ゴブリンに襲われたので、攻撃したらダンジョンの天井までぶち破ってしまいました
その日の夜はお兄様とブラッドが交替で寝ずの番をすることになった。
皆に怒られた私は一人寂しくふて寝したのよ。
ふんっ! 魔術を使うな、って事なら、もう誰も守っても上げない。
雑魚の魔物が出てきてもお兄様かブラッドが退治するだろう。
むかついた私は自分だけ障壁を張るとぐうぐう嘘寝した。
「フランク様、どうされたんですか? 困った顔をなされて?」
イリーナのぶりっ子した声が聞こえてきた。
「いや、少しアリスにきつく当たりすぎたかなと思って」
お兄様の声も聞こえた。
そうそう、私にきつく言いすぎよ。
反省しなさいよ!
私はお兄様に思った。
「まあ、フランク様は妹思いのとてもお優しいお兄様ですのね」
「いや、そうでもないさ」
本当よ。
私をないがしろにするにもほどがあるわ!
私がそう思ったのに!
「あのような自分勝手なアリスが妹ではお優しいフランク様も心の安まる時が中々無いのではありませんか?」
イリーナの声にむっとしたが、
「まあ、その分、退屈はしないんだけどね」
何よ、お兄様、退屈はしないって!
どういう事?
「それは言えているよな。火をつけるのに、食材全て燃やすなんて普通はしないぜ」
ブラッドの馬鹿にした声がして、
「本当ですわ。アリスはいつもとんでもないことをしてくれるんですけど、私が止めようとしても間に合わないんです」
モンモンの明るい声が聞こえた。
「本当に規格外のアリスの相手をしてくれて、モンモンにはいつも頭が下がるよ」
ちょっと、お兄様! モンモンも言うことが規格外なんです。
その相手している私も大変なんですから!
でも、私の思いなんて届くことは無く、
「私なんて大したことはありませんわ。毎日お相手していらっしゃるフランク様の方が大変だと思います」
モンモンがしおらしく言ってくれた。
やることは確かに私は酷いかもしれないけれど、考えていることはあなたの方が過激でしょ!
その相手している私の方が大変なのに!
私は叫びたかった。
「まあ、お二人とも大変ですわ」
「俺達もその中に入るかと思うとこれから先が思いやられるよ」
イリーナとブラッドも言いだしてくれた。
四人の笑い声が聞こえた。
私の話題で盛り上がる四人の声を聞いて私はとてもむかついた。
最初はムカムカしていて絶対に寝られないと思ったけれど、相当疲れていたようでいつの間にか寝ていたわ……
ガン!
「痛い!」
私は障壁に誰かがぶつかった音で目を覚ました。
そちらを見るとブラッドが頭を抱えていた。
どうやらブラッドが私の障壁にぶつかったみたいだ。
ふんっ、私を仲間はずれにするからよ!
私はいい気味だと思った。
「おい、アリス、後ろだ!」
お兄様の声がした。
「後ろ?」
私が後ろを見て、ぎょっとした。
そこにはゴブリンの群れがいた。
10匹や20匹では無い。
大軍だ。下手したら100匹以上いる。
まだ寝ぼけていた私は、よく状況が理解していなかった。
目の前のゴブリンが剣を振り上げて私に斬りかかってこようとした。
「アリス、ギャ!」
慌てたお兄様が駆け寄ろうとして私の障壁にぶち当たって後ろに飛んでいた。
「えっ?」
私が振り返ったときだ。
「アリス、ゴブリンだ!」
「「「ギャッ」」」
「グッ」
「グウォーーーー」
ゴブリン達も私の障壁にぶち当たって吹っ飛んでいた。
ふんっ、私の障壁はそんじょそこらの魔物じゃ絶対に破れないのよ。
私は余裕だった。
「ああ、よく寝た」
私が背伸びした。
「グオーーーー」
ゴブリン達は私に馬鹿にされたと思ったのか、私を睨め付けているけど、私はそんなのじゃびくともしない。
「そうか、アリスは障壁を張って寝ていたのか」
お兄様が呆れた声を出した。
「ギッ、ギッ!」
「ギッ!」
ゴブリン達は何か叫びあって今度は私の障壁を叩こうとした。
ガキーン!
ゴブリンの一人が障壁に斬りかかってきた。
でも、私の障壁はびくともしない。
ガキーン!
ガキーン!
ゴブリン達は必死に私の障壁に斬りかかるがゴブリンごときが何人で斬りかかっても私の障壁はびくともしなかった。
私は首をコキコキ鳴らした。
ガキーン!
「キャーーーー!」
後ろでイリーナの悲鳴が聞こえた。
振り返ると回り込んだゴブリンがお兄様に斬りかかっていた。
お兄様はそれを受けてゴブリンに斬りかかる。
「ギャ!」
斬られてゴブリンは吹っ飛んだ。
ガキーン!
今度はブラッドだ。
「キャーーーー!」
モンモンの悲鳴が聞こえる。
一匹倒したが、ゴブリンは数が多い。
次々に二人に襲いかかっていた。
それを次々にお兄様達は捌くが埒があかないみたいだ。
「アリス、何故攻撃しないんだ?」
ブラッドが尋ねてきたが、
「だってお兄様が魔術使ったら駄目だって言うんだもの」
私がここぞとばかりに反論した。
「フランク、このままだと厳しいぞ」
「そうは言っても……」
「こんなところ燃えても何もないだろう」
「でも、ダンジョン自体が崩れる可能性があるぞ」
「失礼ね。そこまでしないわよ」
お兄様の言葉に私は反論したが、
「それはそうかもしれないが」
ブラッドも認めてくれるんだけど、
「何よ、それ、好きに言ってなさいよ」
私は剥れた。
「でも、このままだとやばいぞ」
動けない二人を守りながらの戦いは厳しいみたいだ。
「仕方が無い。アリス、お前の方に斬りかかっているゴブリン達だけをやってくれ」
お兄様が言ってきたが、
「ええええ! 面倒だわ」
私が肩をすくめた。
「おい、アリス!」
お兄様が焦りだした。
「アリス、貴様俺達を見捨てるのか?」
ブラッドも焦りだしてくれた。
「だって、皆して私の事を好き勝手に言ってくれたし……」
「お前聞いていたのかよ」
「いや、それはだな」
ブラッドとお兄様が焦りだした。
私を襲うのは諦めて、ゴブリン共は皆してお兄様達を襲おうとそちらに向かいだした。
「おい、アリス、やっつけてくれたら、イチゴパフェおごってやるから」
お兄様が言い出してくれた。
「えっ、私は食べ物では釣られないわよ」
私は一応断ったのよ。
「アリス、私の国で作られた最新の和菓子、イチゴ大福をあげるから」
「俺はホールケーキをやる」
「仕方が無いからうちの料理長の作ったとても美味しいクッキーあげるわ」
皆食べ物を並べてくれるんだけど……まあ、仕方ないか、食べ物は正義だ。
「アリス、早くしてくれ!」
「キャーーーー」
「アリス急いで!
モンモンらの悲鳴も聞こえた。
仕方が無い。
私はゴブリンの親玉みたいなのを見つけた。
こうなったら全部まとめて燃やせばいい。
「ヘルファイア!」
「止めろ、アリス!」
お兄様が止めようとしてくれたが、ここまで来たら止らない。
私の手から火の柱が飛び出して、目の前のゴブリン達を巻き込んだ。
ズドーン!
凄まじ火柱が上がる。
あちゃー、またやり過ぎた?
爆風が起こり、私も飛ばされそうになる。
私は必死に耐えた。
そして、爆煙が晴れた。
周りは焼き尽くされて、ゴブリン共は一匹も残っていなかった。
そして、ダンジョンの天井の一部が無くなり、青空が見えていたんだけど……
ここまで読んで頂いて有り難うございます








