3-16 衝撃
「今回は僕の勝ちだねエリック」
「……ふん。次は負けん」
「ハハッ」
エリックがいるから僕も毎回テスト本気でがんばれてるんだろうなぁ。勝ったから余裕がある。感謝だってできてしまう。
少し上を向かないと顔が見えないんだよな。どんな表情してるかな。ムッとしてる。悔しがっていそうだ。やったね。僕だけ悔しがるのは平等じゃないじゃん?
「ま、でも今回は仕方ないよ。婚約者にフラれちゃったもんね。かわいそー。よしよししてあげようか?」
「いらん!」
マリスに当然のように婚約破棄されていた。思ったより大事になってなさそうで良かったよ。ゲームの世界だし割と気軽なのかなその辺。
「そう言えばさ、前から聞きたかったんだけど、君ってどうやって国王になるつもりなの?お兄さんいるよね」
王になるものの責務とか前言ってた気がするけど。
「?父に反逆するつもりだが」
「えっ」
「貴様は生まれの立場に満足しているのか?その程度とはガッカリだ。俺様は当然そこで満足したりしない。王の座を勝ち取って周辺国に戦争を仕掛ける。今の腑抜けた王は国土を蝕まれているにも関わらず向かい撃とうとすらしないではないか」
す、すごく好戦的。
アンナは何があっても守ろう。
「……もしかしてその辺が理由で婚約破棄?」
「どうだかな。俺様の弟が王に暗殺をしかけたタイミングではある。俺様がそれに関わっていたと言いがかりをつけ……てはきたが、そんなわけないだろう。この前娘に戦争をしかけられたばかりだと言うのに。自分が恨まれる立場だと理解しろ」
「は、はあ」
殺伐としてんだな。あんまり興味なかったけどそんなことに。そう言えば元老院で王女の処遇がどうとか言ってたっけ。しばらく謹慎とか言ってたから大したことないと思ってたよ!
「王も疲弊してたタイミングで上手いこと公爵家に要求を飲まされたと言うのが正直なところだ。ガタが来ている王家と縁は作っておきたくないのだろうな」
今代の王、有能な王だと思うけど人望があんまりないのか……。
「そんな話僕にしていいの?」
「貴様が聞いてきたんだろう。どうせすぐに広がる話だ」
「そう」
「俺様が王の座についたら貴様はどうする?」
どうするとは。戦争するんだっけ?
「うーん。戦況によるかな。ダメそうだったら国外に逃げるよ」
「……」
「僕は商人だし国の事情とか知ったこっちゃないから。ごめんね」
「……いや、いい。当然のことだ。変なことを聞いて悪かったな」
「いいよ。将来はどうあれ今の僕達は学生なんだからさ」
▫
「マリスー」
「どうしたんですの」
「僕にあれかけてよ。ほらアプリコットに乗っ取られた時のやつ」
「は!?マリスに変なことさせないでください!」
前回のループのやり忘れをしに行ったらステラに止められた。ニコイチみたいになってんね。高等部から中等部の棟ってそこそこ距離ある気がするのによくやるなぁ。
「ステラ。落ち着いてください」
「でも!」
「そもそもスティーヴもあの時対象だったはですのよ?にもかかわらず何も起こらなかった」
「あー……」
そもそも僕ってアプリコットに対抗して作られた兵器だしな。効かなくて当然か。
……待てよ?じゃあなんで保健室の先生は。
「ちょ、こんなところで倒れないでくださいまし。ケイトー!」
▫
「は!」
保健室の天井だ。
「全く。自分の限界くらい把握しておきなよ」
先生が呆れたようにこちらを見ている。
今の髪色はピンクか。ピン、ク……?
「ああー!?」
襟足を伸ばしたピンクの髪にえげつない量のピアス、変な色眼鏡……はまだしてないけど。
攻略対象キャラの!胡散臭そうな女殴ってそうな男!
テオドロス・ハリソン先生……名前イカつすぎてイコールにならなかったんですけど!?
僕は今更気づいた衝撃の真実に頭が追いつかず、そのままベットにもう一度倒れ込んだ。




