1-12 差分
「どうしたのスティーヴ?」
「い、いやなんでもないよ。今日も可愛いねアンナは」
「でしょ〜」
いかんいかん。アンナとの会話に集中せねば。
「この本だよね?」
「うん!ありがとうスティーヴ」
アンナはまだ僕よりずっと背が低い。しばらくして成長期が来るんだったな。成長を何回も見れるって言うのはちょっと利点かもしれない。
図書室前に張ってる不審者は、今回は気にしなくてもいいだろう。アンナに危害を加える人間ではないと知っていることだし。
「最近スティーヴ、リエルくんと仲良いよね?」
「ん?うん。席近いしね」
「私、スティーヴのことずっと私だけの王子様だって思ってたの」
「僕はいつだってアンナのものだよ」
「そうじゃない、そうじゃないよ。私、今までスティーヴのことずっと縛ってたんじゃなかって思って……」
俯いてしまった。泣いているようならハンカチで拭おうかと思ったが泣いているわけではないようだ。不安で仕方がないというように唇が震えている。
気づかなかった。つい最近まで無邪気だったアンナは今思春期真っ只中なんだ。
「そんなことないよ。僕はアンナのためならなんだってする。アンナがリエルのことを嫌いなら、今すぐにでも縁を切るさ」
「ほんとう?」
「ああ、今すぐにでも」
「や、リエルくんと友達やめる必要はないよ。ただもうちょっと私と話してほしいなって、クラスでも。……だめ?」
そう上目遣いで聞かれたらうんと言わざるをえない。
「じゃあ一緒に帰ろうか。手を繋ごう」
「うん!」
▫
「ってのを私見せられたんですけど。なんですかあれ?」
僕は次の日、教室で生徒会長のステラに死んだ目で詰められていた。目つき悪いな……。
「僕とアンナの絆の深さだよ」
「イチャイチャを見せつけられたってことですよねー!?」
「で、何の用ですか生徒会長さん」
「……」
固まった。
どういうつもりで話しかけてきてたんだよ。
「わ、分かってるなら話は速いですね。あの、アンナさんを生徒会に勧誘してもいいですか」
さすがと言うべきかすぐ気を取り直してきた。
「アンナに聞けば良くない?」
「昨日のを見てまずセコムから話をつけておくべきだと思ったんです」
「セコム?」
「あっ。忘れてください」
セコム扱いは据え置きかぁ。
「僕はアンナが生徒会に入るの大歓迎ですよ。よろしくお願いします」
「あ、はい……」
なにか言いたそうだ。どうしたのだろうか。
「一緒に生徒会に入ると言うと思っていたので拍子抜けというかなんというか。もしそうでも歓迎しますけどね!」
「僕、アンナの家に居候してる身だから。他の特待生の子より余裕はあるかもしれないけど手伝いとかありますし」
「そうなんですねぇ。じゃ、アンナさんのとこに行ってきます!」
生徒会長に軽く手を振る。
「何事?」
「アンナに用だって」
「ふーん」
一応気を使って話しかけないでいたらしいリエルが聞いてくる。
「なあそれより考えてくれたか?」
「ないから」
「えー」
えーとか言われても。
「僕が性欲に流されるようなやつだと思うな!僕はアンナの王子様だからね!」
指をさして堂々と宣言してみる。
「性的には見てくれてるのか」
「……。…………それなんだけどさ、君淫魔の類だったりしない?」
「よく分かったな!俺は夢魔だぞ。淫魔って言うやつもいるな。ま、どちらでもいい。どっちでも同じだからな」
肯定されてしまった。
それなら確かにハーレム作っといた方が強くなりそうだな。
「そっか良かった。僕可愛い子にしか興味ないはずなのにおかしいなと思ったんだよ」
「いやー、素質がないとさすがに厳しい。ほらゼロに何かけてもゼロだろ?」
「……」
ええ……?
まあ前世の僕は可愛ければ元男でもなんなら今男でもいいかって感じだったけどさ。リエルは可愛い、のか?よくよく見てみれば男臭い感じもしないし大きいだけの女に見えなくもない。
いやー……でも可愛いとはさすがに言えないよな。まあ膝立ちでもして僕より下の位置に頭が来れば多少は……。
……。
今のは記憶から消去で。
「もうちょいで堕ちそうだな〜スティーヴ」
「うっさいな」
この流れで落ちたらマジでダサいぞ僕。王子様失格どころじゃないから。冷静になれ冷静に。
「これハ「こんなところで見せるなバカ!」」
写真がチラ見えした。僕はその手をはたき落とした。さすが淫魔。人がしてほしいことを即座にやってくる。最悪だ。
「もういい。君がそのつもりなら僕も手段を選ばない」
「え?なんだ?なんでもどんとこいだぞ」
「おいリエルのハーレム!リエルが呼んでるぞ!」
これだけで勝てる。ははは!まあこれ以上話を盛ると僕が白い目で見られかねないからこれくらいが限界だけど。
わらわらとリエルのハーレムメンバーが集まってくる。さて僕は消えるか。




