3-4 保護者気分
「海だね、スティーヴ!」
「海だねー……」
僕は水着とか詳しくないのでよく分からないけどアンナに似合ってて可愛いと思うよ。
アンナの友人のブランカは大人しそうな子だ。まあ多分アンナの友人だし普通に気強いんだろうけど。可愛いね、って心の中で思っといた。僕も学んだのだ、アンナの前で他の女の子を褒めちゃいけないと。とりあえずここに来るまでにアンナを褒めまくっておいたのでちょっとくらいの失言なら大丈夫だとは思う。アンナとブランカが水をかけあって遊んでいるのを眺める。
パーべキューの準備でもするか。
コンロを立てる。
「なんだそれは?」
「バーベキューだよ。肉を焼く」
「肉?」
エリックが首を捻っている。
……そう言えば王子様に毒味なしで食べさせても大丈夫なのだろうか。
「アンナに食べさせる肉だからね。品質には拘っている。コンテストで金賞を取ったこともある上質な牛だ」
ふふん。
まあ王子様ならもっといいもの食べてそうだけど。
「肉か。何が良いのか分からんが、庶民の生活を知るのも王の務めよな」
「エリックもしかして肉好きじゃない?安心してよ、野菜も持ってきてるからさ」
せっかく馬車での移動なんだ。持ち込めるだけ持ち込まないと。海でバーベキュー、ちょっと憧れてたんだよね。昨今ゴミ問題とかでやれるとこあんまないしさ。
担いできたパラソルを隣に刺す。
「ほらほら椅子置くから座ろうよ」
王子様に作業させるわけにもいかんしな。バーベキューはみんなが遊び疲れてからだろう。それまではゆっくり休憩しようじゃないか。
リエルはどうしてるかと言えば海を初めて見るらしくその壮大さにはしゃいでいた。でかいからよく目立つ。……目立つ海パン履いてんな。結局僕と話さないなら普通に女の子連れて来ても一緒だったのでは。
「じゃーん、紅茶だよ」
「葉っぱを見せてどうした?」
紅茶が葉っぱだって知らないのか……。
「僕が働いてるのは貿易商だからね。紅茶に関しては期待しててくれていいよ。王子様でもきっと飲んだことない味のはずだ」
お湯は僕の機能として出せるんだなこれが。なんでそんな機能があるのかは謎だ。
「南の国で取れた紅茶だよ。降水量や冬の寒さのおかげで風味が強いんだ。ミルクティーとストレートどっちがいい?」
「ふむ。ストレートで頼む」
「じゃあもうついじゃおうか」
ミルクティーだと濃いめの方がいいけどね。ストレートティーでも美味しい紅茶にしといて良かった。
「はい」
「うむ。苦しゅうない」
王様かな?……王子様か。
「にしてもさエリック。海で遊ばなくて良いの?」
「それはお前もだろうが」
「僕はこういう準備してるほうが好きだからいいんだよ」
「そういうものか」
「って僕じゃなくてエリックの話」
「俺様は先日海で遊んだばかりだ。今日は違うことをしたい」
なんで付いてきたんだよ。
「この紅茶、香りが強く華やかな味わいで確かに美味いな」
「でしょー」
「茶菓子はないのか?」
「……僕が焼いたクッキーはあるけど」
そもそも1人でティータイムするつもりだったしなぁ。雰囲気に合わせてカップ変えようと思って3種類持ってきたのが幸いしている。
「それでいい。よこせ」
「はいはい」
「なかなか悪くないな」
「バターいっぱい使ったからねー」
最近体重を気にしているアンナには絶対食べさせられない高カロリー爆弾のクッキーだ。
「あ!?なんか楽しそうなことしてる!?」
ひとしきりはしゃいだリエル達がこっちに向かってきた。そろそろやるかバーベキュー。
「アンナー!肉焼くよー」
「今行く!」




