4-5 実はあった体育祭
「体育祭の練習中じゃないの?」
「毎年参加してませんよ僕」
保健室でゴロゴロしていたら先生が話しかけにきた。まだ余裕ありそうだったからそういうことを言うのだろうか。
「え、なんで?」
「なんでって。知らないんですか?家格が高い人から順に競技が振り分けられるんで、僕はそもそも参加出来ないんですよ」
良心的だから表立った差別はないが、こういうところは差が出る。無意識の内なのだろう。差別とすら思っていないかもしれない。
ケイトは母親が騎士爵の家の人だったからってことでムカデ競走やるみたいだしグレイも一応子爵の家の子だから玉入れ練習してるし。シンプルにヒマ。
「そうだったっけ?そうだったかも」
「この学園通ってたんじゃなかったんですか」
「……実はボクあんまりこの学園通ってないんだ。馴染めなくてね」
そりゃ他の学生と5歳も離れてるんだからそうもなろうと思って先生を見ると、どうもそれだけじゃなさそうな深刻な表情だった。
「ボクは魔法で名を上げた家の子だったんだけど、まあこれがからきしでさ」
「回復魔法上手いじゃないですか」
「?……!あはは!ボクは回復魔法なんて使えないよ」
「え?いや、それはおかしいでしょ。レイヴンの時とかケイトの時とか」
「うーん?なんて言えばいいかな。ボクは“無かったこと”にするのだけは上手いんだ。スティーヴの古代魔法と仕組みは多分同じじゃないかな」
「……」
どこで見られたんだと思ったけどケイトの弟に拷問してた時のあれか。
見ただけでどんな魔法か分かるのすごい。
「僕どう?先生の言っていることは本当?「ああ。確かに普通の回復魔法とは違った。破壊の属性が強
い。そういうものだと思っていたが」破壊属性の回復魔法ってことね。ロマンあっていいじゃん」
仕組みがよく分からないけどどうやら正しいらしい。先生も苦労してるんだなぁ。
「?」
「ファクトチェックですよ。……ごめんなさい。先生のこと信用してはいるんです」
「本当かなぁ」
とは言うものの、先生に気にした様子はない。
「そうだ!前スティーヴが置いていった刀、無力化できたんだよ。ほら見て見て、粉々」
先生がウキウキしながら箱を持ってきた。中には刀だったのだろう金属片が多数入っている。
「ほんとだ。どうやったの?」
「ハルイって子がね、こう、えいっ、ってぶん殴ったら割れたんだ」
「そうなんですね……」
ハルイか。予想通り呪物を破壊していくストーリーっぽい。
そんな感じで破壊するんだ。
「ハルイって保健室に来てたあの?」
「そうそう」
扉がバンッと開く。
「スティーヴぅうううう!!!!大丈夫かぁあああ!!!」
「うっさいな!」
「え?あれ?ケイト?こんなん感じだったっけ」
「レイスです!ケイトの弟の!なんか朝から入れ替わってて!」
騎士養成学校とやらに通っているレイスと何故か入れ替わっていた。
いつもみたいに、ケイトー新作読んだ?って聞いたら爆音で話されて鼓膜破れるかと思ったよ。
「行くぞぉおおおおおおおお!!!!」
「うわー先生ー助けてー」
先生は無言で首を振った。
裏切り者ー!と叫びながら僕は俵抱きで連れて行かれたのだった。




