3-1 混乱
その後商会の手伝いだけして静観していたら、次の学年まで進めることが出来た。
やっぱダニエルが原因だったのかね?
……まあそこまでは良かった。
「僕の心が折れそうなんだけど」
「?」
「いや僕じゃなくて僕………て違う!そういやループしているんだった!」
「そうなの?」
「リエルには伝えてるんだったっけ!?あー!!?」
……。
リエルと3回連続同じクラスで席も前後ろだ。さすがに恣意的なものを感じる……とか考えるの何回目だっけ。
「僕が混乱してる……僕が言えたことでもないか。リエル……もう君でもいいや、助けて……」
「両方の人格が追い詰められとる」
リエルの勘は鋭い。それは分かっていたが、この問答だけで僕の今の状況について完全に確信を持ったらしかった。相変わらず迂闊なことは言えないらしい。
「僕さ、もうこの4月を21回繰り返してるんだ」
「テスト勉強たくさんできていいじゃん」
「バカ!!!」
僕は集中力高いから勉強に時間かかんないんだよ!
ギリギリ赤点回避してたお前と一緒にすんな。
「ダニエルがさぁ、死にすぎ!!」
ダニエル・シューマンはやはり攻略キャラで間違いないのだろう。知ってる立ち絵にちょっとずつ近づいて来ているし。それはいい。それはいいんだけど……そう、死にすぎ。僕の目の前で死んで時間の巻き戻しが始まったので今のこの終わらない拷問ループは間違いなくダニエルのせい。ふざけんな叩き潰すぞ。
「僕が死なないよう支援するっつってんのに、それは情けないからって断るし!なんだよ自殺志願者かよ!!」
知らない間に死んでるから追いきれてないけど多種多様な死に方をしている。某自転車のグロゲーをプレイしてた僕もびっくりだよ。本当にこれ乙女ゲーか?いくらなんでもグロくない?置きゲーだったら余裕でZつくでしょ。
「なるほどなぁ。メンヘラストーカーちゃんがどうにかしてんのかね」
「なにそれ」
「ダニエルくんモテるから、それも精神不安定そうな子には特に。そうだな、俺がちょっと口説きに行ってくるか」
「……?」
それから何があったか知らないが、ループは収まったのだった。
◇◇
「そうだ魔王、現時点において人類を滅ぼせる戦力が何であるか知っているかい?」
「へ?」
「僕、魔王、アプリコットだ」
僕が滅ぼすことはないけどね。理由もないし。何より準備が面倒だ。
「人類を滅ぼす予定はあるの?」
「そうだなぁ、またぼちぼち3年後くらいにどっかで開戦、勝利したら徐々に滅ぼす方向で……うーん100年後くらいか?」
「気が長いね」
「まあ俺は人類と違って時間に余裕あるしな。人類側の強者を俺の陣営に引き入れるターンだ、今は」
「なるほど……ひとまずアプリコットにだけ気をつけておくか」
吸血鬼アプリコット。まだ生きているはずだがどこにいるかは定かではない。人類を滅ぼすという条件ならこの上ない生き物。
「それでさ魔王、僕の斜め前にいる席の子なんだけど」
「可愛いよな」
「前も男装してたっけ」
「……してないな」
そうだろうよ。
僕も可愛いと思う、うん。
「前から目をつけてたけどめっちゃ似合ってるな。美少年っぽい女の子しか得られない栄養素は……ある」
魔王が言った。
栄養素か。文字通り栄養なのかな。
「この新年度説明会が終わったら話しかけに行こう。撃沈する時は一緒だ」
僕も目を座らせながら言った。
◇◇
「僕と契約を結んでくれないか!?」
「俺と結婚する気はないか!?」
「ごめんなさい」
ダヨネー。知ってた。
「契約はやはり重いか……ちなみに救世主に興味はありませんか?」
「うっ……ないです」
「迷ったな?今迷った!僕の勝ち!どうだ魔王!」
「表人格を使うなんて卑怯だぞ」
表も裏もない、そもそもお互い負けてるし。
▫
「何2人して馬鹿なことしてんだよ」
「お前じゃい」
「それはそう」
男子高校生のノリで楽しくなかったと言えば嘘だけど。
前世の僕はあんまり主体的に動くタイプではなかったのでこういうのはちょっと新鮮だ。
「もう少し好感度を稼いでからの方が良かったか」
「僕はさておきリエルは有名人だしここは先手必勝がベストだったんじゃない。撃沈したけど」
「お前関係ないからって、面白がってやがるだろ」
「ハハ」
僕の好みとは遠いからね。そこはね。




