4-7 過保護
「私だって……鍛えてるんだからこれくらい……」
「無理しないで。大丈夫、歩けるくらいには回復してきたから」
アンナに引きずられながら僕はそう言った。
全力疾走するから反動でぶっ倒れるだけで、ちょっと待てばすぐ回復する。急激なエネルギー消費のせいでセーフティがかかる感じ?全てのエネルギーを消費したわけじゃない。だからもう歩ける。
アンナが無理をする必要はないのだ。さらに引きずろうとする手を優しく外し立ち上がる。
僕はその辺を歩いている女子生徒と同じくらいの身長だが、アンナは小柄で僕よりも背が低い。ついでに華奢だ。そんなアンナに僕を運ばせるわけにはいかないさ。
「スティーヴ!なんださっきのは!?あれすごかったなぁ!?」
「ちょ、リエル!?」
今日は女形態らしいリエルが僕を見つけたと思ったら走ってこちらに来て肩をバンバン叩いてくる。
誰かに作ってもらったんだろうワッペンがたくさん付いているジャージが肩に引っかかって風にはためいている。中のシャツにもワッペンいっぱい付いてる。ゴチャゴチャしているが、みんなの思いを背負ってるみたいな風格があって少しビビる。
「あ、アンナちゃん」
リエルがアンナの方を見て気まずそうな顔をした。どうした?と思ってアンナの方を見ると見たことないくらい怖い顔をしていた。気まずそうな顔だけですませられるのが逆にすごい。
「リエル、アンナに何かしたの?」
目を細める。アンナを弄ぼうとしたなら消し炭にするだけではすまさない。お前が存在した痕跡全てを消し飛ばしてやる。
「してないぞ!?」
「ふうん」
「してないって!」
リエルが本気で否定している。本当に違うのか?じゃあなんでアンナはこんなに怒って……。
アンナがムッとした顔で僕の服の裾を引っ張ってくる。
「スティーヴにあんまりベタベタしないでくれる?」
「ええーこれくらいスキンシップの範疇だろ?」
「スキンシップもダメに決まってるでしょ。約束破る気?」
「厳しすぎだろ」
アンナが僕を両腕で後ろからぎゅっと抱く。
「スティーヴは私のものなの!」
か、かわいい。
「アンナ、もしかして嫉妬してる?えへへ、僕もアンナのこと大好き!」
腕をつついて緩めてもらった後、身体をねじってアンナにハグをする。
「も、もう。スティーヴったら」
「あの……俺をダシにするのやめてくれます?」
「結局なんだっけ?」
「短距離走1位おめでとう」
「ありがとう。リエルもきっと活躍したんだよね?僕は体力温存するために色々お世話されてたから見れてないけど」
椅子に座らされてうちわであおがれていたり水飲まされたり。王様になった気分だったよ。
「ああ、まあな。てか俺のこと一応気にしてはいたのか。なんも興味無いと思ってたぜ」
「そりゃあ魔王がいたいけな少年少女相手に無双してるとこなんてなかなか見れないだろうし」
「すっげえ嫌味」
「いやそういうつもりじゃない」
嫌味だとしたら僕にも突き刺さりまくるから。
シンプルにスチルとして気になるというか。そういうおふざけを見るのもゲームやる醍醐味だと僕は思うわけよ。
「……しょうがないな。リエルくんも一緒に来ていいよ。リレー、参加してなかったよね?」
「よく知ってるな」
「生徒会役員だからね」
「っつってもなぁ、全校生徒何人いるんだよって話だし」
「時間ないからさっさと行くよ」
「アンナは全校生徒の名前と顔、覚えてるからね!」
「すげ」




