1-13 協力者
「……」
4周目か。今回のループは何が理由で発生したんだ?
とりあえずスタートの日時がズレていたのは良かったけど。
3周目までだと10年単位で巻き戻されてたからな……。さすがの僕も精神的にまいって応急処置を自分に施した。
何が理由か分からないがあの拷問から抜け出せたのは良かった。本当に。
「僕から説明があったと思うけど、僕は何回かやり直している」
何回やり直しても魔王と同じクラスでかつ席が前後になる。もはや相棒みたいなものだ。ってのは僕だけしか覚えてないわけだけど、その親近感からこうして魔王に事情を説明しているというわけだった。
「まあそうだな。それより俺の城に不法侵入しようとしたこと忘れてないぞ、俺」
……やっぱり僕に気づいてるな、魔王。
「はあ、そんなどうでもいいことは壁に向かって言っておけよ。それよりさ、巻き戻る基準を一緒に考えて欲しいんだよね」
また何か間違って土の中に戻るのはもうごめんだ。
使える手段はなんでも使う。
「そのやり直しってのは今回が初めてなのか?」
「いや」
「じゃあ他の時はどういう時に巻き戻ったんだ?」
「おやつにプティングを食べてた時、貿易の会計をしてた時、今回は期末テストの前日に寝てたらだね」
魔王が驚いた顔をしていた。
……だから言いたくなかったのだ。何回もこの反応をされるのは心が折れそうになる。
「なんで?」
「僕の意思とかほとんど関係ないわけ。多分誰かが巻き戻してるもしくは無自覚に巻き戻ってるのに付き合わされてるんだよ僕は!!!」
「……」
「なんとか言いたまえよ」
「結婚して」
前回も言われたな。
これもなにか条件があるのだろうか。
「当然嫌だよ。……理由を聞いてもいいかい?」
「いや、あっちのスティーヴとあんまり変わらないんだなと思って。てへぺろ」
「理解した。あとそれ1ミリも可愛くないから、今後一切やめることをおすすめするよ」
縦にも横にもデカい魔王を見ながらため息をつく。せっかく性別なしなのになんで男寄りの造形なんだよ。
僕を見習え。性別なしとして完璧な造形だ。
「誰かに巻き込まれてるってのは正しそうだな。心当たりがあるなら今回分はそいつを観察するのに使ったらどうだ?ま、そいつが世界の裏側にいるってんなら話は別だがな!」
ジョークとでも思ったのか、ニヤニヤしながら魔王がそんなことを言う。
「一応メモっておくか」
メモ帳に書き込む。
前回の周回で手に入れた情報も改めて書き直してある。こうしておくことで思い出す手間が1回に減るのだ。
▫
「は!」
こ、ここは……保健室。
「また倒れたんだってね」
「のようですね」
「もう常連さんだねぇ」
「あはは。お世話になっております」
寝直す。
保健室の照明明るいから充電にちょうどいいんだよな。
「それで僕は倒れたから良いとして、君はなんで保健室にいるんだい?」
授業中のはずなのだが。
ってこの下り前にもやったな。
隣のベッドで寝ているリエルを半目で見る。
「ちょっと修羅場になって余波で?」
「ははっ、馬鹿だなぁ」
……。
「そう言えば君って女寄りの身体になれたりしないの?」
淫魔は女になったり男になったりできるって前世で読んだ話には書いてあった気もするけど。
「んー。まだちょっと修行が足りねえかな。胸とかケツとか大きくしろってことだよな?」
「……僕の好みではないけどそうだね」
僕は華奢な方が好きだ。
まあでも僕の好みとか今関係ないし。
「その辺のスキルツリー伸ばしてないからなあ。できるようになったらハーレムに入ってくれるか?」
「なんで?嫌だけど」
「違うんかい」
「……今よりナンパの成功率上がるんじゃない?男体女体両方揃えた方が最終的には強くなれるかもよ」
「そうだなぁ、考えとくか」
魔王を強くしてどうするつもりなんだ僕は、そう思いながらまた眠りについた。




