1-11 ロード
「なあスティーヴ、そんなに頻繁に倒れるようで大丈夫なのか?」
「僕の心配をしている場合なの?」
アンナがこちらに目を向けてきたのでにっこり笑って手を振っておく。アンナと仲良く話していた女の子達がきゃあきゃあと黄色い声をあげている。
……ん?思わず目を擦る。
「付き合ってるのか?」
……なんかこの会話、したことあるような。
「付き合ってないよ。あのさ、前にもその話しなかった?何回聞かれてもアンナには絶対近づけさせないから」
「わ、そんな怒るなって!……俺がこの話したのは初めてだと思うぜ」
……。…………。
「気のせいかもしれない。あのさ、今日って何月何日?」
「5月2日」
「あ゛〜」
年度の初めは4月だ。日本のゲームだから。
僕の記憶では今って11月だったはずであり……巻き戻ってるなあ。
今までのは僕の夢だった?とか思いたくなる。
そもそも僕はセーブ&ロードくん呼ばわりされていたキャラなわけで……そんでモブでは無さそうなキャラ設定が積まれていたわけで……うん、こういうこともあるんじゃないかなとは思ってたよ。
個人的に望んでたのは僕にセーブ&ロードの権限があることだったが、この感じだとなさそう。
「りっちゃん、今日って何日?」
「馴れ馴れしく話しかけるな」
「何日?」
「5月2日だ」
廊下で僕を睨んでいた、リエルがりっちゃんって呼んでいるハーレムメンバーに聞いてみても同じ答えだ。これはリエルが適当言ってるわけではなさそうだな……本当に5月2日か。半年が無に返すのは結構キツイぞ。
僕ができるのってもしかしてセーブ&ロードされてんなーって認識して記憶するだけ?
……ある意味ゲーム通りだな。ストーリー記録のページの背景が僕というキャラを構成する最大の要素なわけだしね。あの記録は僕が見せていたのかな?
もしかしなくても、これはただのモブより辛い立場なんじゃないか。冷や汗が出てくる。
「ねえ、今から僕が言う話、信じる?」
「ん?まあ、とにかく話してみろよ」
「僕さ、さっきまで11月23日にいたんだ」
「はあ」
「そしたら戻されちゃった。5月2日に」
「……テスト問題が分かるってこと?」
「そりゃ知ってるけど」
全部暗唱できるよ。
「じゃあさ、今からやる小テストの問題教えてくれよ。合ってたら信じるわ」
「……内容知りたいだけだろ」
「バレた?」
▫
「ほんっとうにそのままだった!」
「うん」
「信じるわお前の話」
「良かった」
まだマリスと仲良くなっていないのでリエルのハーレムメンバー達からの視線が痛い。手を握るのやめてほしい。
「11月にはお前堕ちてるの?」
「おちてる?」
「いやほら、俺のハーレムに入ったりしないのかなって」
ハーレムがこいつの強さの源泉だと今では分かっているので微笑ましく聞ける。
大変だな君も。
「入ってないよ。何回も言うけど僕男だし」
「そんな細かいこと気にすんなよ」
「細かいかな!?」
そもそも僕は可愛い子が好きなので180cm超えてそうな肉体美を誇る男はちょっと……いや男じゃないんだったっけ。
「そんなに言うなら俺が女の方やるからいいだろ、それで」
「え」
え?




