
プロローグ
昭和16年12月8日、大日本帝国は米英に対し宣戦を布告した。外務省職員の失態により、最後通告が遅れた。既に作戦中の大日本帝国海軍機動部隊は、米ハワイのパールハーバーを攻撃し終えた時で、だまし討ちとの汚名を後世に残す事になってしまう。開戦当初は、全戦全勝で破竹の勢いを見せていた大日本帝国陸海軍であったが、ミッドウェー海戦での大敗北を喫したあたりから、日本軍は敗北の坂道を転がり落ちる事になる。戦局の悪化と共に、国民皆兵に成らざるを得なくなる。ついには、学徒動員によって銃後にいるはずの大学生や20歳に満たない少年兵までもが、徴兵あるいは志願していく。本編の主人公である山久好太郎も、そんな学徒動員によって徴兵された予備学生の一人であった。この物語は、この男の想像を絶する死への恐怖と、生への執着、葛藤。そしてそれを受け入れ、祖国と愛する家族の為に出した結論を描いた物語である。