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乙女ゲームのセーブ&ロードくんがあだ名のモブ?に転生したので平和に暮らしたい  作者: 神谷洸希
中等部1年生

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3/10

1-3 ゲーム本編と見た目が違うキャラ

 登校初日だ。


「スティーヴと一緒のクラスで本当に良かったわ!」


「僕も嬉しいよ。でもきちんと女の子の友達作るんだよ」


 とは言うがあまり心配はしていない。学校に通う前も近くに住んでいる同年代の女の子達と仲良く遊んでいたし。僕もアンナのお気に入りの人形として一緒に遊んだものだ。


 だからまあ……心配すべきなのは僕自身ということだ。

 中学生くらいの子って異性を異性だと気にしだす時期だしな。どうにか男の子の友人を作らねば。

 教室に入りアンナに軽く別れを告げた後指定された席に座る。


「な……お前」


 後ろの席の男が僕を見て口をぽっかり開けている。

 ……でかいな。180cmくらいありそう。椅子が体に合ってなくて狭そう。本当に12歳か?


「どうしたの?」


「お前、あの時の崩落人形!」


「は?」


「い、いや待って待て、な?」


 冷や汗をかいている。

 今にも逃げ出しそうだ。足まで震えている。


「本当に何?え?僕の知り合い?」


「……別人か?いやでもなあ」


 僕はどこにでもいそうでどこにでもいない顔なので、見間違いってこともあるんじゃないかな。多分。


「その僕のそっくりさんは君に何をしたのさ」


「俺の城に……なんだろう?襲撃。襲撃か。襲撃しに来たんだけど。なあ本当に覚えないのか?」


「なにそれ?」


 てか城に住んでんの?

 領地持ちの貴族だろうか。


「まあいいか。なあお前俺のハーレムに入る気ない?」


「……ん?」


 何事?ハーレムってあれ?最近いやだいぶ前に流行ってた女キャラがたくさん出てくるアニメの概念……。


「いや俺ってば魔王なわけよ。甲斐性はもう十分なわけ」


 いやこれはハレムとかそういうやつだな。アラブの方にあったんだっけ?


「まおう?」


「あれ?知らない?本当に別人なのか……」


「入らないよ。僕は男子用の服を着てる女子じゃなくて普通に男だからね」


 中性的な容姿なので女子扱いされることもままある。そのおかげでアンナの友人達にも受け入れられていたんだろうし全然構わないというか今風でいいよね!


「知ってるけど」


「なんだって?」


「まあそこは気にすんな。悪魔に性別とかないから」


 ……体格の良い男を眺める。

 性別不詳ってのは僕みたいな風貌であるべきなんじゃ……とか言うのは野暮だな、うん。


 というか今悪魔って言った?何、この世界は悪魔とかいるの?物語の中に出てくることはあったがてっきりフィクションだとばかり……やはり小学生程度の知識ではカバーできないところも多いな。僕はアンナとくっついて過ごしていた都合上、アンナが行けない場所には行けないし知識の入手機会もそこまでに限定されていた。


 むむむ。アンナももう中等部生なわけだし、そろそろ1人の時間を作って知識を身につけるべきか?


 目の前の男を見る。男じゃないんだっけ。

 でかい。黒髪黒目でこの世界では珍しい色味。魔王。ハーレム持ち。うん、キャラが立ちすぎている。

 ゲーム内で重要キャラだったのだろうがいかんせん知識がない。攻略キャラにこんな見た目の人はいなかったと思うが……。


「どうした?その気になった?」


「……動きすぎてガス欠かも」


「え!?」


 僕は日光を浴びていないとすぐ動けなくなるのだ。

 今日は雨なのも良くない。

 エネルギーを節約するために表情の切り替えや声の強弱に関する設備を切っていたが十分ではなかったらしい。

 別にあれがなくても、時間を置けば動けるようにはなるが、やはり今はもうむ……


「おい!?起きろ!やべえ!保健室?……重っ!!?おいこれ持てねぇんだけど!!!」



 ▫



「保健室だ」


 保健室の無機質な天井が見える。どうやら寝かされているらしい。


「ええ、保健室です」


「誰が運んでくれたんですか?」


 保健室の男の先生が僕の顔を覗いている。

 チャラそうなイケメンだ。保健室の先生がイケメンなのは乙女ゲームらしいようなそうでもないような。


「名前は聞いていませんね」


 そうか……。僕を運べるってことは相当力持ちだと思うのだけど。

 口ぶりからして1人っぽい。

 魔王は僕を持てなかったようだし、謎だ。


 あーあ、入学早々倒れて、これじゃあ友達を作るどころじゃないな。アンナに心配させてしまっただろうか。


「君可愛いね。女の子?」


「いえ、違います」


「そっか残念。最近男女関係なく制服を着れるようになったからもしかしたらって思ったんだけど」


 真意をはかりかねる。

 ため息をついて、僕は考えることをやめた。

 こんなくだらないことで、貴重なエネルギーを使うわけにはいかないのだ。


「先生は僕が女の子だった方が嬉しいんですか?」


「え、いやそんなことは……ないよ?」


 じっと見つめて聞くと露骨に目を逸らされた。

 分かりやすい。見た目通り女好きらしい。教育者としてどうかと思うぞ。


「そろそろ行きますね」


 早く教室に帰らなくては。





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