3-15 青春?
「お兄さん、三つ編みしてもいい?」
「ええ……」
▫
アンナがのばしてほしいって言うから髪をのばしていたが、やっぱり切るべきだった。
僕は今、幼い少女に髪をいじられていた。
「いや僕男だしリボンとかやめ…やめてくれませんか?」
僕はその実完全に男というわけでは無いらしい。が、一応アンナの王子様やってるつもりなんでやめてほしいかなぁ!
個人的に、僕は可愛い物を見るのは好きだが自分で身につけるのはごめんだ。僕から僕って見えないし。労力の無駄じゃん。
ワンピースとか猫耳メイドは……あれは緊急事態だったし……。
「リボンはさっさと外してほしい。僕はあまりこういうのは好きじゃないんだ、三つ編みはしてくれていいから」
「はーい」
分かっているのか分かっていないのか、僕の髪が編まれていく。
「その本読んだら私にも見せてね」
「当たり前だ」
どうやらリッキーちゃんはこの少年が持ってきた小説を読んでしまったらしかった。
早いな……30分くらいだろうか。
そんなものかという感じもする。
「しかし君、こんなところに長居していいのかね?貴族の子が家を長く開けるというのは……」
「う……」
話をつけていないのか。
それはまずいね。
「……あのさ、この君に使用されている探知魔法ってさ」
子どもに持たせるGPSみたいなものだと思って気にしないようにしていたけれど、もしかして。
「…は?」
「知らない感じか」
今更この魔法を破壊しようと手遅れだろうし、僕の心象が悪くなるだけだ。
僕は貴族の建前とか人心掌握術はよく分からないので、なるべく巻き込まれないようにしている。
具体的には社交界に出ない……っていう。大した立場でもないのでなにか言われたことはない。あえて言うならエリックが卒業した後コネなくて困らないか?って聞いてきたくらいか。
「僕がどうにかするさ」
◇◇
「遅かったじゃないか」
「……何の用ですか?」
僕が少年の父親を呼び出していた。
そうか元老院所属になったからこういうこともできるのか。
にしても実情はどうあれ扱いとしては平民の僕の呼び出しなんて無視してもいいだろうに律儀だな。
「……君の息子に探知魔法が仕掛けられているようだ。少なくとも君の魔法では無いようだからこうして報告させてもらった」
僕には頼りにしろと言ったものの、僕も貴族と話す機会があまりないから、少し緊張する。
「……さっき私が呼ばれたように通信に魔法を使えばよかったのでは?」
「ああ、僕も最初はそうしようかと思ったんだが、このレベルの魔法が使える相手では盗聴される可能性がある。しかし今君にもその探査魔法が……」
「……」
「嘘だよ」
手始めに軽いジョークでも入れようと思ったが、警戒されてしまっている。これは失敗したな。
「君の家にはこのような高いレベルで魔法を扱えるような魔法使いはいなかったよね?」
「……ちっ」
舌打ちされた!?
僕君よりずっと偉いよ?建国の偉人だよ?なんなら君なんてすぐにでも爆殺できるけど?
「ええ、私は最近できた探偵事務所で定期的に行方不明になる息子の行先を追跡してもらっていました。それに何か問題でも?」
「もちろんあるわけがない。親が子供を心配するなんて当たり前のことだからね。それで君はこの後どうするつもりなのかね?」
「もちろん連れて帰りますが」
「二度とここには来させないんだろ?」
「それはまあ」
よしよし思った通りの受け答えだ。
「この店のお嬢さんは見たところ相当頭がいい。今ここで手放すのは惜しくないの?」
「何が言いたい」
「彼女なら自分で家を興せる。今力の弱まっている男爵家の次男が付き合うに十分なご友人だと思うけどね。ああ、これはただの善意だよ。僕は優しいからね」




