1.北の大国皇女をぎゃふんと言わせました
幾多のお話の中からこの物語を見つけて頂いてありがとうございます。
「ララ、ララ、ラン」
私は今日も元気一杯だった。
今日はお馬さんがわざわざ北の大地からこの宮廷に遊びに来てくれるのよ。
ついでに私のお友達を連れてきてくれるという事だったけれど、どんな子なんだろう?
私はとても楽しみだった。
私より可愛いかな? 私のお馬さんはとても可愛い子だからと話してくれたから私はとても楽しみだった。私は透けるような金髪で大きな青い目をしていて、お父様がお人形さんみたいにとても可愛いといつも話してくれるけれど、自分がいくら可愛くても自分では鏡を見ない限り見えないから面白くない。それよりは隣に可愛い子を連れ歩いた方がじっくり観察できて良いと思うのよ。
モンモンも小さいパンダみたいでとても可愛いけれど、私と違って胸が大きいのよね。五歳で胸があるってどういう事よ? ぺったんこな私に対する嫌みと思ってしまう。だから、胸は大きくなくていいからもっと可愛い子が周りに欲しいのよ!
周りの男の子達はお兄様を筆頭に口うるさくて私はあまり一緒にいたくない。
一緒にダンジョンに行っても、すぐにもっと女の子らしくしろだとかおしとやかにしろだとか、モンモンを見習えとか愚痴愚痴煩いのよ。私がいなければサラマンダー一匹倒せなかいくせに、本当にいやになっちゃう。その子が私と一緒にダンジョンに行ってくれたら良いなと私は思っていた。
私が宮廷の長い渡り廊下を歩いている時だ。
「ちょっとあなた、私に跪きなさいよ!」
すぐ近くで声高に叫んでいる女の子の声が聞こえた。
「えっ?」
角を曲がるとモンモンが怖そうな赤髪のお姉ちゃんに虐められていた。
「そうだぞ。そこの小娘、こちらのお方はノルデイン帝国のイリーナ皇女殿下だ。跪いて通路を開けろ」
後ろで大きな声でいばりん坊の騎士が叫んでいた。
モンモンの後ろの騎士と侍女も驚いていた。
「何を偉そうに言っているのよ。ここはボフミエ魔導国よ。王女だろうが平民だろうが関係ないわ」
私を止めようと侍女達がする前に私は口出ししていた。
「何ですって、世界でいちばん強い国が我がノルデイン帝国よ。あなたがどこの馬の骨か判らないけれど、私に逆らうと後悔するわよ」
赤髪の姉ちゃんが私を脅してきたけれど……
「何言っているのよ。世界でいちばん大きな国は南のドラなんちゃら王国よ」
「アリス、ドラフォード王国よ」
横からモンモンが訂正してくれたけれど、良いのよ、長すぎるから本当に覚えにくいんだから!
「ふんっ、あなた、ドラフォード王国の関係者なの?」
「よく知らないわよ」
「いや、王女様だから」
横からモンモンが余計な一言を言ってくれたけれど、
「お母様が今はボフミエ魔導国にいるんだからその事は言うなって煩いのよ」
私がモンモンに言い訳した。
「何言っているかよく判らないけれど、私のお父様は赤い死神として世界に恐れられているのよ。世界でいちばん強いんだから」
女の子が自慢していってくれたけれど、
「違うわよ。世界でいちばん強いのはシャラおばちゃんよ」
私は反論した。
何しろシャラおばちゃんは全能神にも勝ったことがあると自慢していたのだから。高々死神なんかに負けるはずはないわ。
「何ですって! シャラおばちゃんなんて聞いたことはないわよ。ルカ、あなたはある?」
横の騎士に聞いていた。
「殿下。そのような者の名前は聞いたことがございません。陛下が一番強いかと」
その騎士も私を否定してくれた。
「ふんっ、世間知らずのお嬢様はこれだから嫌よね」
私は生意気な赤髪に言ってやったのよ。
「何ですって! あなた、私とやるの?」
女の子が私に喧嘩を売ってきたんだけど、
「別に私はやっても良いわよ」
私が前に出ようとして
「アリス様、お止めください」
周りが止める。
「イリーナ様。ここは私めが」
ルカとか言う騎士が前に出て来た。
「やるなら僕が」
私の前にはジャスティンジュニアが前に出てくれた。
「ほう、ガキが出るのか?」
男はジャスティンを見下して笑ってくれた。
いくら剣聖ジャスティンの子供だからって、まだ4歳のジャスティンにはこの成人の騎士の相手は無理よ。こいつは見た目は馬鹿に見えるけれど、実際は結構強そうだ。
こいつに勝てるのは私は周りを見て……あれ、いない?
「ビアンカ、あなたがやって!」
大の大人が縮こまって私の陰に隠れて見えないようにしていた護衛魔導師のビアンカを見つけ出して指名した。
「そんな、アリス様! 私はアリス様をお守りする義務があります」
ビアンカは必死に戦いから逃げようとしてくれたけれど……
「別に自分の身は自分で守れるわよ」
「しかし、アリス様……」
「大丈夫よ、ビアンカ。あなたは障壁で自分の身だけ守っていればいいから」
私が戦う方法をビアンカに伝えると、
「本当にそれだけで良いんですね?」
やっとビアンカが少しだけやる気になってくれた。
「それだけで良いからお願いね!」
私はビアンカに頼んでいた。
本当にビアンカは面倒くさいのよ!
障壁は完璧、大魔導師のジャルカも太鼓判を押しているのに!
ミラーで魔王を退治したこともあると聞いていた。
でも、自己こうていなんちゃらが足りないのだとか……
よく判らないけれど、要するに自分に自信がなさ過ぎるのよ。ちゃんとした能力があるんだからちゃんとすれば良いのに!
「ふんっ、小娘、俺の剣を障壁ごときで防げるわけはなかろう」
男はビアンカの障壁を馬鹿にしてくれた。
勝手にそう思って後で後悔すれば良いわ。
私はほくそ笑んでいた。
ビアンカは見た目は地味だけど、この魔術師の宝庫ボフミエ魔導国でも10指に入る魔導師なのよ。
「僕が戦いたかったです」
ジャスティンが私の横で唇を噛んでいるけど、ここで私の未来の騎士を潰すわけにはいかないもの。
私の夢は守りの魔術で最強の障壁が出せるビアンカを後衛に、最強騎士のジャスティンを前衛にして、冒険することなの。
「お前なら世界帝国を作るのも可能じゃ」
とシャラおばちゃんにも言われていたし……
北の皇女なんかに負けるわけにはいかなかった。
私達はそのまま中庭で戦うことにした。
「お嬢ちゃん。止めるなら今のうちだぜ」
「アリス様がああおっしゃったらやるしかないんです。言うこと聞かないと後が怖いですから」
ルカにビアンカが答える。
後が怖いって何よ! デザートを取り上げるだけでしょ。
お母様にいつも私がやられていることだからたまにはビアンカもそんな目に逢えば良いのに!
でも、あまりやるとお母様に言いつけられるから滅多にしないけど……そう言えばビアンカから取り上げた時は必ずお母様に怒られている気がするのは気のせいだろうか?
今度から取り上げる時は何か交換条件を出した方が良いかしら……
「死んでも知らないぜ」
「お手柔らかにお願いします」
ルカにビアンカは頭を下げた。
「では、行くぞ」
ルカは剣を握るとビアンカに斬りかかっていた。
ガキン
「キャーーーー!」
ビアンカは悲鳴を上げるけれど、ビアンカの障壁は完璧だ。
と言うかこの騎士相手に絶対に割れない分厚さの障壁を張っているんだけど……
古代竜相手でもビアンカの障壁は割れないと思う。
「くっそう、行くぞ」
ガキン!
「キャー!」
ガキン!
「キャッ」
ガキン!
「キッ」
ルカは何回も斬りかかるがビアンカの障壁はびくともしない。
ビアンカもなれてきたのか悲鳴も小さくなってきた。
「ちょっとルカ、何を遊んでいるのよ! そんな女の障壁なんてすぐに壊しなさいよ!」
「無理よ。ビアンカの障壁は古代竜相手にも通用するんだから」
イリーナに私が親切にも教えて上げた。
「そんなわけないでしょ。ルカいい加減に真面目にやりなさい」
イリーナがヒステリックに叱責していた。
「おのれ、こうなれば本気で行くぞ」
ルカは大きく振りかぶった。
これはソニックブレードでもやるつもりか? とばっちりで怪我しても馬鹿だから私もこちらで障壁を張る。
「ビアンカ、ミラーよ」
私は指示した。
「えっ、やるんですか?」
「さっさとしなさい」
「はい」
「喰らえ!」
ビアンカがミラーを張るのと振りかぶった男が剣を振り下ろすのが同じだった。
男から凄まじい気合いとともにソニックブレードがビアンカに襲いかかるが、魔王に襲われてもびくともしなかったビアンカの障壁は完璧だ。
それも今回はミラーがかかっていた。
反射だ。
そのまま反射してルカに襲いかかったのだ。
「ギャーーーー」
男は自分のソニックブレードを反射されて吹っ飛んでいった。
ドカーーーーン!
そのまま宮廷の壁を突き破ってしまったんだけど……
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
本日は全部で三話更新予定です。
お楽しみに!
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