表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァイオレントヴァイオレンス  作者: 遊里翔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

第一話 神が神を蹴り落とす

神が二人向き合っていた。人口島の廃工場。誰も声を出さない。数百の鼓動が、円陣を震わせている。潮風に削られた鉄骨が、夜を軋ませていた。所々に空いた穴から見える月明かりに照らされた煙突は、墓標のようだった。

 黒と白の特攻服が半々くらい。背中にはそれぞれ毘沙門天と銀色で武甕雷と金色で刺繍が施されている。

 今この場で総長同士のタイマンが行われている。

白側が、武甕雷の総長 荒井雷 神(あらいらい じん)

黒側が、毘沙門天の総長 鬼童 司(おんどう つかさ)

 武甕雷の副総長 烏丸 総士(からすま そうし)は考えていた。

 いくら鬼童でも勝てる訳がない。神の喧嘩は何回も見てきたけどその中でも群を抜いているのが、二人で沖縄に旅行に行った時にアメリカ兵五人組と喧嘩になった。総士が加勢する間もなく一瞬で殲滅してのけた。俺以上に巨体な黒人もパンチ一発で沈めていた。運動神経の全てを喧嘩に使う事に躊躇しない神は今まで一度も負けたことがない。格闘家も秒殺しているのを見たこともある。今も実際に神の方が押している。心配はない。

 不穏な空気を感じながらも、過去を思い返して負けはあり得ないと再認識した。そもそもガタイが違いすぎる。

 毘沙門天の副総長 鹿喰 奏 (かじき かなで)は司が勝つのが自明だと思っている。司の本気を見ると胃がひっくり返りそうになる。今だに慣れない。後処理も大変だ。今日はリミッターを上げ過ぎないでくれと心で願った。

 雷神は笑っていた。血に濡れた口元で。

「親の事は俺には関係ねえ!俺を殺して親父を引っ張り出す気なら無駄だぞ?親父は下界には絶対降りてこねえよ!」

司は何も答えない。

細い体。血に濡れた前髪。中性的な横顔。

 銀髪に染め上げた髪が赤く染まり美少年がさらに禍々しい空気を纏っていた。

 足元のアスファルトは、踏み締められた衝撃でひび割れている。

 神が再び闘いを始めるのを今か今かと数百の目が見ている。

「お前は神の器じゃねえ。神戸に神を冠するチームは二つもいらねえよ。神戸を支配するのは俺だ!」

 司は、静かに言う。

「神がどうとかどうでいい。お前の親父は絶対許さない。俺は処刑すると決めたら絶対に首を落とす。お前もな。」

 司は脳のリミッターを外した。その瞬間頭からドクドクと高速で脈打つ音が聞こえてくる。

 そして一歩、踏み込む。音はしなかった。

「首を落とす?何言ってんだ?」

 次の瞬間。司は神の肩くらいまで飛び上がっていた。足は振り上げている。風を斬る音。白側の人間は初めて耳にする音だった。

 ドゴっ 鈍い音が夜を裂いた。ぐちゃぐちゃ みりみりとゆう音がしたと思ったらそこにはあり得ない光景が広がっていた。誰も動けなかった。動けないとは呼吸や瞬きも含めて。毘沙門天の数人を除いては。初めて見る光景を見た者達は徐々に現実を理解し始めた。

 頭を失った雷神は終わった。至る所からびちゃびちゃと嘔吐する音が聞こえてくる。

神の体が崩れ落ちる。

阿鼻叫喚。これは本当に現実なのか?刃物も使わず何がどうなった?

水たまりに広がる血溜まり。

神は最後まで司に目を向け、やがて着地して転がっていった。頭部だけになって。

「今から武甕雷は毘沙門天の傘下だ。今日見た光景は記憶しておけ。人に話しても誰も信じないだろうが口は災いの元だ。」

 恐怖に支配された武甕雷のメンバー達は直立不動でハイと返事をし、司の動向を見ていた。

 遠くで雷鳴が響いている。雷神が泣いて後悔しているようだ。

 司はそして、ふと思い出す。小学生の時に決意した時の事を。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ