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乙女ゲームのセーブ&ロードくんがあだ名のモブ?に転生したので平和に暮らしたい  作者: 神谷洸希
中等部1年生

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1-6 セーブ&ロード

「世界で1番かっこいいのは誰?」


「え?うーん僕?」


「俺じゃないのかよ!」


 リエルがダンっと机を叩いた。間違えたのか。ちょっと恥ずかしいかも。リエルを下からちらと見ると何やら満足そうにしている。

 少し気持ちわ……いやなんでもない。


「何?それ?」


「うーん空飛ぶ竹とんぼ?」


「タケトンボ?なんだそれは?」


 竹とんぼをクルクル手の中で回していると、リエルが覗き込んで聞いてくる。


 ふむ。竹とんぼから説明する必要があるのか。


 竹とんぼの複製品をリエルに見せる。

 悪役令嬢ことマリスが釣れたアイテムということで記念に複製品を作ってみた。


「そんなに興味あるならあげようか?」


「もらうわ……」


「……」


「いやくれないんかーい」


「冗談だよ」


 渡す。

 どうせ設計図は僕の頭の中にあるので、欲しくなったらまた作れば良いのだ。


「なあお前ならこれ頭に刺して飛べたりしねえの?」


 ……それタケコいやなんでもないです。


「頭に付けるにはちょっと心もとなくないかな」


「そんなもん?」


 あっさり引いてくれた。

 やってはないが僕、やろうと思えば自力で飛べそうなんだよな……やったらとうとうただの人形じゃなくなっちゃうからやらないけど。


「そう言えばリエルってなんでハーレム囲ってんの?」


 前から気になっていた。

 大人数で帰っていくのを見る度に大変そうだなと思う僕だ。デメリットの方が多そう。


「俺魔王だろ?」


「うん」


「俺のこと好きなやつが多ければ多いほど俺って強くなるわけ」


「ん?」


 応援があると強くなる的な?元気の玉的な?

 いや、それってどちらかと言うと勇者側の能力じゃない?


「ハーレムが強さの源ってこと?ふーん12歳かそこらなのによく考えてるんだね」


「ああ、いや。俺80歳だぞ」


「……」


 人外。


 ま、まあ僕もこの体が実際どのくらいの年齢になるのかよく分からないしな。


「おじいちゃん」


「おじいちゃんって言うな!悪魔の中では相当若い方なんだぞ!」


 大きい声で否定してきた。ちょっと気にしてんのかな。


「それで僕は倒れたから良いとして、君はなんで保健室にいるんだい?」


 授業中のはずなのだが。


「ちょっと修羅場になって余波で?」


「心配して損した」


 よく見たら外傷ないというか全然元気そうだし仮病だなこれ。さては攻撃に当たったのを口実に逃げてきたな?


「僕を避難所にするとはいい度胸だね」


「お、怒ってる!?」


 今の僕は省エネモードで表情も声色も一切変わらないはずだが、怒っているように見えるのだろうか。


「怒ってないよ。ただまあ……志もないのに大きいことに手を出そうとするやつは嫌いだな、僕は」


「俺には志がある」


「そうなんだ。◇それなら僕はそれに関してはどうでもいいかな」


 謝らないけど。


「お前はどうなんだ?」


「?聞き方がよく分からないね」


「今のはお前が撃ったんじゃないんだろ?」


「いや撃ったのは僕だけど」


 頭を吹っ飛ばされて頭がおかしくなったのだろうか。

 しっかり直したはずだが。


「……聞き方を変える。なんで撃ったんだ?」


「別にどうでもいいだろ」


「なんで?」


「どうせ僕のことを利用しようとでもしたんだろう?今のうちに釘を刺しておこうと思ってな」


 今まで散々僕は魔王に頼っているのだし、魔王が僕に頼ったって等価交換にしかならないような気もする。

 しかしそう単純なことでもないのだった。


「……お前さ、」


「あ、リエル!こんなところにいたんだ〜」


 授業が終わったからか魔王が女の子に連れていかれた……。


 真面目にやるか。

 保健室を出てふらふら歩く。


「そろそろ僕に任せてないで本格的に調べないと」


 考える。

 ……。


「うわ」


 僕の嫌いな男がいる。こいつもこの学校に入学したのか。学費が払えるような家庭環境じゃなかったはずだから特待生?そんなに頭が良かったのか。

 さてどうしたものかな。


 親の金でいい生活しやがってとかなんとかアンナを散々罵って泣かせた庭師の息子。


「仕方ないな……」


 指を鳴らす。


「スティーヴ様、資料です」


「うんうん、いい子いい子」


 この前知り合った生徒会長だ。洗脳済みだからこうして言うことを聞いてくれる。良い子だね。


 それはさておき。


「ふむふむ、カトリーヌ子爵令嬢の従者。学力を買われて特待生としてこの学園に入学、ね」


 概ね予想通り。従者になってるのは意外だけど。そういう身分制度とか1番嫌いそうなのに。


「それ生徒資料だろ、そんな横暴が許……」


 さすがに見つかったか。


「おいおい君、身分を弁えたらどうだ?僕は国王に爵位を与えられている立場だ」


 一代限りだけどね。まあ今それを証明できる人間はどこにもいないし爵位なんてないも同然なんだけどね。

 はあ。どうやら目の前のこの男は僕のことを全く覚えていないようだ。


「それがどうかしたのか?お貴族様だからと言って、平等が謳われるこの学園において特権が許されるわけでもないだろ」


「はぁ、分かってないなぁ。これだから君のことは嫌いなんだよ。あのさぁ、僕くらいになったら、全国民の情報程度閲覧可能なんだよ、分かる?」


 さすがにこれは言いすぎだけど、どうせ僕のこと覚えてないみたいだしいいや。あとのことは僕に任せてしまおう。


「親の身分を傘にきてそんなに楽しいか?親に養ってもらっているくせにいいご身分だな」


「……君口悪いな。はぁ、今度からは知りもしないくせに知ったような口を叩かないようにな?僕はそういうのが1番嫌いらしいから。とりあえず僕に関する噂はそんなに広まっていないようで安心したぞ。ま、君に友人がいないだけかもしれないがな」


「は?何だ急に」


「はー、ふー、落ち着きました。落ち着きましたよ、では君に質問だ。答えられるとは思ってないけどね。さて」


 ……。


「───────この世界は何回目だい?」


 

 ▫



「どこここ……」


 旧校舎?

 寝てる間にどんだけ移動してるんだ。夢遊病かな……。

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