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第6話:初めての仮面剥がし
「あ…やっぱり、君は本当の顔を隠していたんだね」
会場の隅、笑顔を絶やさない完璧系Aの前で、迅は小さく息を吐いた。
今まで気づかなかった微細な仕草――指先の震え、言葉のリズムの僅かなズレ、瞳の奥の焦り。
それを見逃さず、彼は初めてAの仮面の一部を剥がした感覚を覚えた。
「くっ…やっぱり…」
Aは驚きの色を隠せず、微笑が一瞬だけ引きつる。
しかしすぐに冷静を取り戻し、観察の目を迅に向ける。
「あなた…なかなか鋭いのね」
ズレ系Cは天然な質問で場を和ませながら、無意識に心理戦に巻き込まれている。
魔性系Dはその光景を見て、興味深そうに微笑む。
「ふふ、面白くなってきたわ」
その一言だけで、場の空気がさらに緊張を帯びる。
癒し系Bは相変わらず微笑むだけ。
しかし、迅が見逃していたわずかな表情の変化に、後で重大な伏線が潜んでいることを、読者はまだ知らない。
心理戦は静かに、しかし確実に加速していた。
初めて仮面を剥がした感覚が、迅の胸に小さな興奮を呼び起こす。
「これからが、本番だ」
心の中でつぶやき、次の一手を構想する。




