2-15 ストーリー
依頼主はケイト・トンプソンで当たりだったので、保健室に連れてきた。
「……弟」
「当たりでしたね」
「姉さん!!なんでここに!!待ってて!!こいつ!!殺す!!」
「そういうのいらないから」
先生が疲弊している。これの相手をするのは疲れよう。
にしても見れば見るほどそっくりだな。
「つきまといとは別なんだよね」
「……」
ケイトが無言で頷いた。やはり依頼とは関係がないようだ。
「この刀は何か知ってる?」
「……」
保健室に置き去りにしていた刀を指さすと横に首を振った。知らないらしい。
「先生、この刀解呪できました?」
「それ狙いで置いてったな?……無理無理。ボクの専門外」
「ふむ」
無機物相手だとダメなのかも。
「これその物が呪物だからねー。破壊が1番だけどほらボク、非力だから」
身長は高いのに……と言うかめちゃくちゃ女殴ってそうな見た目なのに……って偏見は良くないな。先生は筋力ステが低いキャラと。メモメモ。
「最近呪物による事件を結構見る気がする」
「そんなに?」
「いや、たまに?被害者が平民しかいないから本腰上げて調査してないっぽくて正確な数は分かんない」
「へー……」
ひとまず問題なのは僕にもこの刀が破壊できなさそうってことか。ゲームのストーリーの流れがなんとなく見えてきた。多分ヒロインの子はこの呪物を破壊できるんだろう。それで街で起こる事件を解決してくとかそんな感じ?で、そういうストーリーだから攻略キャラが呪術師と探偵(仮)なんだ。あと2人もこの流れで推測できそうな気もするが、今はやめておこう。
とりあえず先生は今のとこ影響されてなさそうだし、ここに預けておくのは悪くなさそう、かな。
「……」
ケイトが無言で弟を指さしている。
「とりあえず回収してもらってよ」
「憲兵に突き出さなくていいんですか?こんな危険人物」
「今のところ襲われたの君と平民の男の子だけなんだろ?話を聞いてすらくれないと思うよ」
「はーん……」
嫌な話だなぁ。とりあえず元老院の方でも聞いてみるけど僕なら難なく無力化できるだろって笑い話にされそう。
「ちゃんと見張っててくださいよ」
「……」
ケイトが無言で頷く。
とりあえずこっちはこれで終わりかな。
拘束が外れた少年をケイトが担いだ。
「思い出した、彼女、スティーヴくん運んでくれた子じゃない?」
「そうなんだ……」
▫
「とういうことがあったんだよね」
「へえ。矢は別口だったのか」
ダニエルに経過報告した。
思ったより驚いてない。勘づいていたのかもしれない。
「こっちも犯人を捕まえたとも」
「すご」
こっちも速い。僕が手伝わなくても解決したのではと思わなくもない。
「凶悪犯罪で逮捕歴もある男だ。国王が戴冠した際恩赦で釈放されたようだけど、それが間違いだったみたいだな」
義心溢れる顔でそう言った。
「動機は?」
「……悪の秘密結社の一員だのイマイチ要領がはっきりしなかった」
「ふーん……」
気狂いだったってことだろうか。後味の悪い事件だ。
▫
期末テストの結果が返ってきた。点数はいつも通り高得点。さて順位は……。
「フハハハハハハ!」
横から高笑いが聞こえてくる。横向きたくねぇ!
「今回はこの俺様が2位だったようだなスティーヴ・ヘイズよ」
僕が踵を返して帰ろうとしたら、そいつに行く手を阻まれた。
血のような赤い髪、それをもっと濃くしたような目、それを見上げないと見れない高い身長、端正な顔立ちに不釣り合いな邪悪さのある高慢な表情。そう、こいつこそがこの王国の第2王子、エリックなのだった。
「つまらぬことに明け暮れ学業を疎かにするから3位という中途半端な順位になるのではないか?」
2位も大概中途半端じゃないだろうか。
入学してから今の今までこの王子様と僕は定期テストで2位を取り合っている。シエル?あれは人外だから気にしなくていいよ。多分目の前の王子様もそう思ってる。
「俺様は些事を気にしない。民がつまらぬ謀略をしようと俺様はただ椅子に座りそれを見届けるののみ。自ら動くのは王としての行いにふさわしいものではない」
「ああそう」
継ぐのは第1王子だろうに大口叩くじゃないか。
「この俺様と叡智を競うのだからお前もそのくらいの気概を見せよ、スティーヴ・ヘイズ」




