2-12 依頼主
「ここにいるのかい?」
「そうだ」
ダニエルが真剣な顔で頷く。
その言葉に従うように、僕は扉を開いた。
「よろしく」
「……」
部屋の真ん中でソファに座っている制服の女の子に挨拶をすると、お辞儀される。
この女の子が依頼者のケイトらしい。
放課後になったのでダニエルが連れてきてくれたのだ。
リエル?置いてきたよ。
アンナは最近生徒会で忙しいようだから、僕も用事ができてちょうどいい、のかもしれない。
リエルが貿易再開してくれたおかげでニックさんの商売もなんとか軌道修正できた。おかげでアンナも魔王のことについて話すこともなくなった。めでたしめでたし。さて。ダニエルの方を見る。真剣な顔をしている。
「行き詰まっていたのも事実だし助かる」
「……で、なんで依頼人を僕に会わせた?」
「え……別に意味とかないけど」
「ええ……」
付き合わされてるケイトが気の毒になってきた。
「結局どういう依頼だったのさ」
「このケイト嬢につきまといがいるみたいだ。オレはその人物を見つけ出して欲しいという話なのだが」
「見つからないと」
「それどころか依頼を受けてから怪文書の巻つけられた矢が飛んできたりポストに爆薬が入っていたりでオレだけじゃなくてオヤジも危ないっていうか」
……この感じだと前回の時間軸では爆死でもしたのかな。
前言撤回だ。これは僕に引き合わせてくれて良かった。やはりポンコツに見せかけて正解に辿り着けるキャラなのだろう。
「僕は多少魔法が使えてね。死んだら時間が巻き戻るよう設定できる。もちろん短時間しか無理だから即死くらいにしか対応してないけど」
「つまり?」
「それを君とケイトにかけよう!これで少なくとも死にはしないはずだ。依頼は君が解決してね、名探偵なんだろう?」
「ああ!」
めっちゃ嬉しそうだな……。
▫
「うらああああああああああ!!」
「何!?」
暗くなる前に帰ろうと1人で歩いていたら背後から襲われた僕だ。あまりにも予想外の事だったのでつい腕で受け止めてしまう。あー制服が……。これ高いんだぞ。
襲撃者を見ると、刀を振りかぶってさらに攻撃を仕掛けようとしている。
「おい!!避けるな!!大人しく切られろ!!あああああああああ!!」
こわい。
完全に目が逝ってる。
僕は内心ビビりながら上空に逃げた。所詮僕は破壊しかできない悲しい生き物、拘束手段なんて持ち合わせていないのだ……まあ僕が生き物かは諸説あるけど。
「え?」
さっき会ったケイトじゃない?
紫色の髪を顎下で切りそろえているのが上からでも見える。ケイトの特徴と一致する。服は制服でそのままだ。
てか夜までにどうにかしないとガス欠で僕が負けるぞ。どうにかしないと。
「もういい!僕に変われ!「分かった!」」
僕が遠慮なくケイトの頭を吹き飛ばす。ひえ……。
「手足を折る。いいよね?「いいよ」」
最悪保健室の先生に治してもらえばいい、かな。
「“再生”」
「うらあ!!死ねぇ!!」
「……ちょっとは狼狽えとけよ、はあ……」
僕がその腕を床に叩きつけて破壊している。折るっていうか粉砕してない?それでも動き続けるその女子生徒のもう片方の腕、両脚を連続して叩きつける。
「ちっ」
口に刀の柄を挟もうとしているようだ。それを見て僕の怒りが限界に来てるっぽい。僕より人外メンタルしてるのにキレやすいのだけがキズだよ僕。
「落ち着こう僕「……」」
目からビームを出して刀を破壊しにかかる。……壊れない。なんだこの刀。
とりあえず女子とは思えない力で僕を妨害しにかかってくるのを跳ね除け刀を握ってみる。
「……」
なんかうっすら声聞こえるなぁ。喋る呪いの刀ってやつ?伝奇っぽいな。もしかしてこれってそういうゲーム?
「まあいいや。降参しなよ」
刀をその首元に突きつける。
もう一度その首をかき切ったらどんな反応をするのだろうか?案外変わらない?意外と怖がる?
失敗してもどうせループするんだし1回くらい試してもいいのでは───────「いてっ」
僕の手が僕の頬を掴んで引き伸ばしている。
「僕がその刀に影響されてどうするんだよ「た、確かに」」
そうか、僕ちょっとおかしくなってたのか。
「人によって影響の度合いが変わるのかもね。僕には頭が痛くなるくらい大声で聞こえるけど僕は?「うっすら聞こえるくらい」なるほど。僕の方が適応度合い高かったりしそうだな。ふざけんなぶっ殺すぞ」
僕がキレながら刀をゲシゲシ蹴っている。なんか言われてんのかな。僕にはよく聞こえないけど。
「その女はどうなった?「威嚇してる」しょうがない昏倒させるか……」




