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乙女ゲームのセーブ&ロードくんがあだ名のモブ?に転生したので平和に暮らしたい  作者: 神谷洸希
中等部1年生

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5/10

1-5 意味深な名前に気づかない

「ほら、この本だよね?」


「うん!ありがとうスティーヴ」


 アンナと図書室で楽しくデートしていたら不審人物を見つけた。図書室の前で膝をついてしゃがんでおり顔だけ覗かせている。


「何?ストーカー?出てこないと首吹っ飛ばすよ?」


「怖ぁ!?」


 少々過剰に脅したらすぐ出てきた。

 目つきの悪い女の子だ。長い髪はサラサラでよく手入れされている。良家の子女かな。この学校の生徒のようだ。


「私はしがない一般人です。どうか見逃してください〜」


 変なこと言ってる。


「コソコソしてた理由を言ってくれない?アンナに何か用かな?」


「落ち着いて、ね?」


 アンナが僕の方を見ながら言う。


「まあいいだろう。一般人?ってのはよく分からないけど」


「顔!顔をよく見てください!どう見ても!平々凡々の一般人顔!」


「……。ごめん。アンナ以外には興味なくて……」


「そうでしたね!そういうキャラでしたよあなたは!」


 平々凡々とか言ってるけど上品な雰囲気の顔で良いと思うよ。

 あと僕って結構有名人なの?


「理由でしたね。実を言うとアンナさん、あなたを生徒会に勧誘したくて」


「堂々と出て来れば良くない?」


「だって〜セコムがいるし〜……」


 セコム?……ああ、僕か。


 にしてもアンナ、生徒会に勧誘されるほどなのかすごいな。


 僕も高校生の時は生徒会に入っていたがああいう部活動みたいな生徒会とは違って、ここの生徒会はフィクションでよく見る強権と影響力のある生徒会だ。フィクションの世界だしね。


 そこにスカウトってのはやっぱすごいことだと思う。入学して半年以上経つが、クラス活動とかで仕切ってたのを見られてたってことかな。

 ん?……ってことは目の前の人生徒会の人間なんじゃ。


「アンナはどうしたい?」


「……うーん。スティーヴとこうやって一緒にいれなくなるのは嫌かも」


「スティーヴさんも生徒会入ります?」


「え」


 僕?イベントとかあってもクラスの隅っこで女子としゃべってることの多い僕が?


「特待生ですしね。他のメンバーも良いって言うと思います」


「僕以外にも4人いるんでしょ?」


 僕達の学年の特待生は5人だ。これでも多い方、らしい。


「他はさすがに家が……あ、いえ、別に差別とかではなく、生活費を稼ぐために働いているようですから」


「なるほど」


 なんだかんだ僕もニックさん達に甘えてるってことかな。


「僕も生活費稼がなきゃな。アンナ、手が足りなかったら手伝いに行くから。それくらいならいいでしょう?」


「ええ、いいですよ!」


「うん。それならがんばれそう、かも」


 アンナが頷く。僕はアンナのステップアップの機会を潰さずにすんだようだ。


「ちなみにあなたは誰だったんです?」


「私は生徒会長のステラです!」


 ……。自分のこと普通とか言うやつほど普通じゃないよね。



 ▫



「…ん?あれ新種の虫じゃないか?」


 アンナは生徒会室に見学へ、ということで1人歩いていたら珍しい虫を見つけた。少なくともここの図書館にある図鑑には載っていなかった。


 この世界は何故か昆虫や虫に対する研究があまり進んでいない。

 まぁ昔いた世界も進んでいるとは言いがたく、その辺を歩いている虫でも新種だったりはしたのだが、それに輪をかけて進んでいない。

 もったいない。


「よし、捕まえた。あ、リエル。ちょうどいいところに。見て見てー新種の虫ー」


「わ、おい近づけるな!」


「じゃ、僕はこの虫を理科の先生に見せに行ってくるね」


「お、おう」


 

 ▫



 理科の先生にあの虫を見せたら喜んでいた。今書いている論文に役立つとかなんとか。僕の名前は論文内に書き加えてくれるらしい。お礼に自動で飛ぶ竹とんぼをくれた。

 ……これ何が楽しいんだろう。方向とか操作できるわけでもないし。上に飛ぶだけだ。


「その竹とんぼ?はどこで拾ったものなのかしら?」


 ……来た!暫定悪役令嬢ランキングトップのマリス!


「気になるかい?」


「……ええ、気になりますわ」


「ふふふ、正直者は好きだよ?これは僕の自作だよ」


 嘘だけど。

 まあ再現はできそうなのでそういうことにしても問題あるまい。


 反応を伺う。


「そうなんですの」


 この反応はどういう感情だ?

 分からない。

 僕はあまり人の心に詳しくないのである。


「うーん、話が続かないね?」


 僕とは話したくないのだろうか?


「なぜ護衛を連れていないんですの?」


 マリスは……護衛がいるな。公爵家のご令嬢らしいしそりゃいるか。

 護衛を連れていない生徒の方が多いと思うのだが何故それを聞くのか……気の利いた返しでも期待しているのだろうか。


「そりゃあ、下手な護衛より僕の方が強いからさ」


 口角を上げて冗談めかして言う。


 まあ頻繁に倒れる僕はどれだけ強かろうと、護衛はいた方がいいんだろうけどね。


「私よりも?」


 少し僕に興味が出てきたのか質問してくれる。

 ……思ったより武闘派なんだなマリス。


「当たりま……」


 ……。

 マリスはうっそりと笑いながら僕に片腕をかざした。魔法を使う前兆のような嫌な空気の振動を感じる。これ本気で僕のことを殺ろうとしてないか?


 魔法、魔法な。この世界魔法あるんだよな!使ってる人初めて見るけど!


 とりあえずどうするのが最適解であるかを考える。


 ……よし、これで行こう。

 床に狙いをつけて思いっきり踏みしめて振動を与える。大きい音が鳴る。いざとなったらリエルにどうにかしてもらおう。


「上から照明が落ちてくるよ?」


「な───────」


「なんてね」


 この建物は強度がしっかりしている。これくらいじゃ照明は落ちてこない。

 軽く脅すにはちょうどいいだろう。


「この竹とんぼは君にあげるよ。有効活用してくれたら嬉しいな」







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