3-7 理解の範疇外
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「は!?私は何を!?」
「ものすごい勢いで人型のあれをボコボコにしてたよ」
「そ、そうなんですね。私が……?怒りでスーパーパワーでも出たのでしょうか……?」
よし、押し付け成功。
「ふざけんな……!」
「アプリコットだっけ?僕果物嫌いなんだよね」
嘘だよ。
まあなんかマリスとステラって知り合いみたいだし会話する時間あげようかなという僕のささやかな親切心だ。
「はあ?」
「人間ってさ。どうやって成立するのかな?やっぱり種として判別するの?ならなんか知らないけど生殖機能ある僕ってば人間なんじゃない?」
「そんなわけねえだろ」
「そうそう。君って病原体みたいだよねって僕言ってた。ちなみに病原体の定義って病気の原因になるなにかのことを言うんだって。生き物じゃないの?って思っただろ?残念!ウイルスは生き物じゃないんだなぁこれが。あ、理由聞く?」
「いらねえよ。なぁに耳聞こえないの?」
「……。そっかいらないかぁ。聞き下手だね君」
さてマリス達はどうなってるかな。
「良かった、無事で……ってなんで目から血が!?」
「気にしなくていい。それよりなぜここに?」
「あなたが心配だったからに決まってる!」
おおー、なんかいい感じ。
「ほらほら共感してる女の子が救われそうだよ?大人しく見守ろうぜ。何か答えが分かるかもよ」
「認められるわけないよなぁ?私を置いて1人幸せになってんじゃねぇよ」
考え方が邪悪すぎるんだけどなんだこいつ。
そのおかげでおちょくっても心痛まないのは助かるか?アプリコットがマリスの方に向かおうとするのを、魔法を使って妨害する。
「大丈夫。誰も理解しなくても、私も理解できないけど、それでも私は貴女の味方だから……!」
「でも、でも。学園に入った私のこと無視して」
「それは……だってマリス、伯爵令嬢だし。王子様の婚約者だし。私なんかと一緒にいていいわけないって、思ってて……」
「……」
「ごめん、言い訳でしかない。私、マリスとまた話すのが怖かったんだ。また拒絶されるんじゃないかって。でもこんな状況になってやっと分かった。私にはマリスがいないとダメなんだって。だから……」
「ゆるさない」
「……!そ、そうだよね。今更私なんかが」
「許さない。これから私のこと、いっぱい甘やかしてもらうんですから」
「マリス……!」
そして2人はハグを……。
……。
あれぇ!?ステラとマリスってそんな感じの関係なの!?
……いやいいと思う。乙女ゲーって女性攻略できたりするって聞くし。
お金持ちだけど家柄が良いわけじゃない真面目な生徒会長と王子様の婚約者で高嶺の花の不良令嬢。
うーんいい組み合わせだ。知り合いにはいないけど組み合わせて楽しむ趣向の人いたら配点高めじゃない?どう?
てかあれか?マリスステラって海の星北極星的なあれ?……なるほど。シエルとかいるからあんま気にしてなかったけど確かに普通聞かない名前だよな2人とも。
「ふーむ」
「出して!」
「人が考察してる時に……」
結構僕好みのゲームだったのかもなと浸ってる時に!友達がこういうバッドエンドあるよ!って熱心に勧めてきてたっけ。別に僕はバッドエンドが特別好きなわけじゃないけど、面白そうではあったんだよな。
キャラデザがなー……ちょっと苦手でなー……女性向けコンテンツのイラストってなんでこう厚塗り+キラキラみたいなのが多いんだ。僕は原色っぽいあっさりした絵が好きだ。一昔前のエロゲみたいな。って話逸れたな。
「あんまり暴れるなら僕がステラ操ってドロップキックくらわせるよ」
どうせアプリコットの本体ここにいないんだろうしどれだけ攻撃しようが心は痛まない。
「お礼を言いますわ。アプリコット。私の力になってくれて」
「え?……いやいいよ」
「そうですか?じゃあこれからも力になって、くれますよね?」
マリスの紫色の目が怪しく光る。
「おい待て、それは……」
「うふふ!今ならなんでもできそうですわ!」
「そんなことしたらどうなってるか分かってるんだろうな!?お前はもはや人間じゃいらうわああああああああああああ」
……。アプリコットがマリスに取り込まれた。
何これ?




