優等生の理由
今回は、私が優等生キャラを目指す理由を語りたいと思う。
私が優等生を目指し始めたのは、初等部4年の時だ。それまでは、先生方に媚びる事も無かったし、頭も聖麗学園の中では悪い方だった。そんな私を変えたのは、一人の男の子だった。
カッコよさで言えば、明らかに黒田薫の方が上だ。でも、性格で言えば私の事を変えた男の子の方が良いと思う。
その男の子との約束が私の意識を替えたのだ。
美樹良太、成績は学年トップだが、運動はダメダメ。典型的な優等生という感じの男の子。これで眼鏡をかけていれば完璧に、物語に出てくるような優等生である。しかし、残念ながら眼鏡は掛けていない。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
その良太と約束を交わしたのは、3年の5月位の放課後だったと思う。私はテストで悪い点を取ってしまったため、補習を受けていた。初等部の生徒で補習を受けるということは前代未聞らしい。その事から、私がどれだけ頭が悪いかわかるだろう。
補習といっても基本的に軽い補習なので、先生が付く事は無い。代わりに先生役兼見張りの意味も含めて、学年トップの良太が選ばれたのだ。
私はその当時、良太の事が気になっていた。だから二人っきりになれる補習が楽しくてたまらなかった。良太は愚痴一つ溢さずに真剣に教えてくれたが、私は彼の事ばかり考えており、全く話を聞いていなかった。当然のごとく、再テストをしても私の成績は向上しなかった。その時に良太が言った約束が・・・。
『じゃあ、桜の成績が僕の事を追い抜いたら、付き合ってあげるよ』
この言葉は今でも鮮明に覚えている。良太が顔を真っ赤にしながらそう言ったのだ。私はその時、恥ずかしがって嫌そうな返事をしたが、内心では満更でもなかった。その約束を聞いてから私は必死に勉強した。3年の後期にやっと成績は学年トップ10の仲間入りした。
良太を追い抜くのも時間の問題だったかも知れない。しかし、良太は4年の初めに転校してしまった。今となってはどこにいるかも分からないが、どこかで元気に暮らしていると思う。
嘘です。
え?って思った貴方にもう一度言います。嘘です。
すいません!!!途中から嘘ついてました!!!!!
結局、良太の事は好きだったけど、勉強は嫌いで全く手を付けずに再テストに臨み、悪い点を取る。悪い点を取ってやる気が無くなり、また勉強しない。この繰り返しを何度も行い、さすがに良太も、3度目の再テストを受けている時は呆れてました。
じゃあ何故成績が上がったかというと・・・。
私の成績が上がった理由は、母親にあります。実は、とある日にポロリと補習があると言ってしまい、その補習という言葉が母を鬼に変えました。この補習の事で家族会議になり、家庭教師を付けようという事になりました。私はその後、毎日、毎日みっちりと勉強した結果、成績が上がっただけであって、約束のために頑張ったという話は嘘です。
その後、私の成績はグングンと上がり、先ほども言った通り、学年トップ10に入れるような実力にまで上がった。最終的に成績が上がった事を良太は喜んでいたが、私が家庭教師を付けたから成績が上がったと思っても見なかっただろう。だから、良太には悪い事をしたなと思っている。
私が優等生として生きていこうと決めた理由は、良太に恩返しというか、いつの日か、良太と会った時に私はこんなに立派になったよと見せたいという思いからだ。だから、私はせっせと勉強をして、先生に媚びて、内申点を上げていく。周りに何か言われたとしてもそれを貫いていこうと思う。