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私は部屋をたくさん持っている。
昆虫部屋、蜘蛛部屋、鳥部屋、魚部屋、サボテン部屋、樹木部屋…そうして、人間部屋。
私の行動は、家の評判に関わるので生きている人間はいない。
たまにスラム街に行って、新鮮な死体を買っている。
眺める。
私は血を操れる。研究者からすれば垂涎の力だ。
……私は研究者というわけでもないので、乾燥させミイラにしたりして保管するのだった。
他の部屋と比べてもかなり手間と時間をかけている。
それなりに執着もある。
人間のことはよく知っている。
よく知っているからこそ、もっと知りたい。
昔を思い出す。
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私が他人に違和感を覚えたのは4つの頃だった。
幼い子供というのは、他人を見て成長する。
そうして私も他人を参考にしながら、振る舞いを身につけていく。
子供らしい、悲しみ、怒り、好悪、その他にも色々。
他の子供が誰々を嫌いだ、好きだと言うものだから、私もそれを参考にして、好悪を決めていた。
ある時気がついた。
私の嫌い、は他人にとっての嫌いではないということに。
人というのは、嫌いな人間には大損をしてもらいたいものらしい。
私にそのような感情は全くない。
人というのは、好きな人間には得をしてもらいたいものらしい。
私にそのような感情は全くない。
私は人間というものが全く理解できなくなって、そうして怖くなった。
しかし、距離をとることはしなかった。今まで通り、そのまま。
距離をとるという選択肢すら浮かばなかった。
それがおそらく私の欠陥だったのかもしれない。
私の興味関心は手頃にいた蟻になった。
しかしこれは別におかしいことではなかった。
幼い子供なんて蟻を潰して遊ぶものだから。
少し違うことがあるとすれば、それは僕が蟻の生態に興味を持っていたことくらい……だろうか。
そうして私は成長して家庭教師がついた。
宿題で虫を調べる研究があった。
兄は悲鳴をあげて逃げていく。
私はため息をついて、2行だけなら写していいよ。改変はしっかりしてね。と言ったものだ。
先生からは一切褒められなかった。
しかし、私の熱意に気がついた母が、図鑑を買ってくれた。博物館に連れて行ってくれた。
いくつかの博物館を回っているうちに、ミイラを見た。
図書館に行って資料をあさった。
先生に聞いて解剖書の存在を知った。図書館に行って読んだ。
ある時、私を友達と言ってくれる女の子を見た時、気がついた。
筋肉の動き、関節の動きに。骨の形に。
頭蓋骨の穴に。
───────この時ようやく初めて、私は他人に興味を持ったのかもしれなかった。




