4-11 楽しい文化祭
文化祭だ。
「じゃーんメイド」
なんか知らないがうちのクラスはメイド喫茶をやることになった。男もメイドやるらしい。なんか最近流行りとか昔聞いたようなそうでもないような。まあふんわりしてないスカートは男が着てるのもたまに見るしいいんじゃないか。
「でも僕は女物でも似合うってわけ」
鏡の前でクルッと回る。ふんわりしたスカートがひらりと舞った。
今年は真面目に参加しようと思ってぼーっとしたりケイトとおしゃべりしてたら何故か女物のメイド服を着ることになっていた僕だ。
「スティーヴお前色気ないな」
「色気って何さ」
「なんかこう恥じらいとかねえの?」
「なんで?僕は可愛いんだから恥じらい?とかあるわけなくない?」
「……こりゃだめだ」
このクラスの委員長である男がメガネを抑えながら首を振った。
「あのなぁ!良いか?可愛さって言うのはな、恥じらいが大切なんだ。男なのにこんな格好してる……♡とか布足りなくてスースーする♡とかそういうのが大事なんだよ!」
ビシッと指を突きつけてきた。
よく分からない理論。
「そんな言うなら君が女装すればいいじゃん」
「え゛」
「確かに」
「いんちょーもやろう!!」
「ちょ、まっ」
これで解決ってわけ。
▫
「さっきごつい男の子がメイド服着せられて項垂れてたけど……」
「アンナ!来てくれたんだね!」
「わわっスティーヴもメイド?可愛い!!!」
「ふふん」
アンナに給仕か。えへへ。
「ご注文は?」
「コーヒーとスティーヴの愛!」
「ええ〜しょうがないなぁ〜」
戻ってコーヒーを取ってくる。
「コーヒーだよー」
「ありがとうスティーヴ!」
「愛も入れといたよ!」
「嬉しい!」
ニコニコアンナを見ていると、周りがザワついている気がする。
アンナと付き合ってないって先に釘刺してるから変な誤解はないと思うが……。
「じゃあねスティーヴ!美味しかった!」
「それは淹れた人に言っとくね!来てくれてありがとう!」
▫
午前中働いたので午後は自由に文化祭を回っていいらしい。とは言ってもアンナは忙しいし暇な時間ができただけだ。前一緒にまわったルナも最近会っていないしケイトはあの危ない弟と一緒に回っているらしいし。仲良きことは良きことかな。
今年に入ってから1回もループしていない。主人公がストーリー回収にこだわる人じゃなくて良かった……と簡単に片付けて良いのだろうか?攻略キャラのうち、誰か1人だけを選んでいる様子はない。平等にストーリーをこなしている。もし主人公がループの選択権を握っているならキャラクターごとの差分くらいは確認するべきではないのか。
そろそろ考える時かもしれない、任意でループを発生させてる上位存在がいる可能性に。
「ってリール・フィグラシュタイン。どうしたの?」
僕がぼーっとしながら歩いていたら、リールが緑色の目で僕をじっと見ていることに気がついた。
灰を被ったような銀髪はよく手入れされているのかサラサラだ。
僕の顔を見て、胸ポケットからぬいぐるみを取り出し、僕に向ける。
「スティーヴ・ヘイズだね。なんで元老院から派遣されて来た男がここにいるの?」
ぬいぐるみが一人でに動いて高い声で話しかけてくる。これが呪術。
「それに見た目が全く変わっていない。……そうか。前は気づかなかったが、お前呪物だな?元老院もなんてものを抱え込んでいるんだ」
リールが昔よりもちょっと低くなった声でそう、僕に言った。
僕が呪物?まあ動作の1部にそれっぽい技術が使われていないわけでもないけど。
「僕は元老院所有じゃないよ?僕が元老院に協力してるんだ。僕の方が立場は上!」
「はあ!?こ、この国は終わりだ……」
「……。別に僕政治に口出しとかしないし」
普通に傷ついた。




