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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

帝国のつくりかた (短編版)

作者: ムックk
掲載日:2026/02/07

 「宇宙行ってみたいな.....................」


 俺は小さい頃によくそう言っていた。


 まあいわゆる、子供のときに誰しもが思うであろう、宇宙への憧れだ。


 しかし、高校で強豪校の吹奏楽部に入ってしまったことで忙しくなり、そんな夢は忘れてしまった。


気付けば30歳、彼女もいないし、趣味もない。


 会社と家を往復する、なんとも面白みのない生活を送っていた。








 だが、そんな俺にも最近、少しだけはまれるような趣味ができたのだ。


 それは、異世界転生系のラノベを読むことだ。


 正直、読む前は特にろくな内容も詰まっていない、しょうもない子供向けの小説だと思っていた。


 しかし、読み始めてると意外と面白くて熱中してしまい、今では、ラノベを読むことが自分の趣味だと思えるようになってきた。


 まあ、それでも恥ずかしくて、会社の人間や友人には言っていなかったのだが.................








「そういえば今日は本屋でセールやってるし、新しいやつでも買いにいくか」




 休日、俺は自分以外誰もいない寂しげな部屋で、そうひとりごとを言っていた。


 もちろん、誰もいないのでなにか言葉が帰ってくるわけもない。




 「小さい頃は、誰かしら反応してくれていたよな」




 一人でこんなことを言っているだけでも虚しい、そう思っていた矢先、俺はふと、あることを思い出した。


 それは、子供の頃に夢見ていた、宇宙に行ってみたいという考えだった。


 しかし、三十歳の時点でこんなことを思い出したところで、なにか現実が変わるなどということはない。


 俺は、心のなかでさらに虚しくなりつつ、家の近くにある本屋へと行く準備を淡々とした。








 今日行こうとしている本屋は、家から十分ぐらい歩いたところにある。


 個人店だが、意外と品揃えが豊富で、毎回飽きさせてくれない良い店だ。


 だが、そんなにうまく店に行けるはずがなかった。


 今日はなに買おうかな、と思っていた矢先に俺のスマホが鳴ったのだ。


 電話をかけてきた相手は、会社の部長。


 俺は嫌な予感がして、大きなため息をつきながら、しぶしぶ電話に出た。


 そして案の定、電話にでて言われたことは、最悪な言葉だった。




「佐藤、休みのところ悪いが新人がミスった、会社に来てくれ。」




 俺は、さらに大きなため息をつく。




「他の人は出れないんですか?」




 俺は、少し嫌そうに部長に聞き返した。


 だが、言われたことは、ますます最悪なものだった。




「今のところ呼び出してるが誰も出てこない、すまんが今来れるのはお前だけだ、来てくれ。」




 新卒からこの会社で働いてきたので、わかることがある。


 それは、来てくれ=絶対に来いということだ。


 俺の今働いている会社は、昭和っぽい古い会社だ。


 そのため、「来てくれ」と言われて来なかった同僚が、めちゃくちゃに怒られているのを何回も見たことがある。


 「そんな会社辞めちまえ!」そう言いたくなるかもしれんが、転職するのもめんどくさいし、何より、今年になって新人が三人も追加されたので、こいつらが一人前になるまでは、俺の性格上、辞めるわけにはいかないのだ。


 そんなこんなで、もう行くしかないと思った俺は、しぶしぶ電話先の部長に答えた。




「分かりました、行きます」




 その後部長から、「すまん」だけ言われて電話は終わった。


 これまでの経験からして、多分休みはここで終了だ。


 まじで最悪だ。


 俺は、そんなことを思いながら、憂鬱な気持ちと暗い足取りで家の近くの駅に向かった。






 だが、この日はとことんついていなかった。


 それは、駅に向かって暗い足取りで歩いている最中だった。


 急に、とてつもない悲鳴が俺の耳を貫いたのだ。


 俺が驚いて急いで声の方に目をやると、横断歩道を歩いている子供に向かって猛スピードで突っ込んでくるトラックが目に入った。


 「これはヤバい」そう思った矢先、俺の体は動いていた。


 俺の体は、トラックにはねらそうな子供を救うために、勝手に動いてしまったのだ。


 普段、運動しない俺の体でも、火事場の馬鹿力なのか知らんがものすごい速さが出た。


 そのおかげか、トラックが突っ込む前に子供の近くに着くことが出来た。


 そしてそのまま俺は、子供をつかんでトラックにはねられない場所に子供を押し出した。


 なんとか間に合い、心の中で「やった!」と、叫んだのもつかの間、俺は物体がトラックにぶつかる鈍い音を聞いたとともに、激しい衝撃と痛みを感じた。


 そう、俺はトラックにはねられたのだ。


 そのまま俺は、石を投げたように吹き飛ばされて、壁に激突した。


 壁に激突した瞬間、激しい痛みを感じたとともに、俺は本能的にあることを感じた。


 それは、これは死んだなということだったのだ。


 自分の体だからわかる、頭を強く打ったのだ。


 案の上、すぐに意識が朦朧としてきた。


 このときの俺は心の中で、「やっちまった」ということしか考えていなかったのを、今でも覚えている。


 そして、俺の意識はすぐに途切れそうになった。


 だがそんな中、俺は薄れゆく意識のなかで、とある言葉を聞いた。




 「助けて.......」




 だが、その言葉は何なのかを考える暇もなく、俺の意識は、深い闇の沼底へと沈んでいった。

 



 そして、気づいたらこの声が聞こえていた。


「起き……」




 なんだこの声は?俺は死んだはずだろ、なんで意識があるんだ?




        「起きて……」




 謎の声は、さらに俺の頭に入ってくる。


「それにしても、とても気持ちいい感覚だ、天国ってこんな感じなのかなぁ」と、心の中で俺は考える。




    「起きてください!グレース様!」




 その時、とてつもない大きな声が俺の耳を貫き、あまりの声の大きさに俺は驚き、飛び起きた。


 声のする方に目をやると、そこには青緑色のポニーテールをした、女の子が俺の上にかかっていたであろう布団を、片手に持って立っていた。


 このときの俺は、まったくわけがわからずに、ただ混乱していた。


 だが、そんな俺を気にすることなく、女の子はあきれたような声で話を続けた。


 


「まったく、いつまで寝てるんですか................」




 彼女はそう言うと、大きなため息をついた。




「さっさと着替えてご飯食べてください、冷めちゃいますよ!」




 まじで、今の状況が全くわからない。


 そりゃそうだ、いきなり死んだと思ったら、こんなわけがわからない事になっている。


 おそらくだが、どんなに頭が良いやつがこんな状況に直面したとしても、みんな当時の俺と同じような反応をするだろう。


 そんな当時の俺は、「彼女は誰なんだ?」という疑問しか頭になく、当然のようにこう言った。




 「君は誰なんだ?」




 すると、彼女は呆れた顔で言った。




「まだ寝ぼけてるんですか?私はカリウスです、あなたの執事ですよ。そんなことも忘れたんですか?」




 彼女はそう言うと俺の手を掴んで、ベットから俺を引き剥がして歩き出した。




「さっさと、顔洗って着替えてください!」




 そうして連れて行かれたところは、洗面所であった。


 そして、そう言った彼女は洗面所に行く途中に通った、キッチンらしきところに向かった。


 俺は混乱しながら、なんとなく洗面所の鏡を覗き込む。


 だが、そこで俺は衝撃の光景を見ることとなった。




 「なんじゃこりゃああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




 俺は、衝撃の光景に声をあげるしかなかった。


 なぜって?、俺の顔が金髪の髪をした美少年になっていたからだ。


 俺は、ますます困惑する。


 さすがにこれを見せられたら、人はだれでもおかしいと思うだろう。


 実際俺も、「流石に夢だろう」そう思い、鏡を見ながら頬をつねってみた。


 しかし、わかったことはただ一つ、頬をつねったところで、痛みしか発生しないということだった。


 このことを踏まえると、おそらく夢ではない。


 俺は、更に困惑しつつも頭をフル回転して今の状況を考えた。


 そして、三十秒ほどして俺の頭の中である仮定が浮かんだ。


 それは、「死んだときになんやかんやあって、転生したかもしれない」という仮定だ。


 異世界転生系の小説をたくさん読んだからなのかわからんが、めちゃくちゃ混乱していた当時の俺に取って、これしか考える事ができなかった。










 とりあえず俺は、カリウスに言われた通りに顔を洗って、着替えることにした。


 しかしまあ、顔を洗っていると改めて出来すぎていると認識させられる。


 こんな金髪で容姿の整った顔になっているなんて、あまりにも異世界転生系の小説によくあることだ。


 まあ、そんなことを考えながら俺は顔を洗い終えた。


 そして、顔を洗った後に俺は着替えの服がないか洗面所を見渡した、すると、壁に一着の歴史の教科書に書いてあるような中世ヨーロッパの農民が着ていそうな服がかけてあった。


 「こんなのどうやって着るんだよ.............」、そんなことを心の中で思いつつも、俺は異世界風の服を眼の前にして喜んでいた。


 俺は、その喜びが「異世界転生したかも?」という疑問で冷めないうちに、初めて着る服に苦戦しながらも、服を着た。


 服を着た感想は、「案外、着心地は良い」、そんなもんだ。


 「そんなつまらないものかよ」、そう思いたくもないかもしれないが、三十歳で独身である男の服の感想なんて、だいたいそんなもんだ。


 そして、洗面所でやることを一通り終えた俺は、食卓があるリビングへと向かった。








「やっと来ましたか、とっとと食べちゃってください。」




 そう言うと彼女は、缶詰め一つと箸を机の上に置いた。


 「こんなことを悠長にしている場合ではないだろ!」これを読んでいたらそう言いたくなってしまうだろう。


 しかし、せっかく異世界に来たかもしれないので、当時の俺は異世界の食事を楽しみたかったのだ。


 俺は、異世界の食べ物を味わうというワクワクとともに缶詰の蓋を開ける、中に入っていた物はサバ缶の中身のようなものだった。


 開ける前は、「もしかしたらヤバいものが出てくるかも」と心配していたが、実際の中身は余裕で食べられそうなものだったので、安心することが出来た。


 俺は、その気持のままで缶詰の中身を一切れ箸でとり、それを口に入れた。


 するとどうだろう、味は見た目のまんま、鯖のような味だった。


 かなり親近感のある味のそれを食べ終わるのに、俺はたいして時間を要さなかった。


 それにしても、缶詰め一つだけとは、随分と苦しい生活を送っているのだろう。


 そんなことを思いつつ朝飯を食べ終えた俺は、カリウスへと質問した。




  「この後、俺はなにをすればいいんだ?」




 俺がそう言うと、カリウスはまたもや少し呆れたような顔で、質問に回答した。




 「この後は昨日と同じく、北の廃墟から食糧を探してきてください。私は、昨日新しく見つけた廃墟をあさってきます。」




 カリウスはそう言うと足早に、家の棚にかけてあった銃とナイフを取りに行った。


 「は?」 カリウスが言ったことに、俺はそんなことしか思えなかった。


 なぜなら、カリウスの言ったことには、「廃墟から食糧を探してきて」という、不安になるフレーズがあったからだ。


 そして、その言葉を元に、俺はこの世界の現状を推測することができた。


 おそらくだが、この世界は洗面所がある時点で、産業革命を遂げていることは間違いない。


 しかし、「廃墟」という単語から推測するに、なんらかの戦争で荒廃している世界なのかもしれない。


 まあ、「この世界のことは彼女が知っているだろう」、そういう結論に至った俺は、カリウスへとまた質問をした。




     「ここは、どこなんだ?」




 すると、カリウスはさらに呆れた顔になって言った。




「やっぱり今日は変ですね、まあ、帰ってきたらその質問には答えるので、まずは食糧を探してきてください、速く行かないと日が暮れますよ。」




 そう言うと、カリウスは銃とナイフを俺に持たした。


 「なにもこの世界のことを知らない状態では、危険すぎる!」、俺は内心そう思ったが、さっきの言葉からわかるとおり、これ以上の話は進展しなそうだった。


 そう思って諦めた俺は、しぶしぶ外へと繋がる扉を開いた。


 案の定、扉の先にあったものは、俺の推測とあまりかわりのないものだった。


 「はぁ....................................................」




 外に出た俺は、予想通りの世界に心底がっかりして、大きなため息をついてしまった。


 外の世界は俺の予想通り、荒廃した世界だったからだ。


 しかもその荒れようは、「荒廃していたとしても、木や草などの自然は残っているだろう」と、思っていた俺の期待を易々と裏切るものだった。


 それはなぜか? 外の世界は、荒れ果てて雑草すら一本も生えてない大地と、遠くに所々見える廃墟しかなかったのだ。


 先程まで、異世界転生系の小説でお馴染みの、美人となって少し喜んでいたのに、この荒れ果てた大地は、その喜びを余裕で粉砕した。


 しかし、そんなことで立ち止まっている暇はない。


 いくら期待していた異世界とは違くても、とりあえず、あのままトラックに跳ねられて死ぬよりかは、幾分もましだ。


 そう思った当時の俺は、とりあえずカリウスとか言うあの子のいった通り、北の廃墟を目指すことにした。


 






 どうやらカリウスが言うに、廃墟には事前にビーコンが設置されているらしい。


 なので、光の柱が出ているのを見て、すぐに廃墟の位置を知ることができた。


 しかしまあ、ビーコンがある時点で察していると思うが、この世界はもといた世界よりも技術が発展しているわけだ。


 その事から言えること、それは、この世界では俺の知っている常識がかなり通用しないということだ。


 このときの俺は、そんなことを深く考えず廃墟に向かっていた。


 だが、すぐにこの世界の洗礼を受けることになったのだった。








    「それにしても、歩きかよ。」




 俺は、歩きに不満を感じていてひとりごとを言っていた。


 廃墟までには意外と距離がある上に、岩場しかく、歩くのがきつかったからだ。


 おそらく、歩くのが嫌で、つまらないと思ったのはこのときが一番酷かっただろう。


 しかし、そんなつまらないと思う感覚は、すぐに書き消されてしまった。


 なぜそうなったのか? それは、俺がそんな不満を感じていた最中、急に近くからロボットアニメで聞いたことのあるような、ロボットが歩くような音が俺の耳に入ってきたからである。


 俺は、その音を聞くと最初は驚いたが、六割りほどの好奇心が、四割りほどの恐怖に一瞬で勝ってしまい、音の正体を確認することにしたのだ。


 どうやら音の正体は近くのすこし大きな岩の裏にいるらしい。


 俺は岩に登って、おそるおそる音の正体を確認する。


 音の正体は、百六十センチほどの高さの筒に四つの小さな足がついた、なんとも言えない不気味さをもつロボットらしきものだった。


 見たところ普通に歩いていることから、まだ俺には気付いていないらしい。


 俺は、声をかけるか迷っていた。


 こういう感じのゲームをやったことがある俺の経験からすると、声をかけた場合大体は攻撃してくることだろうと安易に予測できた。


 しかしここは異世界だ、なにか有力な情報が手に入るかもしれない。


 俺の考えは、割れていた。


 結局少し考えた後、俺は意を決してロボットらしきものに話しかけてみることにした。


 こういう場合は、とにかく笑顔が重要だ。


 ロボットらしきものには通用するかわからんが、俺は会社の営業をやっていたときの営業スマイルを意識して、話しかけてみた。




        「こんにちは!」




 その瞬間、ロボットらしきものがこちらを向く、俺を認識したのか、すこし奴は固まっていた。


 見た感じ、攻撃してくる素振りはない。


 たぶん大丈夫たと思った俺は、心の中で警戒心を解いてロボットに近づこうとした。


 だが、俺が一歩を踏み出した途端に体から謎の腕らしきものがものすごい早さで出てきた。


 いきなりなんだ?と思い、俺は動きを止める。


 すると、先程出てきた腕から急に光の棒みたいなものが出てきた。


 見た感じ、子供の頃みていたロボットアニメのビームサーベルに似ている。


 思ったことはそれ以外にただ一つ、「ヤバい!」それだけだった。


 警鐘が鳴らされた俺の身体は、自然と即座に距離をとる。


 だか、俺が距離をとった直後奴は、筒の上の方にある穴から、レーザ-ビームみたいなのを発射してきた。


 幸いにも俺は、早めに動いていたおかげで岩の裏になんとか逃げ切った。


 その直後、レーザーは岩に直撃する。


 だが、岩にぶつかったレーザーは小規模な爆破を起こしたと思ったら、盾となった岩を完全に粉砕した。


 あまりの凄さに俺は度肝を抜かれた。


 俺は、すぐさま近くの岩影に飛び込む、そして、飛び込んだ先で必死に考えた。


 見た感じ、逃げてもレーザーに撃ち抜かれるのは避けられなそうだ、かといって他の岩影に逃げ込んだとしても、ジリ貧だ。


 しかし、さっき岩影に飛び込んだ時点で、この身体がすごいことはわかった。


 前世の俺だったらできなかっただろうが、謎の自信が湧いていた俺は、戦うという考えに至った。




      




 戦うことを決めた俺は、肩にかけていた銃を手に持った。


 銃のタイプは、昔やっていたゲームの知識もあってボルトアクション式だと、すぐにわかった。


 奴の攻撃パターンはおそらく、遠距離はレーザー、近距離は腕のビームサーベルだ。


 ビームサーベルは近寄らなければ大丈夫だが、レーザはすぐに逃げなければならない。


 それを踏まえた上で俺が立てた作戦は、一発叩き込んだらすぐに隠れる、というシンプルなものだった。


 意を決して岩影から飛び出した、そしてすぐに奴に狙いを定める。


 そして、狙いがさだまったと同時に銃の引き金を引いた。


 その直後、銃口から激しい音がなり、俺の体は強い反動を感じた。


 初めて撃つ銃だったが、放たれた銃弾は、奴の胴体に命中した。


 だが奴には、効いたように見えずお返しとばかりにレーザーを放ってきた。


 俺は、またも岩影に隠れてやり過ごした。


 銃を当てれば、なんとかなるだろうという楽観的な考えを心の片隅で持っていた俺は、焦った。


 しかし、今は焦ってる場合ではなく、奴の倒し方を考えなければ行けない。


 俺は必死に考えた。


 そして、必死に考えている途中、あることを思い出した。


 昔やっていたゲームでは、こういう奴を倒すには弱点に当てないと倒せない、ということを。


 もしこの仮説が合っていれば、奴にも弱点があるはずだ。


 そして、俺には奴の弱点らしき場所に思い当たる節があった。


 そこは、レーザーの発射口だ。


 俺は、また岩影から飛び出して奴の目に狙いを定めた、そして強く「当たれ」と心で念じながら引き金を引いた。


 放たれた銃弾は、狙い的にも当たるのは難しいものだった、しかしなぜかわからんが、弾は奴の目に、寸分の狂いもなく命中した。


 その直後奴の体から煙があがった。


 どうやら、仮説はあっていたらしい。


 だか奴は、まだビームサーベルを振り回しながらあちこちを動きまくる。


 奴の目は見えていないと判断した俺は、ナイフを抜いて一気に距離をつめる。


 狙うのはもちろん目だ。


 奴は苦し紛れなのか、ビームサーベルの横なぎを放ってきた、だが目が見えていない状態の横なぎなど当たるバズがなかった。


 そして、その間にも距離を詰めた俺は奴の目にナイフを勢いよく突き刺した。


 ナイフが刺さった直後、奴は動かなくなった。


 俺は、この世界で初のピンチを乗りきったのだ。


 このときの気持ちは、今でも高揚していたのを覚えている。








 だか、勝利を心の中で祝っている場合ではなかった。


 今のメイン目的は、北の廃墟の探査だ。


 しょせんこの戦いは、ただの遭遇戦にすぎないのだ。


 俺は、いそいでビーコンを頼りに廃墟に向かった。


 道中では、他になにも遭遇することはなく廃墟に無事たどり着けた。




       




 廃墟は巨大なドームだった。


 見た感じ、ドームには大量に穴が空いてる。


 なにかの攻撃を受けたのだろうか?、そんなことを思いつつ廃墟の入口を探す。


 そして十分ぐらい探したところで、入り口らしきものを見つけた。


 正直、さっきの戦いで入るのが怖くなってしまっていたが、俺は意を決して中に入っていった。



 

 廃墟の中に入ると、中は何の明かりもない、薄暗い不気味な空間だった。




  (ライトでも持ってくればよかったな)




 こんな廃墟のドーム内には電気など通っていない。


 それは、かなりまずいことだった。


 なぜなら、ここはおそらく異世界だ。


 なので、先程遭遇したようなロボットとまた遭遇するかもしれない。


 しかも、先程とは違って、恐らく奇襲を仕掛けてくるであろう。


 そう判断した俺は、安全確保のために、照明をつけられそうな場所を見つけるために探索を開始した。


 薄暗いので、手探りで探すのは本当に恐ろしかった。








 しばらく探していると、看板を見つけた。


 看板を覗く、そこには謎の文字なのに機械室と書かれていることがわかった。


 見たことない文字なのになぜか読める、やはり異世界はわけがわからない。


 しかし、話せたり文字が読めるのはなんとなく見当がつく。


 おそらくだが、他の人の体に転生してしまったので、文字が読めるということだろう。


 そんなことを考えつつ、俺はそのまま機械室に入っていった。


 中に入ると、俺の目に入ってきたのは巨大な装置だった。


 見た感じ、制御盤とディスプレイだろうか?


 いかにも機械室らしくて、俺はワクワクしていた。


 だか、俺は前世でも機械音痴だったおかげで、制御盤の動かしかたなどまったく見当がつかない。


 試しに、適当に制御盤のボタンを何回か押してみたが、ディスプレイにはなにも映らない。


 どうやら詰んだかもしれない、そんなことを思いつつ、なんか使えるものがないかと思って俺は室内を見渡す。


 すると、隣の机に手帳らしきものがあった。


 俺は藁にもすがる思いで手帳を手に取る。


 手帳の表紙を見てみると、機械室制御マニュアルと書いてあった。




       (よっしゃあ~!)




 これには喜ぶしかない!俺は嬉しい気持ちのまま手帳をめくっていった。








 しばらくめくっていくと、「ドーム内の照明について」と書かれているページを見つけた。


 ご丁寧に俺みたいな機械音痴でもわかるように、一つ一つの手順に写真付きだ。


 俺は、そのページに書かれているように制御盤を操作した。


 だが、残念なことにディスプレイに表示された文字には電力貯蔵量0%と書かれていた。


 当然だ、こんな廃墟に電力が残っているはずかない。


 しかし、ここまで来たのに成果ゼロにしたくなかった俺は、他に照明の付け方が書いていないかページをめくる。


 しかし、ページをめくれどめくれど、それらしきページはなかった。


 これは、詰みだ。


 そんなことを確信した。


 すると最後のページに、非常用電源起動方法と書かれているのを偶然見つけた。


 俺は、最後の望みをかけて再び制御盤を操作する。


 すると画面に「非常用電源起動」と書かれたのが表示された。


 直後、ドーム内に電気は光に包まれた。








 俺は、機械室を後にして探索を再開した。


 照明がつくだけで、ここまで見やすくなるとは文明の力とは本当に素晴らしいものだ。


 少し歩くと全体の地図らしきものが壁に貼ってある場所ににたどり着いた。


 俺は、ここがなんなのか地図を見渡す、すると上の方に「第47食糧貯蔵庫」と書かれているのが目に止まった。


 ちょうど俺の目的に合っていたのは実に喜ばしいことだった。


 俺はその調子で食糧庫がある地下二階に通じる階段を探す。


 


 




 数十分も歩くと、この先食糧庫と書かれている看板を見つけた。


 だか、どう考えてもおかしい、ここまで順調すぎるのだ。


 さっき外で交戦したロボットらしき奴は、人を攻撃してきたことから、おそらく警備ロボットだ。


 しかも、何もない平原に奴がいたのにこんなにも重要そうな場所に配置しないわけがない。


 嫌な予感がしつつも、俺は食糧庫へ進んだ。


 






 少しすると、広い部屋にでた。


 だか部屋を見渡すと、明らかにおかしかった。


 部屋の中にはなにも置かれていない、さらに異常なまでに、高さがあるのだ。


 さらに嫌な予感がしつつも、回りを見渡す。


 そして、食糧庫の入り口らしき通路を遠目から確認した。


 しかし、俺だったら絶対にここにヤバい奴を配置すると思っていた俺は、足がすくんで動くのをためらった。


 だが、さっきまである程度順調だった慢心からなのかわからんが、俺はひとまず食糧庫内に入るために食糧庫への入り口に向けて歩きだしてしまった。


 しかし、歩きだした瞬間突然サイレンが鳴り出したのだ。


 突然のサイレンに戸惑っているうちに、なにか上で光ったと思ったら、レーザーが俺の近くに着弾した。


 俺はすぐに上に目をやる。


 そこには空を浮遊する、巨大なドローンらしきものがあった。


 おそらくここを守る門番であろう、とにかくでかい。


 さっきのロボットらしき奴よりもはるかにでかい奴に直面した、俺は全力で思考を回した。




  (ガチでヤバいじゃん、どうしよう!?)




 結局、このままでは死ぬと感じた俺は撤退を選択した。


 最初は追ってきたが、部屋をでるとサイズ的に入れないらしく追ってこなくなった。


 これ以上は危険だと思った俺は、全力で走ってドームをでた。




 ドームの外に出ると、日が暮れ始めていた。


 異世界の夜は魔物とかが出るかもしれないと判断した俺は帰路を急いだ。




 帰路はとくになにも遭遇するすることなく家に帰ることができた。


 こうして、初めての異世界探索はほとんど成果をあげることなく幕を閉じてしまったのだ。

 そして、朝出てきた拠点に戻ってきた俺は扉を開いた。


「お帰りなさいませ!ご飯はもうできてますよ」


 そう言って出迎えて来たのはカリウスだった。

 足早にカリウスは俺のかけてる武器をおろしていった。


    「とりあえず、ご飯にしましょうか」


 武器をしまうと、カリウスはそう言って夕飯をテーブルの上に運んできた。見た感じ朝出てきた缶詰めと同じだった。

 しかし、今はそんなことはどうでもいい。


 俺はカリウスに異世界について話してもらわないといけないのだ。








 俺は、手を洗って夕飯を食べる用意をした。


 そして、食卓に着く。


 だが俺は、何の質問からしたらいいか迷っていた。


 あまりにも質問することが多すぎる、それに朝のことから推測して、俺はこの身体の持ち主と入れ替わったりして、こちらに来たのだろう。


 そうなると、ますます質問するのが気まずくなってくる。


 だが、そんなことを思っていると俺が口を開く前にカリウスが口を開いた。




「さて、朝言っていた聞きたいことって何ですか?


なんでも答えますよ」




 どうやらカリウスは話を聞く気満々らしい、そうなると俺も話しやすくなる。


 俺は、決意を固めて口を開いた。




「実は俺、別の世界で死んだあとこの体に入れ替わっていたんだ!」




 カリウスの顔に戸惑いが広がる、そりゃそうだ、自分の使えていた主人が突然見知らぬ奴に変わっているんだ、困惑するのもわかる。


 カリウスは少しなにか考えたのか、少したった後口を開いた。




「えっと…つまり今のグレース様の中身には、他の人が入っていることですか?」


 


       「そういうことだ」




 またカリウスは、しばらく黙り込んだ。


 再び、俺たちの間で沈黙が流れる。


 理解はしてくれたが、こっからカリウスがどうするかがとても不安だった。


 すると、カリウスが沈黙を撃ち破るように口を開いた。




 「でも、私は今のグレース様がいいです!」




 自分のつかえている主人より、見ず知らずの他人の俺がいいと言ったのは意外だった。


 なぜだろうか?俺はすぐに聞き返す。


 すると、カリウスはこう言った。




「前のグレース様はですね、私のことを奴隷としか見ていなかったんですよ.......」




 確かに、よく見たらカリウスの頬にはなにかに斬られたような生新しい傷かある。


 おそらく、前の主人に付けられたのだろう。




   「じゃあ、俺についてきてくれるか?」




 気づいたら、俺はカリウスに無意識にそう言っていた。


 カリウスは悩むような顔をしてる、だがカリウスはすぐに答えを返してきた。




        「喜んで!」




 カリウスの顔は、笑顔だった。








 俺は、ご飯を食べながらカリウスに聞いた。




「じゃあ、カリウスがなんでこんな荒廃した星で生活をしているか教えてくれ」




 こっからは俺のターンだ、この世界のことを教えてもらおう。


 そのことを言うとカリウスは口を開いた。




「分かりました、少し長くなりますが聞いていてください」




 そう言うとカリウスはこれまでの事を淡々と語りだした。


 要約するとこんな感じだ。




 もともと俺の前のグレースは、トラキア王国という国の商人の子供として生まれた。


 小さい頃から父親の商売のために宇宙を転々とする人生だったらしい。


 カリウスは母を亡くしたグレースのために六歳のときに遊び相手として呼ばれて、いつしか執事になった。


 平和だった生活だったが十一歳のときに生活は、一変する。


 商売の最中に乗っていた船が事故によってこの星に不時着したのだ。


 不時着によって生き残ったのはグレースとカリウスだけ、農業も出来ない土地なのでなんとか廃墟から保存食を探して生き残っていたが、次第にグレースの心は変わっていき、カリウスに酷く当たるようになったということだった。


 話の途中で脱出はできないか聞いてみたが、何回も試したが無理で諦めているとのことだった。








 一連の話を聞き終わったとき、俺はかける言葉がでてこなかった。


 この歳でこんなハードな生活、俺だったら絶対無理だ。


 そして、しばらくの間二人の間で沈黙が続いた。


 だが、このままではまずい。


 危うく、ここで話が終わりそうな雰囲気になってしまったのだ。


 俺は、状況打破のために言いたいことを言った。




 「なあカリウス、こんな星一緒に脱出しないか? 俺はせっかく二周目の人生手に入れたんだ、こんな星で死ぬのは嫌なんだ。」




 その言葉を聞いたカリウスは笑って言った。




 「そう言うと思っていましたよ、やっぱりグレース様はグレース様ですね。やれるか分からないですが脱出してみましょうか!」




 その言葉を聞いた俺は最高に嬉しかった。そして自然に口を開いていた。




       「ああ、やろう!」




 こうして、俺は頼もしい執事と一緒にこの星を脱出することを決めたのだった。



 

 翌日、俺はかなり遅い時間に起きた。

 あの後たくさん話したおかげか、俺はとても疲れて、泥のように寝てしまっていたのだ。




 俺が起きてキッチンの方にいくと、すでに朝ごはんの缶詰めが食卓の上に置かれていた。


 


        (偉いな~)




 感心していると、こちらに気付いたのかカリウスが声をかけてきた。




  「おはようごさいます、グレース様!」




 俺はあいさつをかえす。




        「おはよう!」




 昨日色々話したおかげで、俺の気持ちはすっかり晴れやかだ。


 俺は椅子について食事を食べる準備をする、そしてカリウスが椅子に着いたタイミングで俺は「いただきます」を言った。


 そうするとカリウスがこちらを不思議そうな顔で見つめながら質問してきた。




      「何ですか、それ?」




 そのとき俺は、ここが異世界だったことを思い出した。


 だが、言ってしまったものはしかだがないので俺は、カリウスにいただきますを教えることにした。




「これは俺が住んでた世界の習慣でね、ご飯を食べる前にいただきますという言葉を言うんだ、ちなみにご飯を食べ終わったときにはごちそうさまと言うんだよ。」


 俺は、心の中でうまくつたわったか心配になったがカリウスがその後すぐに、いただきますを言ってくれたおかげで、うまくつたわったと確認できた。




 そのまま、ご飯を食べ終わった俺たちは脱出に向けて作戦会議をすることにした。


 さっそく俺はカリウスになにが必要か聞いた。


 おそらく必要なものは宇宙船ぐらいだろう、だがカリウスが答えてきたのは、まったく違う回答だった。




   「必要となると食糧が最優先ですね」




「なぜ食糧が必要なんだ?備蓄はあるんじゃないのか。」




 するとカリウスは気まずそうな顔で答えた。




「星を脱出する宇宙船を探したいんですが、ここら近辺は探し尽くしてしまっているので多分遠征が必要になると思うんですよ……


そうなると食糧を探す時間なんてないんです、どこか大量に食糧が手に入る場所があればいいんですけど……」




 こう言われては納得するしかない、だが俺は食糧がありそうな場所を知っているので動じる必要はなかった。




「食糧が大量に取れるかもしれない場所ならあるぞ」




        「どこです?」




 俺は自信満々に答えた。




     「俺が昨日行った北の廃墟だ!」




 昨日ドーム内で見た地図には、47食糧貯蔵庫と書かれていた。


 つまり、よほどのことがない限り食糧はあるということだ。




「食糧庫があったなら、さっさと行きましょう!」




 カリウスは嬉しげな顔で言った。




 ただ、俺の頭には倉庫前にいた警備ロボットらしきも奴のことが浮かんでいた。


 昨日見た感じだと、思いつくことはヤバいという印象しかなかった。


 一応、自信満々に言ってしまったのでカリウスには言ってみる。




「食糧庫はあったんだけどその前に巨大な空飛ぶロボットみたいな奴がいたんだよ.......マジで危険だけど行くの?」




 その言葉を聞いたカリウスはこう言った。




 「動いてるガードロボットがいるんですか?」




 カリウスが、奴のことを知っていることを聞いた俺は、驚きながら聞く。




    「奴のことを知っているのか!?」




 するとカリウスは平然な顔で答えてきた。




「ええ、倒したこともありますよ。めんどくさいですが。」




 倒したとなれば話しは別だ、モチベが上がった俺はカリウスに言った。




    「じゃあ、倒しに行こう!」




 その言葉を聞いたカリウスは笑顔で言った。




      「もちろんです!」




 こうして俺たちは北の廃墟に再び行くことを決めた。

 しかし、あんな危険なところにまた行くのならば、当然準備が必要になってくる。

 最初に取り掛かったのは、食料庫前のあいつを倒す準備だ。


「今の武器じゃ奴を倒せそうにないけどどうするんだ?」


 倒すと言っても、どうするか分からない俺は、カリウスに聞く。

 するとカリウスは自信満々な顔で説明を始めた。


「奴を倒すには、弱点である目を破壊しないと行けません。ただ、奴の目は装甲で覆われていて通常の銃じゃ歯が立たないんですよ、なのでここで使うのはこれです!」


 そう言うと、カリウスは家の奥から大きな筒を持ってきた。


「ロケットランチャーです!これで奴の装甲を吹き飛ばして目を狙撃して倒すんですよ!」


 どえらいものを持ってくるとは分かっていたが、まさかロケットランチャーを持ってくるとは思わなかった。

 俺は心の中で興奮しつつ、カリウスに質問する。


「どうやって倒すかは分かった。役割分担はどうするんだ?」


「私が囮になります、その間にグレース様が攻撃してください」


 俺は驚いた、なぜかって? 昨日交戦したロボットだって圧倒的な攻撃力だった、なのでそれより遥かにでかい奴ならばさらにヤバい攻撃力を持っていると考えたからだ。


「奴の攻撃はヤバいぞ!囮になるなんて危険だろ!」


 気づいたら俺はそう言っていた。

 ただ、カリウスは俺の心配をまったく気に留めていない様子で冷静に答えた。


「私は防御魔法が使えるから大丈夫です、それよりもグレース様は精密の魔法を使えるんですか?」


 いきなり出てきた、いかにも異世界らしい「防御魔法」という言葉に俺は、疑問を浮かべる。

 俺は、何の事か分からずにそのままカリウスに質問した。


       「何だそりゃ?」


 するとカリウスは言った。


「この世界は魔法という凄い力が使えるんですよ、一回試してみましょうか」


 そう言うとカリウスは、ポケットからボールを取り出した。


「試しにこのボールを私がなげるので机の上に置いてあるフォークをなげて当ててください。しっかり心の中で当たれと念じるんですよ!」


 そう言うとカリウスはボールを空中に投げた。

 いきなり実践とは、さすがにきついと思いつつ、俺は心の中で当たれと念じる、そしてフォークを投げた。

 すると、当たりそうになかった軌道で投げられたフォークは、急に曲がったと思ったら正確にボールに刺さった。


「凄いじゃないですか!初めてなのに使いこなせるなんて、さすがです!」


 カリウスは驚いた顔で褒めてくる、自分でも、驚きを隠せなかった。

 なにしろ初でこれだったのだから。


「これなら奴の目を正確に撃ち抜くことができますね!」


        「ああ!」


こうして俺たちは翌日、再び北の廃墟に向かった。




 そして、作戦会議の翌日、俺たちは廃墟の入り口に立っていた。

 いよいよ決戦だ。


        「準備はいいか?」

 

 俺がそう聞くとカリウスは答えた。


          「はい!」


 それを聞いた俺は、心の中で安心しながら廃墟に入っていった。




 中に入ると、まだ照明はついていた。

 俺は前回歩いた道を思い出しながら、食糧庫へ進んでいた。

 そのときだった、いきなり上から前回の探索の時に外で遭遇した、歩行型の警備ロボットらしきものが降ってきた。

 手にはすでにビームサーベルらしきやつが抜かれている。

 俺はあまりにも突然の出来事に焦って戸惑っていた。

 一方カリウスは奴が降ってきた途端に奴に向かって走っていた。

 奴が正面から向かってくるカリウスにむけてレーザーを放つが、カリウスは防御魔法を展開してレーザーを軽く防いだ。

 そのままカリウスは腰にかけていた刀を抜いた。奴はビームサーベルで攻撃しようとしていたが、攻撃する前に奴の腕は叩き切られていた。

 その勢いでカリウスは刀を奴の目に突き刺した。そして、奴は目の付近から煙を出して崩れ落ちた。

 俺はあまりにも凄すぎて呆然としていた、そのときカリウスが肩をゆさってきて言った。


「このくらいの戦闘で驚いていては奴と戦えませんよ!」


 俺は、そのとき我に返った。


      「そうだな、先に進もう」




 しばらく歩くと、倉庫の近くにたどり着いた。

 一旦俺は立ち止まった。その時カリウスが聞いてきた。


     「覚悟は決まりましたか?」


 俺は前回のことが頭に浮かびつつも覚悟を決める。


         「ああ!」


 俺は再び歩きだした、そして奴のいる部屋に入った。




 奴がいる部屋に入ると、前回と同じくサイレンが部屋中に鳴り響いた。

 そして、奴が上から降りてきた。


     「絶対に生きて返るぞ!」


         「はい!」


 俺たちは、作戦通りに動き出した。奴は最初に走り出したカリウスに向けて向きを変えた。

 俺は、奴を狙おうとしたが奴の目らしき場所が隠れていてうまく狙えない。

 奴はカリウスに向けて照準を合わす、そしてレーザーを放った。

 レーザーはカリウスに直撃した、もちろんカリウスは防御魔法を展開しているため大丈夫だ。

 だか、俺はある光景に目をむけていた、防御魔法にヒビが入っていたのである。

 これはヤバいと思った俺は、奴の目を狙うために全力で走った。

 少し走ると、奴の目を狙えそうな場所にたどり着いきそして照準を合わせた。

 照準を合わせた俺は、奴の目に向かってロケットランチャーを撃ち込んだ。撃った直後、とてつもない反動を感じたが、俺はなんとか反動を受け流して、心の中で当たれと念じた。

 直後、弾は正確に奴の目に凄まじい轟音を立てて命中した。

 俺は心の中で喜びたいところだったが、間髪いれずに肩にかけていた銃で奴を狙おうとした。

 だか、奴は装甲板が剥がれたと同時にお返しとばかりにレーザーを撃ち込んできた。

 俺は、すぐさま横におもいっきり跳んだ。直後、俺の居た場所にレーザーが直撃して大爆発を起こした。

 普段だったら慌てるところだが、このときの俺は不気味なほど冷静だった、そして俺は再び銃で奴の目を狙った。

 だか奴は、すべてお見通しかのように人間で言う首の部分を回して目に直撃するのを防ごうとしていた。

     (どうすんだよこれ?!)


 俺はどうしようか迷っていた。

 そのとき、いきなりカリウスが煙の中から物凄い速さで走ってきた。そして、奴の首に手に持っていた刀を突き刺した。

 すぐに、奴の首は止まった。そしてカリウスが叫ぶ。


        「今です!!!」


 突然の出来事に、俺は驚きながらも最高のチャンスだと思った俺は狙いを合わせて引き金を引いた。

 引き金を引いた直後、俺は心の中で強く当たれと念じた。

 奴はなんとかして首を回そうとしていたが無駄であった。

 俺の放った弾は、奴の目に直撃したのだ。

 弾が命中してすぐ、奴の目から強い光があふれでた。

 これはヤバいと思った俺たちはすぐさま奴から離れた。そして数秒後、奴は激しい轟音ともに爆散した。

 俺は、安堵の気持ちとともに奴が爆散したのを見届けていた、すると急に体から力が抜けてきた。

 すると、カリウスが満面の笑みを浮かべて俺に飛び付いてきた。


      「やりましたよ!!!」


 休みたいところだったが、俺は大声で叫んだ。


       「やったぞー!!!」


 こうして、俺たちは星の脱出に向けて一歩踏み出したのだ。




 俺たちは奴を倒したあと、少し休んでから食糧庫に突入した。

 俺たちは食糧庫に通じる通路を歩いていく、そしてしばらく歩くと分厚そうな扉を見つけた。

 引っ張ってみたが動きそうもない、俺が苦戦しているとカリウスがロケットランチャーを取り出した。

 

     「少しはなれていてください」


 そう言うとカリウスはロケットランチャーを構えた。


      (おいおいまじかよ!?)


 俺はヤバいと思い、すぐ離れる。俺が離れたことを確認したカリウスはロケットランチャーを扉に向けて撃ち込んだ。

 激しい爆発音が聞こえたあと、俺が確認すると扉は破壊されていた。


      「さあ!中に入りますよ」


 カリウスはそう言うと、食糧庫に入っていった。俺もカリウスについていく。




 中に入ると、そこには巨体な棚が大量に置かれており、棚には缶詰めらしきものがたくさん置かれていた。


  「まだ、ほとんど食べられていませんね」


 そう言いながらカリウスはリンゴパイと書かれている棚から缶詰めを取り出した、そして缶詰めを開けて中に入っているパイを口に頬張った。

 あまりにもカリウスが美味しそうな食べ方をしていたので、俺はリンゴパイの缶詰めを一つ取って開けた。

 俺は中からパイを取り出して食べ始めた。

 一口食べると俺は衝撃を受けた。パイは今まで食べた物のなかで一番うまかった気がした。

 俺は、あっという間にパイを完食した。俺は食べ終わると、カリウスに話しかけた。


   「せっかくだし中を少し探索しようぜ」 


       「分かりました!」




 食糧庫から出てしばらく歩くと、資料室と書かれている看板を見つけた。

 俺たちは中に入っていく、だか俺たちが見たのは異様な光景だった。

 本棚だった場所は激しく燃えた後が残っていた、それにパソコンみたいなものだったであろう物は原型が残ってないほど破壊されていた。

 それを見たカリウスが口を開く。


「なんというか……情報を必死に隠していたような感じですね」


          「ああ…」


 使えそうな情報を期待していた俺は、心の中で落胆する。

 俺たちは残っている情報がないか探索をする。

 しばらく探索してなにもなかったので、俺は諦めようとした。

 そのときだった、カリウスがこっちに紙を持って走ってきた。


       「どうしたんだ?」


 俺は聞いた、するとカリウスが答えた。


 「ここらへんの地図が残っていましたよ!」


 そのことを聞いた俺は、心の中で跳び跳ねた。




 俺たちは地図を床に置いて確認する。


「俺たちの探しているのは使える宇宙船だ、ありそうな場所があったら教えてくれ」


          「はい!」


 カリウスがそう言うと俺たちは地図を細かく確認しだした。

 少し探すと、俺はマラナ宇宙港と書かれている場所を発見した。だか宇宙港は盆地にあるらしく、周りの山の高さもけっこうあった。だか、トンネルが通っているらしく、山越えは避けられそうな感じだった。

 俺はカリウスにここに行けないか聞いてみた。するとカリウスは嫌そうな顔をしながら言った。


「行けるには行けるんですけど、とても大変なんですよ」


 トンネルを通っていくだけなのに大変と言うカリウスを不思議に思った俺は聞いた。


 「トンネルを通っていくだけじゃないのか?」


 するとカリウスはため息をついて言った。


「何年か前に行こうとしたことがあるんですが、ここのトンネルは崩れていて通れないんです。一応他のトンネルもあるらしいんですが、私たちの持っていける食糧の量を考えると行くのはきついですね……

まあ、行けないわけではないんですが」


 カリウスが言った、一応は行けるということを聞きたかった俺は聞いた。


「トンネルが塞がっていたらどうやって行くんだ?」


 するとカリウスは指で地図の下水処理場と書かれている場所を指しながら言った。


「地下の下水道を通れば一応は行けます、ただ宇宙港の近くの下水道にミュータントと呼んでいる化け物がいるんですよ……何年間か前に宇宙港を目指した時は、奴に負けて諦めました……」


 しばらく二人の間で沈黙がながれた後、カリウスが口を開いた。


     「まあ、行くんですよね?」


        「当然だろ!」


 俺が間髪入れずにそう言うと、カリウスは笑いながら言った。


   「そう言うと思っていましたよ」


 そう言うとカリウスは立ち上がって言った。


「そうと決まれば遠征の準備です!まずは食糧庫の食糧を拠点に持ち帰りましょうか!」


 こうして、俺たちは強大な敵を倒したと思ったら、また強大な敵と戦うことになったのだった。




 あのあと、俺たちは一旦拠点に帰って休んだ。二人とも疲れまくっていたので泥のように眠った。

 その後、俺たちは二日かけて食糧を拠点に運んだ。



 俺たちは食糧を運び終えた後、下水道を越えるための準備を始めた。




 

      「なにを持っていくんだ?」


 俺は、カリウスが拠点の倉庫で物を探すと言っていたので着いていく最中に聞いた。

 するとカリウスは笑顔で言った。


   「それは見てからのおたのしみです!」


 そうして倉庫から取り出してきたものは長い筒のようなものだった。

 俺は気になってカリウスに聞いた。


      「なんなんだこれは?」


      するとカリウスは答えた。


「これは火炎放射器と呼ばれている武器です!下水道は警備ロボットじゃなくて、変異した巨大ネズミがでてくるから必要なんですよ」


 俺は火炎放射器に驚きつつ、他に持っていくものを尋ねた。

 するとカリウスは、接近戦になるので、散弾銃と刀、手榴弾を持っていくと言った。

 ただ、俺はある疑問が頭に浮かんでいた。どうやって下水道の入口まで行くかである。

 地図で見た感じだと60㎞ぐらいの距離はありそうだった。

 今回は今まで以上の大荷物になるので、その距離を歩いていくとなると大変だ。

 そこで、俺はどうやって行くか聞いた。するとカリウスは着いてきてくださいと言って歩き始めた。

 俺はそれに着いていく、どうやら拠点の外にでるようだった。

 外にでると裏手に向かった、俺も着いていくと衝撃的なものを見た。

 なんと、食糧庫の前にいた巨大な警備ロボットが置いてあったのである。

 俺は、急いで距離をとった。するとカリウスは笑いながら言った。


「攻撃したりしないので、そんな警戒する必要ないですよ~!」


 俺は聞き返す。


     「こんな奴どうしたんだ?!」


 するとカリウスは答えた。


「北の廃墟から食糧を運ぶときにたまたま見っけたんですよ、簡単に動かすこともできたんで、安全だと思って持ってきました」


 「まさか、これで下水道まで行くってことか?」


 するとカリウスは笑顔で答えた。


      「そう言うことです!」


 俺は、心の中で少し不安になりながらも遠征に向けて意気込んだ。



 それから、俺たちは遠征に向けて準備をした。

 けっこうな大荷物だったので準備には丸々一日かかった。

 そして、準備が終わった俺たちは翌日の早朝に出発することにした。

 初めて経験する異世界の早朝は、なかなかの寒さだった。

 俺が寒そうにしているとカリウスが家の中から服を何枚か持ってきてくれた。

 俺はカリウスに言った。


   「ありがとう!さすがだなカリウス」


 するとカリウスは少し笑顔になって言った。


「このくらいは執事として当然ですよ、それよりも忘れ物はないですか?」


      「ああ、大丈夫だ!」


 俺がそう言うと、カリウスは警備ロボットに乗り込んだ。

 俺もカリウスを追って警備ロボットに乗り込む。


     「それじゃあ、行きますよ!」


 そう言うとカリウスは警備ロボットの制御盤をいじりだした。

 少しすると、警備ロボットはエンジンから炎を出して空に浮かんだ。

 そして、カリウスは制御盤を操作してエンジンを横に動かす。そして言った。


 「発進します、つかまっていてくださいよ」


 そう言うとカリウスはついているレバーを倒した。

 その瞬間、警備ロボットは動き出した。

 ただ、乗っているとスピードはそこまで速くなかった。

 そんなことを考えていると、俺の頭に疑問が浮かんできたのでカリウスに聞いた。

 

 「このロボで山を越えることはできないのか?」


 するとカリウスは、ため息をついた後言った。


「それがですね……昨日試してみたんですが、どうやらこの星はある程度の高度まで行くと有毒なガスが発生してるらしいんですよ…

なので、山の高さを考慮すると無理ですね」


 その答えを聞いた俺は、心の中でがっかりしつつ

着くまで景色を眺めることにした。

 どうやら、自動で向かっているらしくカリウスも持ってきているパンを食べていた。




 下水処理場付近には夕方頃に着いた。ただ夜間の移動は何があるかわからないので、俺たちは野宿することにした。

 そして翌日、俺たちは下水処理場に入っていった。

 カリウスが北方下水管理所という建物があると言ったので俺はついていった。

 しばらく歩くと、カリウスが言った。


       「あの建物です!」


 建物はドームだった。

 そして、扉を開けて俺たちは中に入っていった。




 中に入ると、不気味なほど静かなパイプだらけの空間があった。

 あまりにも不気味だったので俺は自然と警戒をしていた。

 ただ、少し警戒をしてもなにもなかったので俺は警戒を解いた。

 そのときだった、いきなり近くのパイプの下から黒い大きな物がカサカサと音を立てて飛び出してきたのだ。

 カリウスに下水道にいる生き物はだいたい攻撃してくると言われたのを思い出した俺は、即座に肩にかけていたライフルを構えて引き金を引いた。

 俺は、全力で精密の魔法が発動するように念じた。

 俺が念じた直後、鈍い音とともに動物の叫び声が辺りに響いた。

 声がやむとカリウスが声をかけてきた。


    「さすがです、グレース様!」


 そう言うとカリウスは黒い奴を指差して言った。


「これが、下水道にはびこっている巨大ネズミです、すばしっこいので注意してくださいね」


      「ああ、わかった」


 やり取りが終わると俺たちは下水管の入口に向けて再び歩きだした。




 少し歩くと、下水管へ入る巨大なハッチを見つけた。

 俺たちはハッチのバルブを緩めた。


      「それじゃあ、行くぞ」


         「はい!」


 カリウスが火炎放射器を構えた。そして、俺はハッチを開いた。

 ハッチを開けた時になにかが飛び出してくることはなかった。

 それに安心した俺たちは、梯子を下っていく。さいわい照明は薄暗くなっているが、まだ生きていた。

 下に降りると、すでに変な音が聞こえていた。

 だが、俺たちは意を決して下水道を進み始めた。




 歩き始めた俺たちは、警戒をしながら足を進めていく。

 今回はカリウスが防御魔法を展開して、俺が攻撃する役目だ。

 当初心配していた下水道の匂いはそこまで酷くはなかった。

 そんなことを考えていると扉が見えてきた。

 どうやら、この下水道は細かく区分けされているようだった。


 (一つ一つ確認しないと行けないのかよ)


 そう思っているとカリウスが小声で声をかけてきた。


「音を聞いた感じだと、おそらくこの扉の裏は巨大ネズミの溜まり場になっています、とっとと制圧しちゃいましょう」


 巨大ネズミが大量にいると聞いてあまり乗り気になれなかったが、このままだと先に進めそうになかったので、俺はしぶしぶ制圧することにした。

 

      「わかった、制圧しよう」


 そう言って俺は、手榴弾を取り出した、カリウスは扉についているバルブを回し始めた。

 そして、バルブを回し終えたカリウスは言った。


        「開けますよ」


 俺はうなずいた。それを確認したカリウスは扉を開いた。

 急いで俺は手榴弾を中に投げ込んで俺は叫んだ。


         「急げ!」


 俺がそう言うとカリウスは急いで扉を閉めた。   

 数秒たつと扉の裏から爆発音が聞こえてきた。

 俺は火炎放射器を構えると再び扉を開いた、そして火炎放射器の引き金を引いた。

 次の瞬間、大量の炎が火炎放射器から吐かれた。

 しかし、なにも反応がなかったので俺は、引き金から指を離した。そしてカリウスに言った。

 

      「ひとまず安全そうだな」


 するとカリウスは言った。


「そうらしいですね、ですがまだ安心はできませんよ」


 そう言うとカリウスは散弾銃を構えて扉の中に入っていく、俺も続いた。

 扉の中は案の定酷く、巨大ネズミだったものの血や肉が壁や床一面に飛び散っていた。

 俺は、その光景をみて足を止めてしまっていた。

 すると、カリウス俺の肩を叩いて言った。


「こんなんでビビっていたら、下水道を突破するなんて絶対に無理ですよ。さっさと気を取り直してください」


 その言葉を聞いた俺は、再び歩きだした。




 五時間ほど歩いただろうか、俺たちはまだ下水道の中を歩いていた。

 あの後、俺たちは何度かネズミと戦った。

 さすがに俺に疲弊がでてきたことを見たカリウスが休ませてくれた。

 俺は、持ってきた水を飲んだあと質問した。


「あとどれくらいで、下水道を抜けられるんだ?」


 するとカリウスは笑顔で言った。


「あと一時間もすれば、多分抜けられると思いますよ!」


 そのことをカリウスは元気あるなと、思っていながら聞いていた、すると突然とてつもないうるささのなにかが叫ぶ声が聞こえてきた。

 その音を聞いた俺は、動揺してカリウスの方を向いた。

 するとカリウスは突然、俺の手をつかんで走り出した。そして俺に言った。


 「あれはミュータントの叫び声です!この大きさだと絶対近くにいますよ!」

 

 カリウスの顔はこれまでに見たことがない、焦っている顔だった。

 俺もヤバいと思い全力で走る。少し走ると扉が見えたので、俺たちはあの中に入ることにした。

 だか、扉の目の前まであと少しのところで上から巨大ななにかが、降ってきた。

 俺は降ってきたものを見た、降ってきたものは、下半身は蛸みたいで上半身は宇宙人みたいなものだった。

 俺は、ヤバいと思いすぐに距離をとった。

 すると、カリウスが冷静な声で言った。


「あれがミュータントです……今回は遭遇したくないと思っていましたが、無理なようですね…」


 そう言うとカリウスは、腰にかけていた刀を抜いた。

 そして言った。


「三年前とは違うってことを奴に思い知らせてやりましょう!」


 その言葉を聞いた俺は、自然とやる気がでてきた。


          「ああ!」


 そして俺も刀を抜いた。

 本当なら銃をメインで戦いたかったが、カリウスが奴には銃は聞かないと言われていたので刀で戦うしかなかった。




 先手は俺たちが切った。

 全力でダッシュをかけた俺たちは、奴の上半身に向けて突っ込んでいく。

 奴は、手始めに足をカリウスに向けて一直線に飛ばしてきた。

 カリウスは防御魔法で奴の足を防ぐ、それを好機だと思った俺は、奴の上半身を切付けた。

 奴を切付けた瞬間、奴からとてつもない叫び声が上がった。

 俺は、あまりのうるささに、とっさに耳をふさいだ。

 当然、そんな俺を奴は待ってくれるなんてなく、俺に二本の足を突き刺そうと、足を伸ばしてきた。

 これは刺さると思ったときに、距離を積めてきていたカリウスが奴の足を二本まとめて叩き切った。

 カリウスのおかげで余裕ができた俺は奴の上半身を全力で切付けた。

 奴は切りつけられた瞬間怯んだ、その隙にカリウスも奴の顔らしき場所を切った。

 俺たちは反撃を考慮して距離を取る。

 奴は頭を半分失って、胴体も大きく切られている状態だった。

 それを見て俺は少し安心した、そのときだった、突然奴の下半身から、触手が伸びてきた。

 触手は瞬く間に奴の上半身を覆ってしまった。

 するとカリウスが言った。


「ここからが本番です……さて、どうやって倒しますかね…」


 俺は、カリウスが事前に奴は第二形態があってダメージが入らなくなることを思い出した。

 そうこう考えているうちに、奴は距離を詰めてきた。

 俺は試しに、奴を切ってみた。まあ、結果は予想どおりのダメージが入らないだった。

 俺は、一旦距離を取る。


     (どうするんだよこれ?!)


 俺が考えていると奴の触手がおれに向かってきた。

 ギリギリのところでカリウスが防御魔法を展開してくれたのでなんとか助かった。

 そのとき俺は、あることを思い付いた。

 次の瞬間、俺は火炎放射器を取り出して奴に狙いを定めた。

 そして、藁にもすがる思いで火炎放射器の引き金を引いた。

 その直後奴に向かって炎が吐かれ、奴は炎に包まれた。

 奴は炎に包まれた途端に絶叫を上げて、暴れた。

 少しすると、奴を覆っていた触手の盾はなくなっていた。

 ただ、奴の下半身を見ると触手が再生を始めていた。

 これをチャンスだと思った俺たちは左右から一気に距離を詰める、そしてカリウスは首を、俺は胴体を叩き切った。

 上半身をズタボロにされた奴は動かなくなった。

 それを見届けた俺は、一気に体から力が抜けていくのを感じた。

 カリウスの方も同じようだった。


 まあ、とにかく俺たちはさらに脱出の歩みを進めたのだった。




 あの後休憩した俺たちは、再び進むことにした。

 最大の脅威であったミュータントを排除した俺たちにとって、でてきたネズミは敵ではなかった。

 一時間ほど歩いただろうか、俺はカリウスに聞いた。


      「まだつかないの~?」


 するとカリウスは笑顔で言った。


 「見てください!向こうに梯子がありますよ!」


 やっと下水道からでられると思った俺は急に気力が湧いたので、走って梯子に駆け寄った。

 俺は梯子の上を見上げる、案の定ハッチがあった。

 俺はカリウスを呼ぶ。


      「ハッチがあったぞ!」


 カリウスがこっちに来るまでに、俺はハッチを開けることにした。

 俺は梯子を登ってハッチについているバルブを回した。

 そして、火炎放射器を構えながらおそるおそる、俺はハッチを開けた。

 ハッチを開けると俺の顔に光が差し込んできた。

 ついに外に出れた俺は、心の中で歓喜した。

 ちょうどその時、横からカリウスも来た。カリウスも満面の笑みで喜んでいた。

 そのまま俺たちは、ハッチを完全に開けた。




 ハッチを完全に開けると、そこは上が完全に壊れて空いていたドームの跡だった。

 少し周りを見渡すとすぐに入口らしき場所を見つけた。

 俺たちはそれに寄った。そしてついていた扉を開けた。

 扉を開けると、なんとも心地よい風が吹いてきた。

 あまりの心地よさに、俺は足を止めてしまった。

 するとカリウスが、俺の肩を止めて言った。


「なにぼおっとしてるんですか?下水道をやっと突破したんですよ!まずは喜びましょうよ!」


 その言葉で我にかえった俺は、カリウスに言った。


        「ああ!そうだな」


 そして、俺は再び歩きだした。

 ドームの外に出ると、そこには岩だらけの平原が広がっていた。

 俺は、目的地であるマラナ宇宙港を探すため、地図を取り出して覗き込んだ。

 地図上を探していると、カリウスが覗き込んできた、そして地図から顔を離して北西の方角を指差して言った。

 

     「多分あれじゃないですか」


 俺は顔を上げて、カリウスが指差している方角を見た。

 目をやった先には、遠くに塔が建っているのが見えた。

 俺は、形が転生前の世界で見た空港の管制塔と似ていたので、向こうだと判断した。


        「よし、行こう」


 俺はそう言うと、歩きだした。




 三十分ぐらい歩いただろうか、俺たちは宇宙港に辿り着いた。


      「やっと着きましたね!」


 カリウスはそう言うと、周りを見渡した。俺も確認する。

 宇宙港の作りは飛行場に似ていて、辺り一面滑走路らしきものだった。

 そんなことを考えているとカリウスが声をかけてきた。


  「向こうに宇宙船らしいのがありますよ!」


 俺は目をやった。遠目から見ると、すごく未来的な宇宙船らしいものが何隻か放置されているのが見えた。

 もしかしたら動くかもしれないと思ったので俺たちは向かった。

 だが、宇宙船の近くに行ったらすぐにおかしいことに気づいた。

 どの宇宙船にも爆発がおきたような穴が空いていた。

 期待していた俺は、酷く落胆した。

 そのとき、カリウスが「あっ!」と驚きの声を上げた。

 俺は、どうしたのかと思いカリウスに近寄る。

 そしてカリウスのことを見た、するとなんと言うことだろうか、カリウスがいたところに全く無傷の宇宙船があったのだ。

 

      「動かせるか試そうぜ!」


 そうカリウスに言うと、カリウスはうなずいて宇宙船の入口らしき場所に向かっていった。

 



 幸いにも宇宙船の入口は空いていたので中に入れた。

 中に入ると、カリウスが言った。


「このタイプの宇宙船は、だいたい一番前に艦橋があるんですよ!」


 俺はふと、カリウスがなんで宇宙船とか機械に詳しいのか気になった。


 「そういえば、なんでカリウスは機械に詳しいんだ?」


 するとカリウスは笑顔で答えた。


 「昔、学校で機械について学んでたんですよ!」


 俺は、納得しつつこの世界にも学校があって、前の世界と似ていることに安堵していた。

 そんなことを思っていると、カリウスが言った。


「そんな話よりまずは宇宙船の艦橋を探しますよ!」


 俺たちは、再び探索をすることにした。

 五分ほど探すと、艦橋についた。艦橋はTHE宇宙船的な艦橋だった。

 俺が見渡していると、カリウスが奥に置いてある

制御盤らしきところに行ってさわりだした。

 俺も、カリウスの方へ行く。

 カリウスは制御盤のボタンを慣れたように操作していた。

 少しすると、モニターに電源がついた。

 そのまま、カリウスは制御盤をいじくっていく。

 だか、そのときだった、モニターに表示されたのは残燃料0%の表示だった。

 俺たちは落胆した、そしてカリウスが大きなため息をした後言った。

 

「宇宙船自体は動かせそうなんですが、肝心の燃料がないんできついですね......」


 そのままカリウスは淡々と話を続けた。


「さっき確認しましたが、燃料タンクも破壊されていました......どこかに壊れてない燃料タンクがあればいいんですけど......」


 あと一歩でこの星から脱出できそうなところで脱出できない、この状況に俺も頭を抱えるしかなかった。

 だが頭を抱えていると、俺はあることを突然思い出して地図を取り出した。

 その様子にカリウスは不思議そうに俺を見つめる。

 俺はそんなことを気にせずに地図を広げて、宇宙港の周りを見渡した。

 地図を見ていると、俺が覚えていたとおりに科学燃料工場とかかれている場所を見つけた。

 俺は地図をカリウスに見せて言った。


「なあカリウス、ここならワンチャン燃料があったりしないか?」


 すると、カリウスは少し驚いた顔で言った。


「こんな近くに燃料工場があるなんてめっちゃラッキーですよ!燃料があるとは言いきれませんが、もしかしたらあるかもしれません!」


 そのことを聞いた俺の心の中では希望が湧いてきた。

 そして、俺はカリウスに言った。


         「行こう!」


 そしてその後、俺達は急ピッチで燃料工場に突入するための準備を進めた。

 燃料工場では、警備ロボットとの戦闘が想定されるので銃火器をメインにして攻略することにした。

 そして、下水道突破の翌日に俺たちは燃料工場へ向けて出発した。





 燃料工場には北に半日ほど歩くと辿り着いた。

 しかし、工場についた頃には夕暮れだったので、俺たちは野営することにした。

 俺たちは、明日の突入に向けて最後の打ち合わせをすることにした。


「じゃあ、明日の突入に向けての最終確認をしましょう!」


 そう言うとカリウスは淡々と話を始めた。


「まず、今回の突入の目標は宇宙船用の燃料の回収です。しかし、工場内の機材を動かして燃料を搬出するためには、中で作動している警備システムをダウンさせないといけないので、警備システムのダウンを目標とします」


 俺はふと、疑問に思ったことがあったのでカリウスに質問した。


「作戦はわかったんだか、燃料を搬出したらどうやって宇宙港まで運ぶんだ?」


 すると、カリウスは笑顔で質問に答えた。


「よくぞ聞いてくれました、それなんですが、これを見てください!」


 そう言うとカリウスは腰のポーチからテレビのリモコンらしきものを取り出した。

 そして、ボタンを勢いよく押した。

 すると、後ろの方から機械が走るような激しい音が聞こえてきた。

 俺は、後ろを振り返って音のなる方向に目をやった。

 目をやった先には、トラックらしきものが後ろに止まっていた。

 俺は驚いて、カリウスに質問した。


    「こんなの、どうしたんだ?!」


 するとカリウスは笑顔で答えた。


 「昨日、宇宙港で見けたんですよ!なんと、自動で動くんです!」


 その光景を見て、毎回カリウスには驚かされているなと思いつつ、俺はカリウスに言った。


     「準備も整ったし、行くぞ!」


          「はい!」


 俺たちは燃料工場に入っていった。




 燃料工場に入って真っ先に目に入ったのは、下水道で戦ったミュータントの触手が至るところに生えていて、動いている光景だった。

 予想外の衝撃的な光景に、俺は言葉を漏らした。


     「なんなんだこれは?!」


 すると、カリウスは少し焦った様子で口を開いた。


    「これは想定外ですね......」


 俺は、気になってカリウスに質問した。


「まさか......ミュータントって、機械に寄生したりすんの?」


         「はい.....」


        「マジかよ!!!」


 安全に探索できると思っていた、俺は思わず声をあげてしまった。

 カリウスは俺のことを気にせずに、話を続けていく。


「しかも、ミュータントなんで普通に攻撃してきますよ......」


 俺は、それを聞いて探索するのを躊躇ったが、ここしか希望がないので、しぶしぶ探索をすることにした。




 幸いにも電源が生きていたので俺たちは襲ってくるミュータントの触手を斬り倒しながら探索を進めた。

 五分ぐらい探索していると、俺はディスプレイと制御盤らしきものを見つけた。

 ミュータントも寄生していなかったので、俺はカリウスを呼んで、制御盤を適当にいじくってみた。

 しかし制御盤をいじくってみると、ディスプレイに、警備システム作動中と出てきてしまった。

 ディスプレイを見てどうしようかと悩んでいるとカリウスが声をかけてきた。


  「見てください!地図がありましたよ!」


 カリウスはそう言うと、手に持っていた紙を見せてきた。

 紙には、工場内の地図が書いてあった。

 俺たちは地図を見つめた。見た感じ、工場は二つの棟に別れていた。

 俺が、警備システムを解除できそうな部分を探しているとカリウスが地図上の右端を指差して言った。


「ここ見てください!もしかしてここなら警備システムを解除できるんじゃないですか!」


 俺は、カリウスが指差しているところを見た。

 すると、地図には警備室と書かれていた。

 さらに、警備室がある棟は宇宙船用燃料生産ラインと書かれていた。


     「でかしたカリウス!」


 俺は嬉しくてカリウスに言った。

 

    「このくらいは、当然ですよ!」


 カリウスは自信そうな顔で言った。




 俺たちは、警備室がある右側の棟に向けて進んでいたが俺は不安に思うことがあった。

 相変わらず壁などに寄生しているミュータントには遭遇するのだが、警備ロボットには遭遇しないのだ。

 警備システムが作動していなかった他の廃墟でも何体かは遭遇したのに、ここは警備システムが作動しているにもかかわらず、一体も遭遇しない。そんな状況に俺は、不安な気持ちを抱きつつも、前を歩くカリウスについていった。

 結局、俺たちは警備ロボットに遭遇することなく警備室の近くに着いてしまった。




 警備室の近くに着いたときに、それまで黙っていたカリウスが急に口を開いた。


「なんか、順調すぎません?普段なら遭遇するはずの警備ロボットにまだ遭遇してませんよ」


 カリウスも同じことを、考えていたんだなと思いつつ俺は言った。


「俺も同じことを思っていたがここまでなんも遭遇しなかったんだからもう全部壊れてるんだろ」


      「そうですかね......」


 カリウスの不安そうな顔をよそに、前へ足を進めた。

 だが、俺が足を前に進めた瞬間に突然、とてつもない大きさのサイレンが鳴り響いた。

 

   「やっぱりなんかヤバイですよ!」


 カリウスはそう言うと、肩に掛けていた銃を手に持った。

 俺も肩に掛けていた銃を手に持とうとした矢先に、突然上から俺たちより少しでかいサイズの黒い玉が降ってきた。

 ヤバイと思った俺は、すぐに玉に向かって発砲した。

 しかし、なにかに効いたようには見えなかった。

 そしてなにかは、スライムを握っているようなときに鳴るような音を鳴らしながら変形した。

 そして数秒もたつと、黒い玉の中から人型のロボットが姿を現した。

 そして、完全に姿を現したロボットは俺たちが反応する前に手を上げて俺たちに向かってレーザーを放ってきた。

 いきなりのレーザーに反応できなかった俺は、レーザーをまともに喰らいそうだった、だが俺に直撃する寸前にカリウスが防御魔法で防いでくれた。

 

   「なに立ち止まってんですか!!!」


 その言葉でようやく我に帰った俺は、すぐさま刀を抜いた。

 そして、俺はすぐさま距離を詰めた。

 だか、突然俺の体は強い衝撃を感じた。そして気づいたときには、俺は壁に叩きつけられていた。

 突然の出来事に俺は、なにが起きたかわからなくてロボットの方に目をやった。

 なんと、ロボットはミュータントの触手を背中から何本か生やしていて辺りに振り回していた。

 これはヤバイと思った矢先に俺の頭はクラクラしてきた。

 どうやら頭を打ったらしい、遠くでカリウスがなにか叫んでいるようだったが、なにも聞こえなかった。

 そして、俺の視界は暗くなっていった。




 俺の意識が途切れたあと、カリウスは一人でロボットと交戦していた。

 奴はビームサーベル、レーザー、ミュータントの触手を、使って攻撃してくるのでカリウスは防戦一方だった。


(まずいですね....この攻撃の量だとグレース様の方にいけませんね....)


 カリウスは防御魔法を展開していたが、着々とヒビが入っている、割れるのも時間の問題だ。

 それでも、カリウスは必死に抵抗する。

 だが、奴は強すぎた。

 あっという間にカリウスの防御魔法を破ってしまったのである。

 



 カリウスがピンチなのにもかかわらず、俺の意識はまだ、闇の中をさまよっていた。

 奴は攻撃を緩めることなく、レーザーをチャージしながら、カリウスに照準を合わせた。


     (マジでヤバイですね......)


 カリウスは心の中でそう思うと、なにを考えたのか俺の方に全力で走ってきて、俺の腹を殴った。


     「起きてください!!!!」


 その瞬間、俺の体は突然の衝撃に驚いたのか、闇の中から俺の意識を引きずり出した。

 闇の中から引きずり出された、俺の視界にはレーザーを今に放ってきそうな奴と、俺の腹を殴っているカリウスが入ってきた。

 その光景を見た瞬間、俺はこれまでのことを思い出した。

 そして、俺はすぐさま銃を奴に向けて構えた。

 狙いは、レーザーをチャージしている奴の手のひらね中心にある穴だ。

 俺は、これでもかと言うぐらい心の中で当たれあと念じた。

 そのまま、俺は引き金を引く。

 引き金を引いた瞬間、弾は精密の魔法によって正確に手のひらの穴に命中した。

 命中した瞬間、奴の手のひらは誘爆したのかわからんが、爆発した。

 奴が怯んだ隙に俺たちはすぐさま距離を取る。

 距離を取ったと同時に、俺はカリウスに言った。


     「すまんカリウス!!!」


 俺がそう言うとカリウスは言った。


 「そんなの全然大丈夫です!それよりも奴について手短に話します!」


 そう言うとカリウスは早口で奴について話し出した。


「奴は今までの警備ロボットと違って弱点であるはずの弱点が露出していません!」


   「じゃあ倒せないじゃないか!!!」


 奴が、今にも再び攻撃してきそうな様子からの焦りからなのか、俺は取り乱しながら言った。

 そんなことも気にせず、カリウスは淡々と話を続けていく。


  「おそらく奴の核は頭の中にあります!」


    「どうしてそうわかるんだ!?」


「さっきグレース様が奴の頭に向けて銃弾を放ったときに奴は弱点である目がないのにもかかわらず頭を横に動かして避けたんですよ!

なので私が奴の首を切るのでその隙に奴の目を撃ち抜いてください!」


 カリウスがそう言った瞬間に奴は再びビームサーベルを構えて俺たちの方向に突っ込んできた。

 カリウスもそれに構わず奴に突っ込んでいく。

 だか、俺は頭の中でヤバイと思っていた。

 今のカリウスはさっきレーザーを撃ち込まれそうになったときに防御魔法を展開していなかった。

 そのことに気づいた俺は前にカリウスが言っていたことを思い出した。

 カリウスは防御魔法は割られると数分は使えなくなると言っていた。

 その事を思い出した俺は気づいたら体が勝手に動いていた。

 そして我に帰った俺は奴のに全力で近寄った。

 目の前では、カリウスが今にも奴のビームサーベルに貫かれそうになっている。

 その様子を見て火事場の馬鹿力なのかわからんが、俺は今までに出したことのないような力で奴の腕を横から叩き斬った。

 その様子を見たカリウスが笑顔で言った。


      「さすがです!!!!」


 カリウスはそのまま奴の懐に入り込んだ。

 俺も急いで肩に掛けていた銃を取り出す、その瞬間カリウスは奴の首を斬った。

 俺は急いで空を舞う奴の首にむけて、銃弾を放った。

 そして俺は、強く当たれと念じた。

 だか、すんでのところで奴の胴体から急激に伸びてきた触手によって弾は防がれてしまった。

 俺は心の中でものすごく焦った、だが俺は手で剥がしてでも奴の核を破壊するつもりで奴に向けて突っ込んだ。

 そのときだった、カリウスも横から突っ込んできた、そしてカリウスは奴の頭を両断して言った。


  「今です!核を撃ち抜いてください!!!」


 奴の頭の中の部品が空中に飛び散る。

 普段なら焦ってわからなくなるところだったが、このときはなぜか世界が止まっているように見えたおかげで、奴の核らしい玉が出てくるのが分かった。

 俺はすぐさま右手に持っていた銃の引き金を、狙いを定めずに引いた。

 俺はこれでもかと言うぐらいの声で叫んだ。


      「当たれぇ!!!!!」

 

 その瞬間、弾は寸分の誤差もなく奴の核に命中した。

 次の瞬間、奴の核から光が出てきた、俺たちはすぐさま距離を取る。

 そして、奴の核は爆発した。

 核を壊されたことによって、奴の胴体も動かなくなったようだった。

 俺は、とてつもない達成感に無意識に言った。


        「やった.......!」


 だか、そう言ったのもつかの間俺の体は全ての力が抜けたのかわからんが、倒れそうになってしまった。 

 その時カリウスが急いでこっちに来て、倒れそうな俺の体を支えながら言った。


     「最高ですよグレース様!!!」


 その言葉を聞いて俺も自然に顔から笑みがこぼれた。

 そして俺も口を開いた。


       「カリウスもな!」




 こうして俺たちはさらに脱出へと歩みを進めたのであった。




 あの後俺たちは疲れ果てて、しばらく動けなかった。

 そして一時間ぐらいカリウスと雑談をしていただろうか、カリウスがちょうど良い区切りで言った。


「結構休んだのでそろそろ目的を果たしましょうか!」


 そう言うとカリウスは立ち上がって、警備室のドアの方に向かって歩きだした。

 俺も立ち上がって、カリウスについていく。

 俺は、頭の中でこの工場でやることを確認し直した。

 まず警備システムを無効化する、そして宇宙船用の燃料を工場から搬出する。

 それを思い出しながら、俺はカリウスが警備室のドアノブに手を掛ける光景を見た。

 その光景を見た俺は、またさっきみたいに警備ロボットに襲われてはたまらんと思い、肩に掛けていた銃をすぐに構えた。


      「いきますよ.......!」


 俺の様子を確認したカリウスは、そう言うと扉を開けた。

 俺はすぐに銃で扉の中を狙った。

 俺はものすごく警戒していたが、数秒待ってもなにも出てくる気配がなかったので、俺は銃を下ろした。

 そして、カリウスに続いて警備室に入った。

 警備室の中は、三つの大きなディスプレイと、たくさんの制御盤があり、The警備室だった。

 俺たちは警備システムを解除するために、制御盤の操作の仕方が書いてあるものがないか探した。

 少し探すと案の定、いつものようにカリウスが紙の束を持ってきながら言った。


    「たぶんこれじゃないですか?」


 そう言うとカリウスは紙の束を見せてきた。

 表紙には警備室操作マニュアルと書かれていたので、俺はその中から警備システムの解除方法を探した。

 そして解除方法のページを見つけた俺は、マニュアルに書いてある手順通りに制御盤を操作した。

 制御盤を操作していくと、ディスプレイにはマニュアルに書いてある画像が次々に出てきた。

 そうして五分ぐらい操作していると、ディスプレイに「警備システム解除完了」と表示された。

 俺は安堵の気持ちからため息をついた、するとカリウスが口を開いた。


     「さすがです!グレース様!」


 カリウスはそう言うと、制御盤をいじってディスプレイに地図を表示させた。

 そして、そのまま話を続ける。


「こっから五十メートルぐらい真っ直ぐ通路を進んだら生産ラインがあるようですね」


 カリウスはそう言うと、警備室の入口に向かって歩きだしたので、俺もカリウスのあとを追った。




 一分も歩くと、ベルトコンベアがある広い部屋に出た。

 ベルトコンベアには高さと横幅が一メートルほどの正方形の箱が乱雑に置かれていた。

 俺は近寄って箱を確認した。

 箱には、確かに宇宙船用燃料と書かれていた。

 

    (本当に使い物になるのか....?)


 そんなことを思っていると箱を確認していたカリウスが笑顔で口を開いた。


   「これなら使い物になりそうですね!」


 てっきり古くて使い物にならないとか言うと思っていたが、使えるとカリウスが言ったので驚きだった。

 

     「少し離れていてください!」


 俺は、慌ててベルトコンベアから離れる。

 カリウスは俺が離れたのを確認した後、近くにあった制御盤を操作した。

 すると、止まっていたベルトコンベアが動き出した。

 次々とベルトコンベアに積まれた燃料缶が外に通じる出口らしき場所へ運ばれていく、おそらく外にはカリウスがさっき呼んだトラックが来ているはずだ。

 そして、燃料缶が十個外に運ばれたのを確認したカリウスはベルトコンベアを止めた。


       「もう終わったのか?」


 俺がそう聞くとカリウスは笑顔で口を開いた。


       「終わりましたよ!」


 それを聞いた俺は言った。


      「じゃあ、いよいよだな!」


 俺がそう言うと、カリウスはうなずきながら大きな声で言った。


          「はい!」


 俺たちは、工場の出口へ向かった。




 その後、俺たちは燃料が積まれたトラックに乗って宇宙港に戻った。

 トラックは完全自動運転なので、帰りは二人とも泥のように眠っていた。

 そして、俺たちが起きたときにはすでに夜明けだった。


       「ずいぶんと寝たな~」


 俺が大きなあくびをしながら、呟くとカリウスが缶詰めを持ってきて言った。


「朝ごはん、とっとと食べちゃってくださいよ!着いたらすぐに作業ですからね」


 俺はカリウスから、缶詰めをもらって開けた。

 そのまま、中に入っている乾パンを口に運ぶ。

 味は、うまくもまずくもない味だった。 

 そんなことを思いながら乾パンを食べていると宇宙港の敷地に入った。




 二、三分もすると宇宙船に着いた。

 カリウスはトラックを止めると口を開いた。


     「さて、取りかかりますか!」


 そう言うとカリウスはトラックから降りた。

 俺もカリウスに続いてトラックを降りた。


    「どうやって燃料を入れるんだ?」


 俺は降りたタイミングでカリウスに聞いた。

 するとカリウスは、宇宙船の下にあった制御盤を操作しながら言った。


    「ちょっと待っててくださいね」


 カリウスは制御盤を操作しながらそう言った。

 そして十秒ほどするとたったころ、突然宇宙船の横の扉みたいなところが開いて、そこからぶっといホースが出てきた。

 そしてカリウスはそのホースを持ち上げると、口を開いた。


「このホースで燃料缶から燃料を入れますよ!なかなかの重さなんで、手伝ってください!」


 俺はホースを持ち上げて言った。


          「ああ!」


 ホースは、見た目どおりに結構な重さだったが

 俺たちは、少し苦戦しながらもホースを燃料缶に繋げた。

 そして、再びカリウスが制御盤の方に行って制御盤を操作した。

 すると、どんどん燃料がホースの中を通って宇宙船の中に入っていくのが外から見ても確認できた。

 俺たちはその後、同じような作業で燃料を入れた。




 五個目の燃料缶をいれ終えたとき、カリウスが口を開いた。


   「このくらいで足りるでしょう!」


 カリウスはそう言うと、ホースを止めて言った。

 

 「試験航海も含めて、拠点に戻りましょうか!」


 俺は、いきなりの言葉に戸惑いつつカリウス聞いた。


      「もう動かせるのか?」


 そう聞くとカリウスは笑顔で言った。


 「行けますよ!まともに動いたらの話ですが...」


 やってみないことにはなにも始まらない、そう思った俺はカリウスに言った。


「やらないことには始まらないし、やってみるか!」


   「そう言うと思っていましたよ!」


 カリウスはそう言うと、「着いてきてください」と言って宇宙船の中に入っていった。




 カリウスに着いていくと、俺たちは宇宙船の艦橋に着いた。

 そして、艦橋に着くとカリウスが口を開いた。


      「さて、行きますよ!」


 そう言うとカリウスは操縦席について、制御盤を操作した。

 そして、少したつと宇宙船が静かに、空に上がっていく。

 俺はその光景を見てあまりのすごさに、六分のワクワクと四分の感動を感じた。

 俺が、そんなことを感じているとカリウスが声をかけてきた。


「これが宇宙船の飛びかたです!驚きましたか?」


     「ああ!すごかったよ!」


 俺は少し興奮しながら言った。


       「それはよかったです!」


 そう言うとカリウスは話を続けていく。


 「じゃあ、このまま拠点まで言っちゃいますね」


 そう言うとカリウスは操縦席についた。

 操縦しようとしているのを邪魔してはまずいと思った俺は、他の部屋に行こうと艦橋の扉を開けようとした。

 だが、そのときカリウスがいきなり大きな声で言った。


  「グレース様!救難信号を探知しました!」


 俺は、とっさのことの驚きでカリウスに聞いた。


        「本当か!」


 するとカリウスは言った。


「本当ですよ!もしかしたら他に人がいるかもしれません!」


 俺の心は踊った、そしてカリウスに言った。


       「今すぐ行くぞ!」

 

         「はい!」


 こうして、俺たちは救難信号が示す場所に行くことになった。




 俺たちは救難信号を探知した後、救難信号が示す場所に向かっていた。

 一時間ほど経っただろうか、それまで黙っていたカリウスが口を開いた。


「おそらくここら辺です!グレース様もなんかないか、辺りを探してください」


 そう言われた俺は、窓から辺りを見渡した。

 少し探すと、俺はポツンとたたずんでいるスーパーみたいな建物を見つけた。

 

       「あれじゃないか?」


 俺がそう言うと、カリウスはこっちに来て建物を確認した。

 そして、建物を少し見た後にカリウスは口を開いた。


「ここら辺にあれ以外の建物は無いんで、おそらくあれですね」


 カリウスはそう言うと操縦席に戻って制御盤を操作した。

 すると、宇宙船はだんだんと高度を下げて着陸した。


        「じゃあ行くか!」


 俺がそう言うと、カリウスも「はい!」と言ったので、俺たちは武器を整えて艦橋を後にした。




 建物の近くに行って確認すると、見た目はスーパーに似ていたが、看板には古代研究所と書かれていた。

 俺たちは早速中に入ろうとする、だが入口のガラス扉はもう電源が死んでるようで、開かなかった。

 俺はどうやって中に入ろうか考える、するとカリウスが「少し離れていてください」と言った。

 俺はカリウスにしたがってガラス扉から距離を取った。

 俺が離れたのを確認したカリウスは次の瞬間、扉におもいっきり蹴りを入れた。

 その瞬間、扉は激しい音を立てて粉々に砕けた。

 

       「開きましたよ!」


 そう言うとカリウスは中に入っていく、俺も苦笑いをしながら中に入っていった。




 中に入ると、中は真っ暗だった。

 俺は、事前に宇宙船で用意してきた懐中電灯らしきものを取り出してスイッチを押した。

 すると、懐中電灯から光が出て辺りが照らされた。

 見た感じ、ロビーに俺たちはいるようだった。

 すると、カリウスがロビーの受付の方に指を指しながら口を開いた。


   「あそこに地図が貼ってありますよ!」


 俺はすぐにカリウスが指を指す方に目をやる、すると大きめの地図が壁に貼ってあった。

 

 「やっぱりカリウスはものを探すのが早いな!」


 そんな他愛のないことを言いながらも、俺は地図を確認した。

 大まかな構造は、大きな通路があってその横に研究室がいくつかあるという感じだ。




 俺たちは、早速地図にしたがって大きな通路を歩いていた。

 少し歩くと、地図どおりに研究室らしき扉がいくつか見えてきたので、俺は試しに一番近い扉を開いた。

 中は暗いので俺はライトを照らす、すると見えてきたのは大量の本棚と机に積まれている大量の資料らしきものだった。

 おそらくここは、資料室なのだろうと思いつつ、俺は机の上に置かれている紙の束を適当に一つ、手に取った。

 俺は一番最初の紙を見る、最初の紙には

「開拓記録」とだけ書かれていた。

 この星についてなにかわかるかもしれないと思った俺は、期待の気持ちで紙をめくった。

 二ページ目には年表らしきものが載っている、そして俺は最初の文字列を見る、最初の言葉は

 「東暦6517年 惑星Da3952に入植を開始」と書いてあった。

 東暦という初めて見る単語がわからなかった俺はカリウスを呼んだ。

 近くの本棚を適当に漁っていたカリウスはどうしたのか聞いてきた。

 俺はカリウスに言う。


  「ここに書いてある東暦ってなんなんだ?」


 カリウスはそう聞かれると、自信家な顔になって言った。


   「東暦はですね、この世界の暦です!」


 向こうの世界の西暦だなと思いつつ、カリウスに資料を見せるとカリウスは驚いた顔で言った。


  「東暦6936 年って90年前のことですよ!」


 「どこを見てそんなことを言ってるんだ?」


 俺がそう言うとカリウスは、年表の一番下にある

「東暦6936年 寄生生物の脱走により開拓地を放棄」

と書かれているところを指差した。

 俺は、頭の中で状況を整理する。

 カリウスが90年前と言ったということは、おそらく今は東暦7026年ぐらい、それと寄生生物の脱走と書かれているが、これはミュータントのことを指していそうだ。

 状況を整理した俺は、口を開こうとしたが、先にカリウスが口を開いた。


「こんなところで、道草食ってないでさっさと救難信号の発信源を探しましょう!」


 俺は、そう言われてすっかり忘れていた救難信号のことを思い出した。

 俺は紙の束を机の上に再び置いてカリウスを連れて部屋を出た。




 部屋を出ると、カリウスは言った。


「宇宙船で確認してきたんですけど、どうやら救難信号は地下から発信されているらしいんですよ.....」


 「だが、地下は地図には載っていなかったぞ?」


 俺がそう言うとカリウスは言葉を返す。


「もしかしたら隠し扉的なやつがあるんじゃないですか?」


       「隠し扉か.......」


 たしかに、RPGとかだとこういうところに隠し扉的なやつがあるのは定番だ。

 しかし、ここは現実だからそううまく見つかるはずが無い。

 そんなことを思っていると、通路の奥の方を見ていたカリウスが言った。


   「あれ、階段じゃないですか?」


 俺はすぐに目をやる、すると階段らしきものがあった。

       (あったじゃん・・・)


 あまりにもすぐ見つかったので、俺はポカンとしていた。

 しかしまあ、早くに見つかったのはよろしいことなので、俺たちはノリノリで階段を下っていった。




 階段を下ると、俺たちが目にしたのは異常な光景だった。

 地下の研究室らしき場所だったそこは、明らかに人為的に爆破されたような感じだった。

 あまりの不気味さに俺は身震いをして行くのを躊躇った。

 横を見るとカリウスも行きたくなさそうな顔をしていた。

 そのときだった、俺は突然奥の方で緑色のなにかが光ったのを目にした。


      「今の見えたか!?」


 俺がそう言うと、カリウスも見えたと答えた。

 俺たちは、急いで光の見えた方に行く。

 幸いにも、床はそこまで壊れていなかったので走ることができた。




 三十秒ほど走ると、俺たちは光が光った場所に着いた。

 しかし、そこにはなにもない。

 俺は、勘違いだったのか?とも考えたが、カリウスも見たと言っていたので、訳がわからなくなった。

 そのときだった、


        「大..........」


 突然誰のかわからない言葉が頭の中に響いてきた。

 そして、俺は謎の周りが黒色の空間にいつの間にか立っていた。

 周りを見渡すがカリウスもいない。

 俺は戸惑いつつも、救難信号の主なのか質問する、すると声の主は俺の質問にたいして答えた。


「大魔法の器になりしものよ、よくぞここへ来た....」


     「大魔法?なんだそりゃ?」


 俺は突然のことに訳がわからなくなったので言った。

 

「いちいち質問をするな!まずは話をちゃんと聞け!」


 すると声の主は少し声を荒げて、言い返してきた。

 

    「わかったわかった、黙って聞くよ」


 俺は、なんなんだこいつ?と思いつつ、話を聞くことにした。

 声の主は淡々と話を続ける。


「お前は、この宇宙によって導かれた大魔法の器だ......

私は、破滅の日からこの力に耐えうる器を待っていた.......」


 「破滅の日」?「大魔法」?俺は、訳がわからずただ言葉の意味を考えるしかなかった。

 さらに言葉の主は、話を続ける。


「導かれし器よ、今からお前に大魔法を授けよう.....」


 その言葉に俺は驚いてしまい、思わず口を開いてしまった。


      「魔法を授けるだと?!」


「ああ、今からお前に授ける魔法は 環境操作の魔法

だ.......」


 環境操作と言われても、俺はどんな魔法かも検討がつかなかった。


「どうやらどんな魔法かイメージできてないようだな」


 自分の考えを見透かしているようなに言ってきたので、俺はさらに動揺する。

 すると声の主は俺に、こんなことを言った。


「お前がもといた世界の言葉で説明すると、テラフォーミングの魔法だ。」


 俺がもといた世界の言葉を知っている声の主に今にも質問したかったが、俺はいったん最後まで、声の主の説明を聞くことにした。

 

「この魔法は簡単に言えば、星を自由に改造することができる、それだけだ。」


 ずいぶんと雑な説明だと思いつつ、俺は口を開く。


「魔法のことはわかったが、なんで俺なんかにこんな凄そうな力を俺にくれるんだ?」


 少しの沈黙があったのち、声の主から返ってきたことはこうだった。


 「それは、お前がこの世界で生きていけばいずれわかることだ、私が今語ることではない。」


 そう言うと暗闇の空間から、緑色の炎のようなものが飛んできて、俺の身体に纏わりついた。

 そして、また声が聞こえた。


「この魔法は磨けば磨くほど、別の物へと変化を遂げていく」

 

 炎は俺の身体を包んだ、そして次の瞬間


      「未来を頼んだぞ......」


 この声が聞こえたと思ったら、俺はもといた研究室に戻されていた。




 もといた研究室に戻されていた俺は、結局なにがあったのかわからないまま、呆然と立ち尽くしていた。

 

       「どうしたんですか?」


 俺はすぐに我に帰る、すぐに声の方を向くとカリウスが不思議そうな目でこちらを見つめていた。


「カリウス!今、真っ暗な空間に飛ばされなかったか?!」


「特になにもなかったですけど......何かあったんですか?」


 やっぱりだ、おそらくあの真っ暗な空間に飛ばされたのは俺だけで、こっちの一瞬の時間で俺は、あの出来事を経験したということだ。

 俺は、さらにわけがわからなくなって悩んだ。

 しかし、結局悩んだ末に至った結論は、俺より遥かに魔法に詳しいであろうカリウスに聞いてみようということだった。




 俺はカリウスに今起こった出来事を、最初から最後まで話した。

 そして、俺がすべて話終えたときにカリウスは悩んでいるような厳しい顔で口を開いた。


「つまり、グレース様は話に出てきた大魔法ってやつを手に入れたっていうことですよね?」


     「そうだ、なんかわかるか?」


 すると、カリウスはさらに厳しい顔で話を続ける。

 

「本来、魔法ってのは先天性のもので後天的に手に入れることはできないんですよ.....」


 もしかしたら、この星を脱出した後に使い物になるかもしれないと思っていた俺は、気を落とした。

 俺が気を落としたことに気づいたカリウスも話しかけるのが気まずそうな感じだった。




 結局その後救難信号のもとを探したが、特に誰もいなかったので、俺たちは気まずい空気感のまま研究所の外に出た。

 なんか話しかけようと思っても話しかけられない、そんなことを思っているとカリウスが口を開いた。


「グレース様、もし魔法が本当に受け渡されていたなら魔法が使えるはずです!試してみませんか?」


 カリウスがそう言うと、俺たちを覆っていた気まずい空気感は晴れた気がした。

 俺は、うなずくとカリウスに言った。


    「わかった、少し離れていてくれ」


 俺は、環境操作の魔法がどのようにしたら発動するか考えた。

 しかし、魔法についてあんまり詳しくない俺は、どのようにしたら発動するか検討もつかない。

 すると、俺から離れたカリウスが言った。


   「やり方は、精密の魔法と同じですよ!」


 その事を聞いた俺は、精密の魔法を発動するときに念じるように、近くの岩場に草が生えるように念じる。

  (これが考えられる最善の手だ、頼むぞ)


 するとあの時見た緑色の炎が岩場を覆っていく、そして、急に炎が消えたと思ったら突然岩場にを草むらが覆った。

 本当に使えると思っていなかった、俺は顎が外れそうなぐらいの衝撃を受けた。

 カリウスの方を見ても尋常じゃないくらい、驚いていた。


「本当に魔法を手に入れていたとは思いませんでした.......」


 少したつと、カリウスはまだ呆気に取られているような顔で声をかけてきた。

 

   「俺も使えるとは思っていなかったよ」


 俺がそう言うとカリウスは笑顔で言った。


     「さすがグレース様です!」


   「しかし疲れたよ、そろそろ帰るか!」


 俺がカリウスにそう言うと、カリウスも賛成してくれたので、俺たちは宇宙船に向けて歩いていった。




 あの後宇宙船に戻った俺たちは、その日の夕方に拠点に帰還した。

 実に四日間に渡る大遠征だったので、拠点に帰還した俺たちは、ものすごい疲れから寝て、寝て、寝まくった。

 そして、二人とも目を覚ましたのは翌日の夕方だった。




      「これからどうします?」


 拠点のテーブルの向かいに座るカリウスは、開口一番にそう言った。

 そして淡々と話を続ける。


「遠征前は、宇宙に脱出した後に有人惑星にいく予定でしたが、グレース様がこんな魔法を手に入れたとなるとバレたらヤバいと思うんですよね........」


 カリウスが魔法は後天的には手に入らないと言っていたので、バレたら大変なことになることは俺でも安易に予想はできた。

 有人惑星にいくのも、危険だとなるともう打つ手がないと思っていると、頭の中である子供じみた考えが浮かんだ。

 言ったら笑われそうな内容だか、試しにカリウスに言ってみる。


「なあカリウス、こんな便利な魔法を手に入れたんだし、有人惑星に行くのが危険だったら俺たちで国を作ればよくないか?」


 なんて子供じみた発想だろう、カリウスも半分困惑している顔をしている。

 これはやらかしたと思っていると、カリウスは笑い出した。

 

    「やっぱり、グレース様ですね!」


 カリウスは笑いながらそう言うと、興奮気味で言った。


    「やりますか、私たちの国作り!」


          「ああ!」


 正直、心の中ではこんな子供じみた発想が、カリウスに通るとは思っていなかった。

 けれども、カリウスが賛成してくれたことによって俺たちの国を作るのが可能になった。

 まさしく今、この空間には新たな国が胎動していた。




 あれから俺たちは、宇宙船に拠点の物資を積めるだけ積んだ。

 幸いにも全長百五十メートルはある宇宙船だったので、拠点の物資以外にも近場の廃墟から使えそうなものを取ってきて積み込んだ。

 そして、大遠征から一週間が立った頃、俺たちはまだ早朝で寒空の外に立っていた。


 「いざ離れるとなると案外寂しいですね.....」


 カリウスは、暗い中で拠点を寂しそうに見ていた。

 カリウスにとっては何年間も過ごした拠点だ、寂しいはずがない、そんなことを思っているとカリウスが声をかけてきた。


     「さて、そろそろ行きますか!」


 カリウスの顔は、決意に満ちた顔だった。

 そりゃそうだ、俺たちはこれからとんでもないことをやろうとしているんだ。

 俺も、改めてやろうとしていることのすごさを確認して決意を固めた。


          「いくぞ!」


 俺がそう言うとカリウスは、カリウスは手に持っていた宇宙船操作用のリモコンのボタンを押した。

 すると、みるみるうちに階段が宇宙船から降りてくる。

 そして、階段が完全に降りるとカリウスは笑顔で言った。


    「さあ、新時代の幕開けです!」


 



 俺は、カリウスが艦橋で宇宙船の発進準備をしているのを見ていた。

 俺もいつかカリウスに教えてもらおうか、そんなことを思っているとカリウスが口を開いた。


       「発進準備完了です!」


 いよいよかと思い、俺は深呼吸をする。

 そして、口を開いた。


         「発進だ!」


 そう言うとカリウスは、宇宙船の制御盤を操作した。

 すると、宇宙船は静かな音で上がっていく。

 夢にまで見た宇宙だ、ただ初めてなので恐怖もある。

 宇宙船はどんどん加速していく、まだ二分ぐらいしかたっていないのにすでに高度計には二十八キロと表示されていた。

 全くもって異世界の技術には驚かされるばかりだ。

 そして、発進から五分もたつと高度計には94キロと表示されていた。

 すると、これまで話していなかったカリウスが口を開いた。


        「行きますよ!」


 そして三十秒後、高度計は百十キロを記録した。

 だんだんと宇宙船は減速していく。

 いや、そんなことはどうでもいい。俺たちの目は数多の星が輝く、黒き宇宙に釘付けになっていた。

 初めての宇宙に、大盛り上がりすると思っていたが案外静かなものだった。

 すると、宇宙に釘付けになっていた俺にカリウスが声をかけてきた。


        「やりましたよ!」 


 その言葉を聞いて、俺は我に返る。

 俺たちは宇宙に脱出を果たしたのだ。


       「ああ!やったな!」


 俺たちは大盛り上がりで祝った。

 まあ、とりあえず俺たちは、このクソみたいな惑星を脱出したのだった。


 そしてこの後、俺達は宇宙を揺るがす大帝国を建国してくいくのであった。





 





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